ファクタリングとは?仕組みや標準手数料、主なファクタリング会社など選ぶポイントを徹底解説!
働き方の自由度が広がり、個人でフリーランスで仕事をする人や小規模の企業を作る人が多くなっています。
日本企業の99%以上が中小企業を占め、雇用の受け皿としても大切な役割を果たしています。しかし景気の動向次第では資金繰りに困ることもあり、資本力のなさから銀行の融資を受けられないことも少なりありません。
そのような時にファクタリングは選択肢の1つとして挙がってきます。
ファクタリングとはどのようなサービス?
ファクタリングとは、既に仕事を終えて請求書を出した「債権」を買取専門業者に買い取ってもらい、現金を手にする資金調達手段です。
金融機関からの融資とは異なるため、赤字決算をしている企業でも利用できる可能性が高く、最短即日で現金を手にすることができる場合もあります。
資金調達ができるファクタリングの仕組み。
仕事を終えて請求書を出せば、売掛金として債権を計上できます。債権の売買になるため、まだ仕事をしていない案件のファクタリングはできません。
買取業者に債権の額面から手数料を引いた金額で買い取ってもらうため、請求額からは受け取れる金額が減りますが、本来の支払日を待つことなく現金を手にすることができ、支払いや新たな投資に利用することができます。
2社間でのファクタリング
2社間ファクタリングは買取業者と申込者の間で契約を締結します。
買取業者の判断次第では債権譲渡登記を保留にしてくれるところもあるため、取引先に資金繰りが悪化していることを知られることなくファクタリングができます。
利用者が申込をすると申込者や売掛先について調査を行い、問題がなければ契約が可能になりますが、初めての取引先やすでに支払いが遅れている不良債権の買取をしてもらうことはできません。
取引先からの支払いは本来の支払日に行われるため、入った金額をすぐに買取業者に送金する「事務委任契約」も必要になります。
すべての内容に合意した場合は手数料を引いた金額を受け取り、権利自体は買取業者に移ります。このときの手数料の金額は業者によって大きく異なりますが、数%から30%近くまでかかることもあるため、負担が大きくなる点がデメリットです。
2社間ファクタリングをしている最中に取引先が倒産した場合、権利自体が消滅するため、負債になることはありません。
しかしこうした仕組み上、業者のリスクが高いことから手数料も高額になっています。
3社間でのファクタリング
3社間ファクタリングは申込者、取引先、買取業者の3社間で契約を締結します。
申込者が業者に申し込みをして条件を聞いたのち、取引先に債権を売却することの承諾を得なくてはなりません。
承諾を得た場合、取引先と買取業者の間で支払い契約が行われ、本来申込者に支払う予定だった支払いの権利が業者側に移ることになります。
買取業者は直ちに買い取った金額を申込者に支払い、その後申込者との契約は完了になります。本来の支払日になると取引先が買取業者に支払いをするので、業者は債権の権利を行使したことになり、契約が完結します。
2社間ファクタリングと比較すると取引先から直接入金があるため、業者のリスクは少なく、手数料が安くなりやすいのが特徴です。
しかし申込者から見ると資金繰りが悪化していることを取引先に知られてしまうため、今後の取引に影響が出る可能性がある点がデメリットになります。
また、取引先の承諾を得るのに時間がかかることもあるため、即日現金化することが難しくなります。
ファクタリングの種類にはどのようなものがある?
