越境ECとは?メリットや具体的な事例をご紹介

インターネットの技術が発達したことにより、ECで取引をする企業が増加しています。

日本国内だけでECをおこなっている企業も多いですが、越境ECを積極的にしている企業もあります。ここでは、越境ECのメリットや具体的な事例について、詳しく解説します。

越境ECとは

越境ECとは、二つの国の間でおこなう電子商取引のことです。インターネットで販売している商品を、外国に住んでいる人に販売することも、越境ECです。

このような方法で商品を販売している企業は増えていて、今後も増加することが予想されています。このような方法で商品を販売している会社が増えているのは、日本国内だけで商品を販売するよりも、多くの商品を販売することが可能だからです。このような方法で商品を販売しても売上が増加するとは限りませんが、成功をすれば売上を大幅に増やすことも可能です。

越境ECにはさまざまなタイプがあり、自分の会社で越境ECのための通販サイトを運営している会社もあります。その一方で、外国のショッピングモールサイトに出店をして、越境ECをしている会社もあります。代理販売をしている会社を利用して、商品を海外で販売することもできます。

越境ECの市場規模

越境ECの市場は世界的な規模で拡大しています。このような市場を従来よりも多くの人が利用するようになったのは、インターネットを使用すれば、外国の商品でも簡単に買えるようになったからです。

越境ECの市場は日本だけでなく、アメリカや中国などの国でも拡大しています。市場規模が現在も拡大している国の一つは中国です。中国は海外から商品を購入する人の数が特に多く、日本からは2兆円程度の商品を購入しています。中国はこの3国の中でも市場規模が一番大きく、4兆円以上の市場規模です。

アメリカも商品を外国から購入している人の数は多く、日本から1兆円程度の商品を購入しています。アメリカの市場規模は2兆円程度です。日本人も海外から多くの商品を購入していて、アメリカから購入されている商品の総額は3000億円程度です。日本の市場規模は3700億円程度で、この3国の中では一番小さいです。

自社ECとモール型ECの違い

越境ECは自社ECやモール型ECという方法でおこなわれています。この2つの方法はそれぞれ特徴が異なっているので、各企業が自社に合った方法を選んでいます。

自社ECの特徴は、商品を販売している会社が自社で通販サイトの運営をしていることです。一般的な通販サイトとこのような通販サイトの違いは、商品を販売している地域です。越境ECの通販サイトでは、日本国内の顧客だけでなく、海外の顧客にも商品を販売しています。こうした通販サイトを作るためには、商品を販売したい国の言語でサイトを作成する必要があります。モール型ECで商品を販売している企業もあり、この方法の特徴は海外のショッピングモールサイトに出店して、商品を販売していることです。

この方法で商品を販売するためには、外国に商品を販売することが許可されているサイトと契約をすることが必要です。

越境ECのメリット

越境ECで商品を販売することには、多くのメリットがあります。ここからは、このようなメリットについて解説します。

【競合が少ない環境でビジネス展開できる】

企業が越境ECで自社の商品を販売するメリットの一つは、有利な環境で商品を販売できることです。

日本国内で商品を販売する場合には、似たような種類の商品を販売している会社が多く存在することもあるので、各社どうしの競合が激しくなっていることもあります。ですが、海外は同じような商品を販売している企業の数が少ないので、より多くの顧客に自社の商品を販売することも可能です。

販売する商品の種類によっては、競合する会社がほとんどいない場合もあるので、商品の販売数を大幅に増やせるチャンスもあります。競合相手が少ない場所でビジネスをしたい場合には、多くの日本企業が進出していない国を選ぶことも重要です。日本の企業が一社も進出していない国もあるので、このような国で商品を販売することもできます。

海外の顧客を獲得できる

海外に住んでいる顧客を獲得できることも、企業が越境ECで商品を販売するメリットです。

国内だけを対象にしたECサイトでは、日本に住んでいる人にしか商品を販売することができませんが、日本に住んでいる人の数は限られているので、販売できる商品の数にも限界があります。ですが外国にも商品を販売できる通販サイトならば、世界中に住んでいる人を相手にビジネスができるので、より多くの人に自社の商品を購入してもらうことができます。

海外には日本で販売されている商品に関心を持っている人もいるので、このような人を対象にして商品を販売することもできます。海外で日本の商品を販売する時には、どのような商品が注目されているかリサーチすることも必要です。

実店舗より簡単に出店できる

実店舗よりも簡単に出店ができることも、企業が越境ECで商品を販売するメリットです。

外国に店舗を出店して商品を販売することも可能ですが、このような方法で商品を販売するためには、多くの手間や時間がかかります。日本の企業が外国に店舗を出店するためにはしなければいけない手続きも多く、店舗を出店するための場所を探すことも必要です。テナントの契約をする時にも外国語でしなければいけないので、外国語で交渉ができる人材も必要になります。

