SDK(ソフトウェア開発キット)とは?特徴やAPIとの違いを解説

最終更新日 : 2023-03-10 Box

ソフトウェア開発において、アプリケーションを開発するために必要なライブラリやツールを提供する開発キットがあります。この開発キットをSDKと呼びます。SDKを使うことで、アプリケーション開発に必要な諸々の機能を実装することができ、開発期間を短縮することができます。

SDKとは?

SDKとは、Software Development Kitの略で、ソフトウェア開発キットと呼ばれます。SDKは、開発者がアプリケーションやプログラムを作成するために必要なツールや資源を提供するプログラミングツールキットのことです。開発者は、SDKを利用してアプリケーションやプログラムを開発し、動作環境で実行できるようになります。
SDKには、コンパイラ、デバッガ、APIドキュメント、サンプルコード、解説文書などが含まれています。これらのツールは、開発者がアプリケーションやプログラムを開発する際に必要な機能を提供します。SDKにより、開発者は短時間で高品質のアプリケーションやプログラムを開発することができます。

SDKに含まれるものとは?

SDKには、解説文書、APIドキュメント、サンプルコード、デバッガ、統合開発環境〔IDE〕、ライブラリ、エミュレーターなどが含まれています。各ツールがどのような役割を持っているのかを解説します。

1.解説文書

ツールの中でも特に重要なのが、「解説文書」です。SDKには、APIの仕様や使用方法、サンプルコードなどが詳細に解説されたドキュメントが含まれます。このドキュメントを参照することで、開発者は必要な機能を正しく使用することができます。解説文書には、ツールのインストール方法や開発環境の構築方法などの情報も含まれています。

2.APIドキュメント

APIドキュメントは、SDKが提供するAPI(Application Programming Interface)の詳細な説明を提供しています。これにより、開発者は、提供されている関数やメソッドを理解し、効果的に使いこなすことができます。APIドキュメントには、引数の説明、戻り値の型、使用例、エラーコードなどが含まれています。

3.サンプルコード

ツールには、実際に動作するコードを作成するためのサンプルコードが含まれています。これらのコードは、SDKに含まれるAPIを使用する方法を示し、開発者が自分のアプリケーションに適合させることが可能です。サンプルコードには、基本的なアプリケーション、機能拡張、プラグインなどさまざまな種類があります。開発者は、必要な機能を追加するためにこれらのサンプルコードを修正することができます。

4.デバッガ

デバッガは、プログラムの実行中にエラーやバグを見つけたり、プログラムの挙動を確認したりするために使われます。SDKに含まれるデバッガは、アプリケーションをステップ実行したり、変数の値を確認したりすることができます。そして、アプリケーションがクラッシュした場合には、クラッシュした状況を詳細に解析することが可能になります。デバッガを使うことで、より効率的にアプリケーションを開発することができます。

5.統合開発環境〔IDE〕

統合開発環境〔IDE〕は、ソフトウェア開発に必要なツールや機能が一つのパッケージに統合されており、開発効率を高めることができます。SDKのIDEには、コーディング支援機能、デバッグ機能、ビルドツール、テストツールなどが含まれており、開発に必要な機能が一つにまとまっています。IDEを利用することで、開発者は手軽にアプリケーションを開発することができ、開発効率の向上に繋がります。

6.ライブラリ

ライブラリは、共通の関数やクラスをまとめたものであり、アプリケーション開発において、再利用可能なコードを提供します。SDKに含まれるライブラリには、ネットワーク通信やデータの暗号化、UIコンポーネントなど、多くの種類があります。これらのライブラリを利用することで、アプリケーションの開発効率を向上させることができます。

7.エミュレーター

実機がなくてもアプリケーションの動作確認ができる「エミュレーター」が含まれています。エミュレーターは、実機と同様の環境を再現するために開発されており、開発者はアプリの動作を確認しながら開発を進めることができます。さらに複数のエミュレーターを起動させることで、異なる機種やOSの動作確認を同時に行うこともできます。エミュレーターは、開発の効率化に貢献する重要なツールの一つです。

APIとは?

APIとは、「Application Programming Interface」の略で、異なるソフトウェアの間で情報をやりとりするためのインターフェースのことです。APIを使用することで、複数のアプリケーション間でデータの受け渡しや機能の共有ができるようになります。APIは、ウェブAPI、デスクトップAPI、モバイルAPIなどの種類があり、それぞれのプラットフォームに特化したAPIが存在あります。APIは開発者に対して、コードの再利用やアプリケーションの機能拡張、データの統合などのメリットをもたらします。APIを提供する側は、自社のサービスやデータを外部の開発者に公開することで、新たなビジネスチャンスを得ることができます。

SDKとAPIの違いとは?