ファクタリングは大きく分けると買取型と保証型の2種類があります。
買取型では債権譲渡禁止事項の記載があると、売却することができない点に注意が必要です。支払いは全額一括送金に限られています。
保証型とは債権回収が不可能になったときに代理で支払ってもらえる保険のような役割のある商品です。また、買取型の中にも一般的な債権の他に医療や国際債権などがあります。
1.買取ファクタリング
買取型のファクタリングは最短で即日現金を手にすることができるのがメリットです。
支払いに困っているときに対応するのには適した方法ですが、本来待てば全額入ってきた金額が手数料の分減ってしまうため、その後の事業次第では経営状態が余計に悪化してしまう可能性があります。
手数料も高額になることが多いため、手数料以上のメリットがあるかどうかをしっかりと検討してから利用する必要があります。
また、2社間ファクタリングを利用していて買取業者への支払日に支払いができなくなってしまうと、横領や詐欺になる可能性があるので気を付けなくてはなりません。
契約時に業者側からも細かな説明が入る箇所ですが、分割支払いや延滞は認められません。本来取引先にばれないファクタリングですが、トラブルが起きると取引先に通知がいくこともあり、信用関係が悪化することもあります。
2.保証ファクタリング
保証型ファクタリングはすぐに債権を現金化できるものではなく、その効力が発揮するのは取引先が倒産してしまったり、支払い遅延が発生したときです。
ファクタリング業者が回収不可能と判断したら申込者に代理で支払いをするので、支出と歳入を計画通り進めたいときには有効な手段でしょう。
取引先にトラブルが発生しなければ保証料は無駄になってしまうので、リスクの高い取引先で利用するのが良いです。しかしリスクが高ければ保証料も高くなりやすいため、まずは安全な取引先なのか自分で判断してから取引をすることが大切です。
高額な取引額のある相手に対して不安があるときは利用してみるのも良いかもしれません。
ファクタリングの主な利用シーン
事業をするにあたって信用はとても大切です。取引先への支払いや従業員への給与が払えなくなってしまうと、今後の事業計画に大きな痛手となることがあります。
手元に現金がなく延滞してしまいそうなときにファクタリングは有効な手段です。
1.早期の資金調達や資金繰り
銀行や消費者金融からの融資は審査があるため、信用情報が悪化していたり赤字決算があると借り入れをすることは難しくなります。
すでに借り入れが高額な場合も審査に通らなくなる可能性が高く、そのような時に利用できる資金調達手段としてファクタリングが登場します。
ファクタリングでは最短で即日、売掛金を現金化することができるため、まとまった金額を手にすることができるでしょう。短期間で見ると借り入れよりもかなり高額な手数料になってしまいますが、帳簿上は負債にはなりません。
現金は材料の入荷や従業員への給与の支払い、家賃や光熱費などの支払いに充てることができ、遅延を免れることによって企業の信用をキープすることができます。
一度企業が信用を失ってしまうと、重要な人材が流出してしまったり、それにともなって技術やノウハウも社外に漏れてしまうことになります。
長期的な運営を考えると痛手になることがあるので、避けなくてはなりません。
2.入金サイクルが遅い場合
企業間の取引の場合、仕事を終えて請求書を発行し、請求額が入金されるまでにかなりの時間がかかります。
相手が大企業で下請法の規制下にあったとしても、最大で納品後60日かかります。その間も人件費や地代家賃、光熱費はかかり続けますので、それに対応できるだけの資金力が必要です。
入金サイクルは取引先のルールによっても異なり、いつ入金になるのか確認しておく必要があります。
相手先の企業で決まっていることなので、頼んでも基本的にはサイクルを速めることはできないでしょう。この入金までの期間のことは「支払いサイト」とも言います。
ファクタリングで債権を売却してしまえば、この支払いサイトを待つことなく現金を手にすることが可能です。
ファクタリングを利用したときのメリット
ファクタリングのメリットは現金を手にすることができるまでの期間の短さです。
午前中に申し込めば午後には現金化できる業者も多くあります。また帳簿上の負債にならないので、取引先銀行の信用を悪化させる心配がありません。
1.本来の入金日よりも早期に現金化できる
必要になる書類を準備する手間はありますが、最短で即日現金化でき、すでに利用したことがあるファクタリング業者だった場合は必要になる書類も減るため、2回目以降はよりスムーズに現金化することができます。
最近ではインターネット上のやりとりだけで完結する業者も増えてきたため、対面の面談をする機会も減っています。
対面面談が必要な業者に依頼する場合は、行ける距離なのかどうかも確認しておきましょう。
2.担保や保証人なしで利用できる
買取ファクタリングは売却なので、担保や保証人も不要です。
ABLという債権を担保にした借り入れ方法もありますが、その場合は売掛債権が担保の役割をするため、債権の金額内での借り入れができます。こちらの場合も原則的には保証人は必要ありません。
