研究だけでなくビジネスにも利用できるゲーム理論とは?

研究だけでなくビジネスにも利用できるゲーム理論とは?

ゲーム理論は、経済学などの分野で研究されている学問ですが、ビジネスに応用できるため習得したいと考えている方も多いのではないでしょうか。そこで、ここではゲーム理論の概要や代表例とともに、ゲーム理論で重要となる考え方について解説していきます。

ゲーム理論とは?

ゲーム理論とは、利害が一致しない相手がいた場合に、相手の行動を考慮しつつ、自分がどのような行動をすれば最適な結果が得られるのかという問題を扱う学問です。もともとは、経済学を中心に発展してきた学問ですが、現在は経営学や政治学、法学、心理学など様々な分野に応用されています。

ゲーム理論は、ビジネスにも応用できる学問で、上手く活用できれば交渉事を有利に進めることが可能です。一般的に、交渉時に考えなければいけないのは、自身の利益を最大化させることですが、自身のことばかりを考えてしまい、相手の利益のことを無視してしまうと交渉が成立する可能性は非常に低いでしょう。

また、当然ながら交渉の相手も自身の利益を最大化させようと考えますが、相手だけが利益を得るような内容を認めるわけにもいきません。

そこで、交渉を成立させるためには、互いに利益が生まれるような選択をする必要があります。このような交渉の場において、相手にも利益が生まれつつ自身の利益を最大化するための選択を導き出すのがゲーム理論となります。

ゲーム理論の代表例

ゲーム理論の最も有名な代表例が、囚人のジレンマです。

ある容疑で逮捕された2人の容疑者が、互いに意思疎通できない別々の部屋で取り調べを受けているとします。

この2人それぞれに対して「2人とも自白すれば懲役5年が科せられる」「一方のみが自白した場合は、自白した方は無罪となるが、黙秘した方は懲役10年が科せられる」「両者とも黙秘した場合は2人とも懲役2年が科せられる」という提案が出された場合、2人の容疑者にとって自白と黙秘のどちらが最適な選択なのでしょうか。

お互いにとって、最も魅力的な選択は無罪となる可能性がある自白ですが、相手も同じ選択をするリスクがあります。また、お互いの利益を最優先にするのであれば、互いに黙秘して懲役2年となるのが最適でしょう。

しかし、相手が自白するというリスクを考えれば、自分も自白するのが合理的ですが、最も軽い刑である懲役2年とはなりません。

このように、自分の利益のみを最大化させるための選択は、互いに協力したときよりも悪い結果になり得るというのが囚人のジレンマです。

ゲーム理論で使われる考え方

ゲーム理論の代表的なモデルである囚人のジレンマは、様々な場面で起こりえます。例えば、2人の容疑者を企業に置き換え、黙秘を値上げ、自白を値下げとすれば、企業間の価格競争になりますし、容疑者を国に置き換えて、黙秘を軍事縮小、自白を軍事拡大とすれば2国間の軍事競争に見立てることが可能です。

このようなゲーム理論を学ぶのであれば、まずは基本的な考え方を身に着けておくことが大切です。ここからはゲーム理論に欠かせないパレート最適化、ナッシュ均衡、支配戦略というの3つの概念について紹介していきます。

(1)パレート最適化

パレート最適とは、関係者の誰一人として不利益を受けることなく、全体の利益が最適化された状態のことを指します。言い換えれば、誰かを犠牲にしなければ、他の誰かの利益を増やすことができない状態です。

この全体の利益が最適化された状態を作りだす選択をするのが、パレート最適化という概念です。囚人のジレンマを例に取ると、2人の容疑者とも黙秘して互いに懲役2年を受けるという選択をするのがパレート最適化となります。

なお、パレート最適化は、望ましい社会を作り出すための必要条件であるものの、十分条件ではありません。例えば、1000円を2人で分ける場面を考えた場合、500円ずつ分配するのはパレート最適となりますが、1000円と0円という分け方をしてもパレート最適となります。

なぜなら、0円側が利益を増やそうとした場合、1000円側の利益を減らす必要があるためです。
このように、パレート最適化は、結果の公平性については考慮しないという点に注意しなければいけません。

(2)ナッシュ均衡

ナッシュ均衡とは、関係者全員が最適な戦略を選択しており、自身の選択を変更するメリットがない状態のことです。

囚人のジレンマの場合、お互いに黙秘すれば懲役2年で済みますが、相手が自白してしまえば懲役10年と最も重い刑が科されます。一方で、自白した場合を考えると、相手が黙秘すれば無罪となりますし、仮に相手が自白しても懲役10年は回避できます。

そのため、自白するのが最も合理的で選択で、黙秘するという選択に変える必要はありません。これは、もう一方の容疑者の立場で考えても、同じことが言えます。このように、互いに最も合理的な選択をして、それぞれ選択を変更する理由がない安定した状態をナッシュ均衡と言います。

なお、ナッシュ均衡は必ずしも1つだけとは限らず、複数存在することもあります。1つの問題に対して複数のナッシュ均衡が存在する場合、どちらのナッシュ均衡に至るのかを予想することはできません。複数のナッシュ均衡がある場合に、どれを選択するのかを考察することを均衡選択と言います。

(3)支配戦略

支配戦略とは、他者の戦略にかかわらず自身の取るべき選択が決まっている状態です。

囚人のジレンマを例に取ると、相手が自白しようと黙秘しようと、最も大きなリスクである懲役10年を回避するには自白する必要があります。このように、相手がどのような選択をしても、自身の選択を変える必要がない状態が支配戦略となります。

なお、囚人のジレンマのように、互いに支配戦略をとることができる状態を支配戦略均衡と言い、互いに選択を変える必要性がないため、支配戦略均衡は必ずナッシュ均衡となるのが特徴です。ただし、ナッシュ均衡は必ずしも支配戦略均衡になるとは限りません。

また、支配戦略は存在しないケースも多く存在します。例えば、じゃんけんでは、相手の戦略によって自身が取るべき選択は変わるので、支配戦略は存在しません。

ちなみに、支配戦略が存在しない場合でも、取るべき選択肢を比較して明らかに利益が少ないものを排除していくことで、最終的に取るべき行動が決まることもあります。この最後に残った選択を反復支配戦略均衡と言います。

まとめ

ゲーム理論は、比較的新しい学問ですが、今や経済学だけでなく様々な分野で研究されています。本来は、数学的なモデルを用いて研究する学問ですが、ビジネスに応用する場合、計算式を理解することも大切ですが、概念や考え方について理解する方が重要です。

今回は、ゲーム理論の代表例として囚人のジレンマというモデルを取り上げましたが、その他にも男女の争いやチキンゲーム、合理的な豚など様々なモデルがあるため、興味のある方は学んでみてはいかがでしょうか。

おすすめ記事

人気資料ランキングすべてのランキングを見る