コールセンターシステムの選定ポイントとおすすめ9選
コールセンターに必要不可欠なコールセンターシステムは、電話業務を円滑化できる様々な機能が備わっています。コールセンターシステムを導入すると、コスト削減やサービスの質の向上などが期待できるため、コールセンターシステムを導入する企業は年々増加しています。
しかし、現在は様々なシステムが存在しているため、いざコールセンターシステムを導入しようとしても、どのシステムを選べばよいのか迷ってしまうケースは少なくないでしょう。
そこで、ここではコールセンターシステムの概要を解説するとともに、現在コールセンターシステムの導入を検討している方に向けてシステム選定のポイントと、おすすめのコールセンターシステムを紹介していきます。
コールセンターシステムとは?
コールセンターシステムとは、コールセンターなどにおける電話業務を円滑化するための業務支援システムの総称です。
コールセンターシステムは、コンピューターと電話を連携するシステムであるCTI(Computer Telephony Integration)や、外線と内線をコントロールするPBXなどで構成されており、そこに顧客管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)、FAQシステムなどを連携させることで様々な機能が利用できるようになります。
コールセンターシステムの種類
コールセンターなどの電話業務は、大きく顧客からの電話に応対するインバウンド業務と、オペレーターから顧客に電話を発信するアウトバウンド業務に分けられます。これらの業務は、同じ電話業務でも性質が異なるものなので、コールセンターシステムにもインバウンド型とアウトバウンド型の2種類が存在します。
インバウンド型には、主に着信をオペレーターに自動で振り分けるACD機能や、IVR機能(自動音声応答機能)、CRMに蓄えられた顧客情報をディスプレイに自動表示するポップアップ機能などが搭載されているのが一般的です。
一方、アウトバウンド型には、主にディスプレイ上に表示されたボタンをクリックするだけで発信できるクイックトゥコール機能や、自動架電できるオートコール機能などが搭載されています。
コールセンターシステムを選ぶポイント
コールセンターシステムと一口に言っても、現在は様々な企業から様々なシステムが提供されています。そのため、自社に合ったシステムを導入するためには、システム選定のポイントを押さえておくことが重要です。
前述したように、コールセンターシステムには大きくインバウンド型とアウトバウンド型があるため、まずは自社の業務に応じてインバウンド型とアウトバウンド型のどちらを導入するのか決める必要があります。
ただし、インバウンド型とアウトバウンド型のどちらの機能も網羅したシステムも多く存在しており、必要に応じて機能をカスタマイズすることができるものもあります。
次に、現場のニーズを調査した上で、自社の業務に必要な機能をピックアップします。コールセンターシステムの機能は導入後の業務効率化やサービスの品質を大きく左右しますが、多機能であればよいというものではありません。
多機能であればあるほど、利用するスーパーバイザーやオペレーターは覚えることが増えることになるため、負担が大きくなってしまいます。そのため、本当に必要な機能を明確にした上でシステム選定を進めていくことが大切です。
また、コールセンターシステムには、クラウド型とオンプレミス型の2つの導入形態があります。クラウド型とオンプレミス型は、それぞれメリットデメリットがありますが、これら2つの導入形態はコスト面で大きな違いがあります。
クラウド型は、月額利用料がかかるものの導入コストが安いという特徴があり、オンプレミス型は、導入コストは高くなるもののランニングコストは保守費用のみとなります。そのため、どちらの導入形態を採用するとコストが抑えられるのかを見極めることが重要となりますが、コストは機能の充実度や運用規模にも左右されるため慎重に比較検討を進める必要があります。
さらに、事業拡大に伴う運用規模や機能の拡張に対応しているのかもシステム選定の重要なポイントで、運用規模や機能を拡張するにはどの程度のコストがかかるのかも確認しておきましょう。そして、現在利用しているCRMやSFAなどのシステムとの連携ができるのかどうかを確認しておくことも重要です。