3.取引先が破綻したときなど、売掛金未回収のリスク回避
債権譲渡には高い手数料が発生してしまいますが、取引先が倒産したときにもメリットが生まれます。
ファクタリングを利用せずに入金を待っていても、取引先が倒産すると差し押さえが発生するため、支払いが行われなくなってしまいます。
すでに売却済みであればこうしたデメリットも含めて業者が買取をしているため、本来の支払日に入金がなくても弁済する必要はありません。
買い取ってもらった金額を返す必要もないので、リスクの売却もできるます。
ファクタリングのデメリットについて
ファクタリング一番のデメリットは、その手数料の高さでしょう。
一度だけの利用で済めばよいですが、本来の入金日に入ってきたお金を転送しなくてはならないため、翌月以降の支払いも計画的に行う必要があります。
1.本来入ってくるはずだった利益の減少
ファクタリング業者に支払う手数料の分、利益は減少します。
何度も利用していると総手数料額が高額になってしまい、経営そのものが自転車操業になってしまうこともあります。
一時利用するだけであれば問題ありませんが、毎月業者に頼る生活に陥ってしまわないように、どこかで抜け出す準備が必要になります。
また、苦しいからと言って同じ債権を複数の業者に売却しようとすることも禁止されています。
債権譲渡登記を保留している業者では実質可能ですが、発覚したときは詐欺で訴えられる可能性があり、信用に大きな傷をつけることになります。
2.ファクタリングを知られた時の取引先との関係に影響
3社間ファクタリングでは2社間と比較すると圧倒的に安い手数料で利用できますが、取引先には資金繰りが悪化しているということがわかってしまいます。
倒産されてしまうと事業に影響が出る懸念から、今後の発注が控えられたりなくなってしまう可能性もゼロではありません。
取引先との関係性次第ですが、請求を分割して早めに出せないかなど相談をしてみるのも良いかもしれません。
3.利用業者がヤミ金融業者の可能性
ファクタリングは貸金業ではないため、金融庁の監督下にはなく、規制する法律も整っていません。
そのためたくさんの業者がファクタリング事業に乗り出しており、中には悪質な業者も少なからず存在しています。
当然闇金や反社会的な集団も紛れ込んでいるため、ファクタリング業者を探すときはかならずどのような会社なのか、創業はいつなのか、取引実績や会社としての実態はあるのか確認するようにしましょう。
ファクタリングをするときにたくさんの書類を用意させられますが、闇金に当たってしまうと個人情報が裏でリスト化されて売却される危険もあります。
ファクタリングは違法な取引なの?
貸金業の場合は上限利息が設定されているため、それ以上の金利を設定すると違法業者になります。
しかしファクタリングは貸金業ではないので取り締まる法律はなく、海外ではメジャーな資金調達手段の1つとして人気があるサービスです。
経済産業省も資金調達手段の1つに推奨しているので、悪徳業者にさえ当たらなければ問題はありません。
違法業者に引っかからないためには、契約書の中に債権譲渡契約が含まれているか、買い戻し請求権や償還請求権の記載があるかどうか確認しておきましょう。
手数料が高すぎる場合も違法ではないものの、良い業者とは言えませんので利用は控えたほうが良いです。
また、様々な業者を利用するよりも利用業者を決めておいた方が信頼関係ができ、手数料も安くなる可能性が高くなります。
ファクタリングサービスの選ぶポイント
業者の選び方は3種類あります。手数料の安さ、入金までのスピード、必要書類の種類です。
これらを総合的に判断して安全性の高い会社と取引をするようにしましょう。
1.一般的な手数料水準
2社間ファクタリングの場合は5%~15%、3社間ファクタリングの場合は1%~10%程度が手数料の目安となります。
ただし売掛債権のある取引先企業が中小で信用力が低い場合、手数料はもっと高くなることも少なくありません。
昔は30%以上手数料がかかることも多かったものの、最近では大手上場企業がファクタリング事業に参入してきたり、業者の数自体も増えてきたため、競争が激化し、手数料水準も大幅に下がっています。
また支払日までの期間が短いほど手数料も安くなるので、入金日まで間もない場合は交渉してみるのも良いかもしれません。
債権譲渡登記を行うと司法書士手数料等がかかってくるので、少額債権の売却では負担が大きくなることもあります。
債権譲渡登記を保留にしてくれる業者もあるので、相談してみると良いです。
2.契約完了から入金までの期間
売却契約が成立した場合、最短即日で振り込みがされます。ただし業者側の振り込み担当部署の営業時間にもよって異なり、遅い時間に契約が完了すると翌日や翌営業日になることもあります。
金曜日の午後に申し込みをする場合は月曜日の振り込みになることもあるので注意しましょう。
3.契約書をしっかり用意する会社か
売買契約は必ずしっかりと書面に残さなくてはなりません。契約書は取引をした証拠になりますので、書類を用意しない会社は避けたほうが良いです。