販売する商品の運送もしなければいけないので、多くの運送費も必要になります。ですが越境ECならば、このような面倒な作業をすることなく海外で商品を販売できるので、海外で商品を販売した経験がない企業でも、始めることができます。

越境ECのデメリット

越境ECで海外に商品を販売することには、デメリットもいくつかあります。ここからは、このようなデメリットについて解説します。

輸送コストが高額

越境ECで商品を海外に販売するデメリットの一つは、輸送のためのコストが高額になることです。日本国内だけを対象にした通販サイトならば、注文を受けた商品を配送するための費用も極端に高額になることはありませんが、海外では事情が異なります。日本から近い場所にある国ならば、輸送費はそれほど大きく増えないこともありますが、日本から非常に遠く離れた国から商品の注文を受けた場合には、非常に高額の輸送費がかかることもありえます。このような輸送費は通常の場合、商品を購入した顧客が負担することが多いので、配送費が高額であることにより、商品の売り上げが伸び悩むこともあります。外国で商品を販売するためには、海外の顧客でも利用しやすい輸送費に抑えるための企業努力が必要です。

対象国に応じた施策が求められる

商品を販売する国に応じた施策が必要になることも、越境ECで商品を販売するデメリットです。世界には商品の販売に関してさまざまな法律や条例を制定している国があり、こうした国の中には、日本の法律などとは大きく違った規則が決められている場合もあります。海外で商品を販売するためには、このような法令の規則も正確に把握しておく必要があり、十分な知識を持たないままビジネスを始めると、外国の法令に違反してしまうこともあります。

外国の法令を守ってビジネスをしたい場合には、外国の法律に詳しい専門家に相談することもできます。日本国内でもこうした専門家はいるので、海外での個人情報の取り扱いについて知りたい場合にも相談できます。

対象国の言語に対応する必要がある

越境ECサイトで商品を販売するためには、対象とする国の言葉に対応することも必要です。日本語だけで書かれているサイトだと、外国の人が言葉を読むことができないので、何が販売されているのか知ることもできなくなります。外国人でも理解できる言語を使用してサイトを制作することにより、外国人でも簡単に商品を購入することができます。

外国人向けのサイトを制作するために使われることが多いのは英語です。国によっては中国語やフランス語などを使った方が良い場合もあります。外国語を使用してサイトを制作する場合には、商品の説明以外にも気をつけなければいけないことがあります。商品を注文するための方法も、外国語でわかりやすく説明することが必要です。

越境ECの事例

ここからは、日本国内の企業で実際におこなわれている越境ECの具体的な事例について、詳しく解説します。

株式会社フォーイット

株式会社フォーイットでは、越境ECで商品を販売したい企業のためのサービスを提供しています。この会社では、依頼を受けた企業が海外で商品を販売できるようにするために、さまざまな種類のサポートをおこなっています。通販サイトの制作もこの会社ではおこなっているので、海外で商品を販売するためのサイトの制作も依頼できます。

この会社では決済に関するサポートもしていて、注文を受けた配送の手配を手助けするサービスもしています。この会社でおこなっているこうしたサービスの特徴は、依頼者の状況に対応して最適なサービスを準備できることです。この会社ではこれまでにさまざまな企業にサービスを提供して成功した実績もあるので、こうした成功のモデルも参考にしながらサービスを提供しています。

株式会社フォーイット様の資料をダウンロードする:

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株式会社YICHA

株式会社YICHAでは、animotaという越境ECサービスを提供しています。このサービスの特徴は、アニメやホビーに関連した商品を主に販売していることです。外国にも日本のアニメが好きな人は多いので、こうした人を対象にしてアニメに関連する商品をこの企業では販売しています。この企業ではさまざまな種類のアニメ関連商品を販売していて、特に多く取り扱っているのはフィギュアです。

日本国内で販売されているアニメの登場人物をモデルにしたフィギュアなども、この会社のサイトで購入することができます。外国の人でも日本のフィギュアを購入できるようにするために、サイトの説明は英語で書かれています。フィギュアのモデルになっている作品のタイトルも英語で書かれているので、外国人にもわかりやすいサイトです。

ダイアナ株式会社

ダイアナ株式会社では、バッグや靴などのアパレル用品を多く販売しています。日本国内を対象にして商品を販売する通販サイトをこの会社では運営していますが、海外の顧客に商品を販売するための通販サイトも一緒に運営しています。この会社で海外に商品を販売するために運営しているのは、GLOBAL WEB SHOPという通販サイトです。

この通販サイトの特徴は、英語を使用して制作されていることです。中国語に切り替えることもできます。国内向けの通販サイトで販売している人気のある商品も、海外向けのサイトで多く販売されています。この会社が運営している海外向けの通販サイトは、パソコンだけでなくスマートフォンからもアクセスできます。

ユニクロ

株式会社ユニクロも、海外に商品を販売するための越境ECサイトを運営しています。この会社で海外向けに商品を販売しているのは、UNIQLO.COMというサイトです。このサイトは2011年に、グローバルウェブサイトとしてリニューアルされました。このサイトは海外の顧客だけでなく、日本国内に住んでいる人も利用できます。