加えて、スーパーバイザーやオペレーターが使いやすいシステムなのかも重要なポイントです。特に、オペレーターは顧客と電話しながらシステムを使うことになるため、操作性の悪いシステムを選定してしまうと、業務の効率化が図れないばかりかサービスの質が低下する恐れがあります。
コールセンターでは、オペレーターの入れ替わりも激しいため、オペレーター経験が浅い人でも直感的に使用できるシステムを選定することが大切です。
最後に、サポート体制の充実度をチェックしましょう。システム提供会社のサポートが手厚いほど、システム導入はスムーズに進みますし、何らかのトラブルが発生したとしても、すぐに対応してくれるため業務に支障が出るリスクは低くなります。そのため、長くシステムを使いたい場合は、どのようなサポートを受けられるのかを確認しておくことが大切です。
おすすめのコールセンターシステム9選
ここからは、おすすめのコールセンターシステムを紹介していきます。現在、コールセンターシステムは様々なものが存在しているため、どのシステムを導入するのか迷ってしまうことも多いかと思いますが、システム選定の参考になれば幸いです。
FastHelp5
FastHelp5は、インバウンド業務・アウトバウンド業務のどちらにも対応したコールセンターシステムです。直感的で使い勝手の良いUI(ユーザインターフェース)を備えているのが特徴で、多くの導入実績で培われた経験から生み出された豊富な機能が標準搭載されています。
自社の業務に合わせて画面レイアウトや機能を柔軟にカスタマイズできる柔軟性や、他社ツールとの連携や事業拡大に臨機応変に対応できる拡張性も兼ね備えているのも特徴です。
加えて、様々なチャネルから集約された情報を一元管理することも可能なので、FastHelp5を導入することで日々の業務の効率化が期待できます。なお、FastHelp5は、クラウド型・オンプレミス型の両方の導入形態が用意されているという柔軟性もあります。
Service Cloud
Service Cloudは、Salesforce社が提供しているクラウド型のサービスです。コールセンターシステムとしての機能は一通り揃っていますが、あらゆるチャネルからの問い合わせに対応できるという特徴があり、これによりCX(顧客体験)の向上を実現します。
また、直感的なユーザーインターフェースや、オペレーターが必要とする情報を1か所に集約することにより、オペレーターの作業効率アップも実現できるため、サービスの品質が高まる効果が期待できます。
そして、年3回の無料アップデートにより、常に最新のシステムを利用できるのもService Cloudの特徴のひとつです。なお、Service Cloudには4つの料金プランがあり、ユーザーあたり月額3,000円から利用可能です。
楽テル
楽テルは、インバウンド業務とアウトバウンド業務の両方に対応したクラウド型のコールセンターシステムです。ポップアップ機能やクリックトゥコール、ACD、IVR、全通話録音機能といった電話業務を効率化する多彩な機能が揃っています。
また、FAQデータベースが標準で搭載されていることや、会話内容を自動的にテキストに変換する文字起こし機能が備わっていることに加えて、オペレーターが必要とする情報をクラウド上で共有することで業務の効率化を図れます。さらに、操作画面のカスタマイズや、他システムへの連携も容易です。
なお、楽テルは初期費用150,000円から、月額費用70,000円から利用できますが、クラウド型のシステムであるため契約後すぐに利用を開始できるというメリットもあります。
BIZTELコールセンター
BIZTELコールセンターは、1500社以上の導入実績を誇るクラウド型のコールセンターシステムです。全通話録音・IVR・ACDなどの機能に加えて、電話をかけてきた顧客の順番を管理するコールキューイングなどの機能が搭載されていますし、稼働状況をリアルタイムでモニタリングできるなど管理者向けの機能も充実しているのも特徴です。
さらに、オプションではあるもののCRMとの連携も可能で、ポップアップ機能やクリックトゥコールなどの機能を利用できるようになります。加えて、BIZTELコールセンターには料金プランが9つあるため、事業拡大に伴う座席数の増加に柔軟に対応でき、発信フィルタリングなどの多彩なオプションを利用できるという特徴もあります。
PureCloud
PureCloudは、クラウド型のコールセンターシステムです。電話・メール・SNSなど様々なチャネルに対応しているため、顧客との接点を多様化できるという特徴があります。また、CRMなどの既存システムとの連携も可能で、オペレーター間で顧客情報や操作履歴などを共有することでサービスの質が高まり、顧客満足度の向上が期待できます。