書類の中には償還請求権の有無や債権譲渡登記、通知の有無、手数料や契約期間、違約金などについてかかれているか見ておきましょう。
2社間ファクタリングでは別途事務委任契約も必要になります。これは取引先から請求書の入金があったら即座にファクタリング業者へ支払いをするという契約です。
4.サービス会社の情報が開示されているか
取引するファクタリング業者の実態を調べることは重要です。
インターネットで完結するタイプの業者が増えた今だからこそ、必要な調査と言えるでしょう。
ホームページなどで会社の住所や電話番号の記載、企業の登録番号などがあるか確認しましょう。
住所がわかれば地図アプリなどで現地の様子を見ることができますので、会社が本当にその場所に実在するのかどうかもチェックしなくてはなりません。
バーチャルオフィスを利用していて実体のない企業もあるので注意が必要です。
ファクタリング申込みに必要な主な書類
業者によって必要な書類は異なりますが、法人の場合は登記簿謄本、個人でも身分証明書や印鑑証明、確定申告書、直近数ヶ月分の口座を確認できるスクリーンショットや通帳のコピー、取引先との契約書、請求書と仕事をしたことが証明できるメールのスクリーンショットなどが必要です。
2回目以降は身分証明書などを必要としない業者も多くあります。
主なファクタリング会社5選
ファクタリング会社は取引実績があって、評価の高いところを選ぶと良いです。
利用者が多ければ問題が起きておらず、安心して利用することができる目安になります。
ここでは著名なファクタリング会社を厳選してご紹介します。
OLTA
OLTAはサービス開始当初は個人事業主の利用はできませんでしたが、現在ではフリーランスでも利用できるオンライン完結型のファクタリングサービスを提供しています。
オンラインで完結すると手間がかからないだけでなく、業者側のコストも削減できるため、2%~9%という低い手数料で提供されています。
業界で先駆けてAI審査が導入されているため、審査もシステム的に行われ、結果が出るまでのスピードが早いのも特徴です。
事業を開始して4か月以上経っていれば利用でき、銀行の融資を断られる人でも契約実績があります。
償還請求権のない契約となるため、取引先が倒産してしまっても弁済する必要はありません。
三菱UFJファクター
三菱UFJファクターでは海外の取引先の債権でも利用できる国債ファクタリングをサポートしています。
国内だけでなく輸出入をしているような企業でも利用できるのが特徴です。ただし買取型のファクタリングではなく、保証型のファクタリングなので即日現金が欲しい場合には向いていません。
銀行系ファクタリング会社として長い営業実績があるので安心して取引ができる企業です。
電子請求書早払い
電子請求書早払いは東証プライムに上場している企業2社が提携して提供しているサービスです。
上場企業が運営元なので安心して利用でき、手数料も1%~6%と低く設定されています。最大1億円の売掛債権まで対応していますが、入金スピードが最短2営業日なので、申し込みのタイミング次第では少し時間がかかってしまいます。
初回利用に関しては最短5営業日となっている点には注意が必要です。すべての契約がインターネット上で完結するため、地方企業でも利用がしやすいのが特徴です。
ビートレーディング
ビートレーディングはファクタリング業者としての営業歴が長く、ファクタリング業界の先駆者的な存在です。
入金までのスピードの速さに特徴があり、12時間程度で資金調達が可能です。
3億円までの売掛金にも対応しているため、急にまとまった金額が必要になった時でも対応してもらえます。
一方個人事業主の少額の売掛債権にも対応しており、買取債権額の上限加減を気にせずに申し込みができるでしょう。
ただし少額の場合は手数料の割合が高くなりやすいので注意が必要です。2社間の場合は5%~20%程度、3社間の場合は2%~の手数料になっています。
取引先の信用力次第で手数料は変わってくるので、大企業ほど安く、中小企業の場合は少し手数料は高くなります。
メールでの営業も行っており、キャンペーンの通知をしてくることもあります。
一般社団法人日本中小企業金融サポート機構
一般社団法人日本中小企業金融サポート機構はファクタリング業者というよりは資金繰りに関してトータル的にコンサルタントをしてくれる、関東財務局長及び関東経済産業局長が認定する経営革新等支援機関です。
個人事業主や零細企業を主に相手にしており、資金調達の実績がある専門家や弁護士、税理士などとともに利用者に適した方法をアドバイスしてくれます。
買取ファクタリングと保証ファクタリングの他にも、医療や一括、国際など様々なものに対応しています。
ホームページ上でも様々な資金繰りの方法についてコラムが書かれています。
ファクタリングまとめ
ファクタリングはあくまでも資金調達手段の1つで、利用した後のこともしっかりと考えなくてはなりません。
支払いが迫っているとつい、目の前のことでいっぱいになってしまうかもしれませんが、安全な業者なのか、利用した後のキャッシュフローは健全なのか、今後の事業への影響はないかなど見極める必要があります。