アウトバウンドコールとは?実施する時のポイントやツールを解説

最終更新日 : 2021-06-30 Box

企業の商品やサービスを潜在的な顧客に知らせたいという場合、新聞広告や折り込みチラシ、テレビやラジオのCMなど様々な手段があります。

近年では、サイトのバナーや動画の広告、SNSによる紹介なども一般的になっており、意識していなくてもいろいろな情報が目や耳から入ってくるほどです。

しかし、昔から用いられているアウトバウンドコールという手段にも、これらの便利な広告とは別の特徴やメリットがあります。

こちらでは、一見非効率的なアウトバウンドコールの特徴やメリットなどを見ていきます。

アウトバウンドコールとは何か

自社が取り扱っているサービスや商品を顧客に周知するための方法はいくつもありますが、中でも個別に、積極的に行う手段がアウトバウンドコールです。

アウトバウンドコールとは、企業から顧客に対して電話をかけて営業するアクションのことで、時には広告やCMよりも注文や契約を得やすくなることがあります。

広範囲の顧客に一人ずつ順番にアクションをしていく必要があるため、通常は多くのスタッフが多数の電話を使って連絡を取っていくという流れです。

アウトバウンドコールのメリット

アウトバウンドコールは、手間がかかる上に紙媒体やメディアによる公告のような短時間で広範囲に及ぶ周知には至りませんが、顧客一人ひとりに商品やサービスをより強く印象付けたり、疑問をその場で解消して購入や注文に持ち込んだりすることが可能です。

また、興味がないものは流して見聞きする人も多いですが、一対一の電話では相手のニーズを判断して興味を引くことができますし、成約率の高い相手を選んで会話をしながらの紹介になるので、効果が出やすいというメリットがあります。

スタッフの能力や事前調査にもよりますが、相手の様子を見ながら対話を行うため、成約に至らなかった場合でも企業のイメージアップや潜在的な顧客の獲得につながることがあります。

アウトバウンドコールとインバウンドコールとの違い

アウトバウンドコールが企業から顧客に対する営業の電話であるのに対し、インバウンドコールとは、顧客側が企業に対して商品等の問い合わせやクレームなどの連絡をするときの電話です。

こちらも電話でやり取りをするという点では同じですが、メールやQ&Aなどのやり取りとは異なり、個別の複雑な問い合わせにも柔軟に対応できるだけでなく、対応次第で顧客満足度を上げることもできるため、多くの企業でインバウンドコールも取り入れています。

アウトバウンドコールが潜在的な顧客も含む能動的な営業であるのに対し、インバウンドコールは顕在的な顧客に対する受動的な営業でありながら、継続的な売上や企業に対するイメージアップなどの効果が期待できます。

アウトバウンドコールの種類

一口にアウトバウンドコールといっても、その種類はいくつかあります。こちらでは、対象や目的別にどのような種類があるのかを紹介していきます。

1.新規・見込み顧客へのアウトバウンドコール

より多くの顧客を得るために行われるのが、これまでに取引などがない新規、調査により商品等に興味を持ちそうな見込みの顧客に対するアウトバウンドコールです。

今までのつながりがないので、連絡先に関しては自社のデータベースが使えず、合法的、道徳的な手段で入手したリストを用いて電話をかけていくことになります。

これが一般的な営業電話で、興味を持っていない相手に連絡をすることもありますが、興味があっても企業や商品等について知らなかったという相手に連絡できた場合には、新たに売上を獲得することができます。

また、全く知らなかった人が話を聞くうちに興味を持ち、成約に至るということもあります。

2.既存の顧客へのアウトバウンドコール

既に自社の製品やサービス等を利用したことがある相手に対しては、住所や電話番号などの連作先を把握しています。

これらの取引経験がある既存の顧客にニーズに合った商品等を勧めたり、新しいサービス等を知らせたりする目的で電話をかけるのも、アウトバウンドコールの一種です。

この手法には二つの目的があり、既に取引のある相手に対して新しい提案をすることで、より販売経路を広げていくという目的の他に、現在つながりのある相手との良好な関係を維持することで継続的な取引や相手からの評価の向上などを目指すこともあります。電話だけでなく、あらかじめダイレクトメールなどの郵便物を送った後で、フォローのために連絡をするケースもあります。

3.休眠顧客へのアウトバウンドコール

以前取引があったものの、現在は解約してつながりが切れている休眠顧客に対しても、アウトバウンドコールは有効です。

特に理由がなく期日が来たので解約された場合や興味の対象が変わって取引を終了した場合など、よりニーズに合った提案をすることで新しく契約を取りつけられることがあります。

会社が取引相手となっている場合には、前回から担当者が変わることもあるため、新たに成約となるケースも少なくありません。

4.市場調査目的のアウトバウンドコール

勧誘などの営業だけでなく、調査目的のアウトバウンドコールも存在します。

調査目的の場合は大きく分けて二種類あり、ひとつは企業活動をする上で参考となる市場調査やマーケティングリサーチ、もう一つが世論調査です。

企業が行うのは前者の市場調査で、新たな流行や売れ筋を生み出す際に非常に参考になります。ネットなどのアンケートと異なり、個別の質問なのでより詳細なデータを取ることができるだけでなく、詳しい説明も聞けるので、より有用な結果を出しやすいです。