なお、PureCloudは、月単位のサブスクリプション方式でも利用できるため、座席数の増減に対応するのが容易で、新機能の一時的な利用も可能という柔軟性を備えているという特徴もあります。さらに、導入後も定期的なアップデートにより常に最新のシステムを利用できるのもPureCloudのメリットです。
COLLABOS PHONE
COLLABOS PHONEは、手軽に本格的なコールセンターを構築できるクラウド型のシステムです。準備するものはPCとインターネット環境、ヘッドセットだけであるため、短期間でシステム導入が可能という特徴があります。
しかし、手軽に導入できるからと言って機能面が他のコールセンターシステムに劣っているというわけではなく、ACD・IVR・ポップアップ機能(オプション)といった電話業務の効率化につながる機能は揃っています。
顧客とオペレータの会話を管理者がモニターできる機能や、管理者の声をオペレーターのみに届けるコーチング機能なども備わっていますし、Call Management Systemというコールセンタの稼働状況を把握できるツールを利用することも可能です。
ftel(エフテル)
ftel(エフテル)は、低価格・高セキュリティのクラウド型のコールセンターシステムです。1アカウントあたり月額5,000円で利用できるため、小規模での導入も容易です。
また、通話録音機能が標準搭載されているため、聞き漏れや聞き違いによるトラブル発生の心配がありません。加えて、ACD・IVRなどの機能も揃っており、既存のCRMなどのシステムとの連携もできるだけでなく、スーパーバイザーとオペレーターの間でチャットできたり、待機中に離脱した顧客の電話番号を取得できたりもします。そのため、離脱した顧客に再アプローチをかけることで機会損失の軽減が期待できますが、ftelはSMSとの連携もできるため、架電だけでなくSMSを送るという選択も可能です。
コネクト2.0
コネクト2.0は、楽天コミュニケーションズによって提供されているコールセンターシステムです。クラウド型のシステムで、低コストでスピーディーに導入できるというメリットがあります。
コネクト2.0では、ビジネスフォンとしての機能を備えたBASICライセンスと、コールセンターに必要な機能が備わったCallCenterライセンスの2種類が提供されています。
BASICライセンスは、IVRや転送、パーク保留、チャットなどの機能が利用できますが、CallCenterライセンスではBASICライセンスの機能に加えて、ACDや割り込み通話、ささやき機能、通話モニタリングなどの機能を利用可能です。コネクト2.0、24時間のサポート体制が整っているため安心してシステムを利用できるという特徴もあります。
BlueBean(ブルービーン)
BlueBeanは、初期費用5,000円、月額費用5,000円で導入できるクラウド型のコールセンターシステムです。低価格で利用できるコールセンターシステムにもかかわらず、機能は充実しており、CRM機能や全通話録音機能が標準搭載されているだけでなく、IVRやポップアップ表示などインバウンド業務に対応した機能と、クイックトゥコールやプレディクティブコールなどのアウトバウンド業務に対応した機能の両方が備わっています。
そして、オペレーター画面のカスタマイズも可能という柔軟性もあります。管理者向けの機能も充実しており、コールセンターの稼働状況をリアルタイムでモニタリングする機能などが使えることに加えて、各種データを集計してレポート作成できるため分析に活かすことも容易です。
コールセンターシステムまとめ
コールセンターシステムを導入すると、電話業務の効率化やサービスの質の向上が期待できます。しかし、現在コールセンターシステムには様々な種類が存在しているため、システム選定のポイントを押さえて、自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。
インバウンド型かアウトバウンド型か、クラウド型かオンプレミス型かを決定したら、現場のニーズにマッチした機能を備えたシステムをピックアップして、コスト面の比較を行っていきましょう。
また、導入後に運営規模や機能をカスタマイズできるのかといった拡張性や、管理者やオペレーターが使いやすいシステムなのかといった操作性、サポート体制の充実度などのポイントを比較しながら適切と思われるシステムを選定していくことが重要です。