SDKとAPIは、ソフトウェア開発において必要不可欠なツールであり、相互に補完的な役割を持っています。SDKは、アプリケーションの開発に必要な各種ツールを提供するパッケージであり、APIは、アプリケーションとデータのやり取りをするためのインターフェースです。
SDKは、APIを含む開発に必要なライブラリ、ツール、サンプルコード、ドキュメントなどを提供するため、アプリケーションの開発プロセスを効率化することが可能になります。APIは、アプリケーションが外部サービスやデータベースとやり取りするための枠組みであり、開発者がプログラムを書くことでAPIを利用することができます。
つまり、SDKはアプリケーションを開発するために必要なツールのパッケージであり、APIは開発者がアプリケーションから外部サービスやデータベースを利用するための仕組みです。SDKはAPIを含む広い意味でのツールセットであるといえます。

SDKのメリット

開発者がアプリケーションを迅速に開発できることや、プログラムの再利用性が高くなること、開発者がAPIを詳しく理解しなくても簡単にアプリケーションを開発できることなどが挙げられます。

1.Web開発者の負担軽減

Web開発者は、APIやSDKの使用により開発作業を大幅に軽減できます。APIを使うことで、データベースやウェブサービスなど、必要な機能を外部から提供してもらうことができます。また、SDKを利用することで、言語ごとのライブラリーやサンプルコードを利用することが可能です。これにより、重複したコードを再利用することができ、開発期間を短縮することができます。Web開発者が自分で全てのコードを書くことに比べ、これらを利用することにより、より効率的に開発を進めることが可能になります。また、エラーが発生する可能性が低く、保守性や拡張性が高いソリューションを作ることができます。これによってWeb開発者はより多くの時間を、機能やUI/UXの改善に費やすことができます。

2.経費を抑えることができる

SDKを使用することにより、企業はプログラミングの専門知識を持っている従業員を雇う必要がなくなり、人件費の削減につながります。また開発に必要なツールや機能がすべてパッケージ化されているため、開発にかかるコストや時間を大幅に削減できるという利点があります。さらに既存のSDKを使用することにより、開発コストを抑えることができます。新たに機能を追加する場合でも、これを利用することで既に用意されているツールを活用することができるため、開発コストを削減することが可能になります。また、複数の開発者が同時に開発を進める場合でも、SDKが統一された環境を提供することにより、コードの品質や開発効率の向上が期待できます。このように、SDKを活用することで開発効率の向上やコストの削減が期待できます。

3.さまざまなカスタマイズが可能

多様なカスタマイズができることが利点の1つです。開発者は、SDKを使用して、アプリケーションに必要な機能を選択して追加することが可能になります。さらに独自の機能を追加することもできます。これによって開発者は、より高度なカスタマイズを行い、アプリケーションをよりパワフルなものにすることができます。これを使用することで、開発者は、アプリケーションのニーズに応じて、フレームワークやライブラリを選択し、より効率的な開発を行うことが可能になります。また、SDKには、コードやドキュメント、サンプルコードなどのリソースが含まれているため、開発者はこれらを利用して、カスタマイズをより簡単に実現することができます。

4.サイト速度を遅くなることを防ぐ

APIのバージョンアップによって、Webサイトの速度に影響が出ることがありますが、SDKを使用すると、そのような問題を回避できます。これはAPIの変更がこれに反映される前に、これを利用しているWeb開発者が、自分たちのコードを変更することができるためです。またSDKは、Web開発者が使用するライブラリやツールが含まれているため、開発スピードを上げることができます。そうすることで開発プロセスを迅速化し、WebサイトやWebアプリケーションの開発のコストや期間を削減することが可能です。さらに開発者は、SDKを使用して、自分たちのニーズに合わせたさまざまなカスタマイズを行うことができます。これによってWebサイトのパフォーマンスを向上させることができます。

SDKの具体例4選

ソフトウェア開発において、SDKは広く使用されており、様々な種類が存在します。ここでは、代表的な4つの代表例を紹介します。

1.Android SDK

Android SDKは、Androidアプリを開発するためのツールです。Javaで書かれたアプリケーションを開発できるため、広く使用されています。Android SDKには、様々なツールやAPIが含まれており、スマートフォンやタブレットなどのAndroidデバイスにアプリをインストールするために必要なものが含まれます。

2.Microsoft Windows SDK

Microsoft Windows SDKは、Windowsアプリケーションを開発するためのツールです。Windows APIの使用方法を提供し、DotNET FrameworkやVisual Studioなどの開発ツールも含まれています。このツールを使用することで、Windowsアプリケーションを簡単に開発できます。

3.iOS SDK

iOS SDKは、iOSアプリを開発するためのSDKです。Objective-CやSwiftなどのプログラミング言語を使用し、iOSアプリを開発するためのフレームワークやツールが含まれています。Appleが提供するこのツールを使用することで、アップル製スマートフォンの高品質なiOSアプリを開発できます。

4.FBX Software Developer Kit〔FBX SDK〕

FBX SDKは、3DモデリングソフトウェアAutodeskのファイルフォーマットであるFBXファイルの作成や読み込みを行うためのSDKです。C++で開発され、WindowsやMac OS Xなどのプラットフォームで使用できます。最新のアプリに適した3Dモデリングソフトウェア開発者には欠かせないSDKの一つです。

まとめ

本記事では、SDKとAPIの違いやSDKのメリット、さらには代表的な具体例について解説してきました。SDKは、開発者の負担軽減や経費削減、多様なカスタマイズが可能といったメリットがあります。また、Android SDKやiOS SDKなど、様々なものが存在し、それぞれに特徴があります。開発者にとって、SDKは大きな支援となるため、正しい使い方をマスターして開発効率を上げることが重要です。

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