アウトバウンドコール実施する際のポイント

アウトバウンドコールを実施するときには、むやみに電話をかければいいというものではありません。

ここでは、より効果を出しやすくするポイントを紹介していきます。

1.KPIを設定する

アウトバウンド業務で成果を出すには、「コンタクト率」と「承諾率」という2種類のKPIを設定する必要があります。

コンタクト率は、電話をかけた相手の中でどれくらいの人とコンタクトが取れたかという割合で、この率が低い場合には架電する日時や曜日などを見直します。

BtoCでは相手の年齢や住所、職業を、BtoBでは会社規模や職種を参考に予測を立て、2時間ごとにコンタクト率を確認しながら修正します。

承諾率は、コンタクトが取れて営業を行った結果、契約や購入の承諾を得られた割合です。顧客の立場になって説得力や納得性のあるポイントを考慮して、この承諾率がどのように上がるか集計をしていきます。

2.ターゲット・顧客の調査

アウトバウンドコール業務を行うときには、当然のことながら電話で対応をする担当者の能力が重要です。

相手の興味を引き、購買意欲をそそるような話し方や知識があってこそ、この営業手法は高い成功率を収めるでしょう。

とはいえ、どれほどセールストークが上手であっても、最初から忌避感を持っている人や購入する気が一切ない相手に営業をかけたところで、迷惑がられるだけに終わる可能性が高いです。

まずは売り込みたい商品やサービスを必要とするターゲットや顧客の層を調査してから行った方が、良い結果が出やすいでしょう。

3.トークスクリプトを作成する

アウトバウンドコールを行う際、トークスクリプトを作成しておくと、スムーズな提案がしやすくなります。

トークスクリプトとは営業電話における会話の流れを綴ったシナリオで、これが相手に理解しやすく受け入れられやすい高品質なものであれば、初めて会話をする相手とも順調に話が進み、合意を得られやすくなります。

逆に、このトークスクリプトが稚拙なものだった場合、電話なので途中で切られてしまうこともあります。

トークスクリプトの内容は業種や営業をかける相手、提案する商品等によって異なりますが、相手が問題視していることや課題にしていることなどを聞き出し、その解決方法として自社の商品等を紹介するといった流れです。

ケースに応じて話を切り出すタイミングや勧める商品またはサービスなどを決めておきます。

4.リストを利用する

新規・潜在的な顧客にアウトバウンドコールをするときにはターゲット層の選定が重要になりますが、既存・休眠状態の顧客に対して行うときにはすでに所有しているリストを活用するのがおすすめです。

顧客リストはアウトバウンドコールなどの営業をかける際に重要な連絡先ですが、自社の商品やサービスに興味を持っている対象でもありますので、上手に活用することで長期的な売り上げを得ることにつながります。

アウトバウンド業務を行う時のポイント

実際にアウトバウンドコールを行う段階になると、ある程度相手の様子をうかがいながら柔軟に対応を変えていく必要があります。

こちらでは、業務上のポイントを見ていきます。

1.第一印象が重要

アウトバウンドコールにおける相手が自社に持つ印象は、電話に出てから10秒までで決まるといわれています。電話はいつ切られても仕方ない連絡手段で鵜ので、まずは声のトーンや話し方、言葉遣いで親しみやすさや礼儀正しさを伝える必要があります。

自己紹介や商品の説明を最初にすませ、質問形式で会話を進めていくのがおすすめです。

2.話し方を意識する

話を聞く側にとって、何度も聞きなおさなければならない通話は苦痛です。電話越しに意味や言葉が伝わりやすいように、大きめの声で高めのトーンを意識して話すようにします。

結論を急ぐあまり早口になる人もいますが、言葉だけで相手に理解してもらえるように、普段よりゆっくり話すことを意識しましょう。

3.利益やメリットを短時間で明確に伝える

営業電話で長話をしたいという人はいませんので、アウトバウンドコールでは紹介したい商品やサービスについて、効率よく手短に説明する必要があります。

そのためには、長々と誰にでも使えるような説明をするのではなく、電話の相手が知りたいことや欲していることを読み取ってピンポイントに相手の利益やメリットを伝えなければなりません。

適切な質問、相手に寄り添った返答などのコミュニケーション能力が必要です。

4.トークスクリプトを改善する

トークスクリプトの重要性は先に述べた通りですが、ターゲット層や商品等によっては、トークスクリプトを改善したほうが良い場合も出てきます。

何度かアウトバウンドコールを行ってみて、既存のトークスクリプトが使いづらいと感じたり、話の流れが顧客のニーズに合わなかったりしたときには、実際に対応をしている現場スタッフの声を聞いた上で改善するとよいでしょう。