このサイトには、商品に関するさまざまな情報が掲載されていて、世界で販売されているこのブランドの商品の情報も知ることができます。世界各地に住んでいる人がユニクロの服を使用して、コーディネートを楽しむ様子もこのサイトでは紹介されていて、この会社がおこなっている社会貢献事業のことも紹介されています。

Fake Food Japan

Fake Food Japanは、JDクリエーションズ合同会社が運営している通販サイトです。このお店では主に、食品の形をした商品を販売しています。食品そっくりの外見でも、中身は全く別のものなので、見た目のギャップを楽しめる商品です。このお店の通販サイトでは日本国内の顧客に商品を販売していますが、海外の顧客にも商品を販売しています。海外の顧客向けのサイトは英語で書かれているので、日本語を読めない人でも商品を購入できます。このお店では日本食の形をしたキーホルダーなども販売していて、寿司や天ぷらをモデルにした商品も販売されています。スマートフォンのケースやストラップなども販売していて、これらの商品も食品がモデルになっています。

GLOKEN

GLOKENは、けん玉を普及するために設立された団体です。一般社団法人グローバルけん玉ネットワークが、この団体の正式な名称です。この団体ではけん玉のことをより多くの人に知ってもらうために、さまざまな活動をしています。この団体は日本国内でのけん玉の普及活動だけではなく、海外の人にけん玉を知ってもらうための活動も積極的におこなっています。

この団体の越境ECはこのような目的で利用されていて、海外に住んでいる人でもこのサイトにアクセスすれば、日本のけん玉に関するさまざまな情報を知ることができます。この団体では2014年からけん玉ワールドカップという大会も開催されていて、こうした大会に参加したい海外に住む人も、越境ECで情報を入手できます。

多慶屋

多慶屋でも、越境ECを商品の販売のために利用しています。この会社の公式サイトは複数の言語に対応しているので、海外から商品を購入したい顧客は、自分の国の言語に切り替えて表示させることができます。このサイトの運営する通販サイトで表示することができるのは英語のサイトです。アメリカやイギリスに住んでいる人だけでなく、その他の英語圏の国に住んでいる人も、店舗の情報を英語で入手できます。

この会社の通販サイトは、中国語で表示することもできるので、日本国内にある店舗の場所なども、中国語でわかります。この会社の公式サイトは韓国語でも表示できるため、韓国語でも店舗の情報を入手できます。このサイトは、使用できる支払いの方法なども外国語で表示しています。

Kakimori

Kakimoriは、筆記用具などを販売しているお店です。このお店の店舗は台東区にあり、インターネットでも商品を販売しています。このお店の通販サイトは、日本国内だけでなく、海外にも商品を販売しています。海外の利用客に対応できるようにするため、このお店の通販サイトは英語に切り替えることもできます。商品の購入方法なども英語のサイトで紹介されているので、買い方がわからない人も英語で簡単に理解できるようになっています。

このお店で販売している商品の種類は多く、ペンやインクなどの商品も販売しています。手紙やノートなどの商品も販売しているので、書き物をするために必要なものを、このお店だけで一通り購入することもできます。

SAMURAI STORE

SAMURAI STOREは、サムライストア株式会社が運営している越境ECサイトです。この会社で販売しているのは、甲冑などの商品です。レプリカの甲冑ではなく、本物の甲冑を購入できます。この会社で販売している甲冑は、アメリカのプロ野球チームでも使われていて、有名な日本人選手も使用しています。

この会社のサイトは複数の言語に対応していて、日本語以外の言葉でも表示することができます。英語の他に中国語でも表示することができ、インドネシアの言語でも表示ができます。この会社が運営しているSAMURAI STOREは外国人を対象にして商品を販売していて、商品の説明も英語でおこなわれています。この他に、日本刀などの商品も販売しています。

BENTO&CO

BENTO&COは、株式会社BERTRANDが運営している通販サイトです。京都で営業しているこの会社は、弁当用に使用できる容器などを販売しています。この会社では、日本人を対象にした通販サイトだけでなく、海外に住んでいる人を対象にした通販サイトも運営しています。この会社で海外向けに販売している種類の数は多く、寿司と猫のイラストが描かれた商品も購入できます。

セット商品もこの会社では扱っていて、弁当箱と巾着袋がセットになった商品も販売されています。このお店ではオリジナルの箸箱も販売されていて、このような商品も越境ECサイトで購入できます。風呂敷型の箸ケースも、このお店だけで販売している限定商品です。

まとめ

越境ECサイトを運営している日本国内の企業が増えています。このようなサイトを運営することにより、日本国内だけでなく、海外に住んでいる人にも自社の商品を販売できます。競争相手が少ないこともこうした方法で商品を販売するメリットで、現地に店舗を出店するよりも、多くのコストをかけずに商品を販売できます。

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