もちろん、それでも使いづらい場合には適宜改変していくことでより使いやすくなります。

おすすめのコールセンターシステム

コールセンターシステムを利用するときには、自社のニーズに合った実績のあるところを選ぶのがおすすめです。

以下に評価の高いところを紹介していきます。

1.BIZTELコールセンター

BIZTELコールセンターはクラウド型のコールセンターで、ネット環境とPCがあれば高機能なコールセンターを構築できます。

最短5営業日で利用開始となり、アウトバウンドコールには自社の電話番号をそのまま継続して使えます。セキュリティーや個別のニーズへのカスタマイズ対応も充実しており、24時間365日つながるサポートセンターもありますので、初めて利用する企業にもおすすめです。

すでに1700社を超える導入実績があり、幅広い業種や商品、サービスの営業に柔軟に対応してもらえます。

2.COLLABOS PHONE

一般的なコールセンターでは3分程度の単位で課金設定がされているのに対し、COLLABOS PHONEは秒単位の課金設定となっているため、相手にすぐ電話を切られたとき、想定より早く通話が終わったときに出る非通話によるコストを削減することが可能です。

トークスクリプトや通話のモニタリング、録音などのオプション扱いになりがちなサービスをオールインワンに提供しているので、コストパフォーマンスの高いサービスと言えます。

クラウド型システムなので、Excelファイルに必要事項を入力するだけですぐに導入できます。

3.Sakuraコールセンターシステム

Sakuraコールセンターシステムはクラウド型のテレアポ管理システムで、これまで個別に管理して情報を整理しづらかった各種リストや集計資料を一元管理できるようになります。

アウトバウンドコールにおいて、種類別のリストやKPI、トークスクリプトといった情報をわかりやすく管理することは非常に重要ではありますが、肝心のデータが整理されていなければ、架電件数が少なくなるだけでなくデータの改善も困難です。

その点、データ管理やサポートが充実しているこちらを利用すれば、電話に集中できます。

4.Genesys Cloud

Genesys Cloudは自由度の高いカスタマイズ性が特徴で、大企業から中小企業まで、さまざまな規模や業種に応じたサービスを受けられます。

電話、Eメール、SNSなどの複数のチャネルを一つのインターフェースで管理できるため、アウトバウンドコール以外の営業も含め、より効率的なコンタクトができるようになります。

また、これらの集計を一元管理することで様々な視点から分析できますので、顧客満足度のアップや集客力につなげやすくなります。

週単位のアップデートで常に最新のシステムが利用可能です。

5.柔軟なサービスの楽テル

楽テルは必要に応じて欲しい機能を追加できるコールセンターCRMシステムで、初期設定はインバウンドコール、アウトバウンドコール、FAQ管理に分けられますが、販売や受注業務の追加も可能です。

対応スケジュールの通知や過去の対応履歴の照会、エスカレーション案件のメール自動送信など、スピードや正確性が求められるオペレーター業務においてあると便利な機能が多数そろっています。

入力業務が簡単で検索の表示がスピーディーですので、オペレーターの作業効率がアップしますし、対応を受けた顧客の満足度の向上にもつながります。

コールセンターを外部依頼する場合のポイント

自社で大勢のスタッフや多くの端末を用意してアウトバウンドコール業務を行うのは難しいという場合には、コールセンターに外部依頼をすることも可能です。

こちらでは、外部依頼をするときのポイントをご説明します。

1.料金体系やコストパフォーマンス

アウトバウンドコールをコールセンターに依頼する際、料金体系の確認は必要不可欠です。一般的には初期費用と月額基本料が発生し、カスタマイズや規模の拡充、オプションの追加などによって追加料金が必要になります。

料金の安さだけでなく、サービス内容の充実や計算方法などによっても異なってきますので、複数の業者から一括見積をとった上で比較検討しましょう。

2.セキュリティ

アウトバウンドコールにおいては、顧客の住所氏名、生年月日及びクレジットカード情報など、個人情報も数多く含むデータを使用することになります。

そのため、不正アクセスやサイバー攻撃に対するセキュリティ対策には最大限の配慮をする必要があります。

外部委託をする場合はコールセンターのセキュリティ体制がきちんとしているか、オペレーターの危機管理意識が徹底されているかを確認してから依頼した方が良いでしょう。

3.マニュアルやトークスクリプトを用意する

充実したマニュアルや分かりやすいトークスクリプトは、顧客に自社サービスをきちんと理解してもらうだけでなく、新人のオペレーターを教育するときにも必要です。

大まかには、第一印象を決める挨拶や自己紹介、質問や相手の反応に応じた対応、用件を終えた後の次回の予約や対応に関するお礼といった流れになります。

実際には商品やサービスの内容、相手の質問や反応を想定した上での各対応など多岐にわたった内容になるため、これらをわかりやすいレイアウトで充実した内容にしておくのが理想です。

アウトバウンドコールまとめ

このように、アウトバウンドコールは無作為に行った場合には、手間ばかりがかかってなかなか顧客の獲得や成約につながらないように思われがちですが、目的をもって成功率を上げるための要所を抑えつつ、時には有用なコールセンターを活用することで一般的な宣伝広告とは違う分野の販路開拓が望めます。

他の手段も取り入れつつ、さらなる売上の上昇を目指して営業を行ってみてはいかがでしょうか。

Twitter Facebook Bing