リードナーチャリングとは?見込み客を顧客にするためのマーケティング方法

最終更新日 : 2020-03-31 Box

ここでは主としてBtoBつまり個人ではなく主に企業を相手にしたマーケティング上の重要な概念であるリードナーチャリングについて紹介します。見込み客をどのようにして最終的な購入という行動に結びつけるのかというプロセス中で重要なポイントの一つです。

リードナーチャリングとは?

リードナーチャリングとは英語で書くとLead Nurturingとなり、見込み客を育成することと訳すことができます。見込み客というのは例えば広告宣伝活動、営業担当者による新規訪問活動、商品紹介のセミナーやイベントなどによって得た、その商品を最終的に購入してくれる可能性のある潜在的な顧客のことです。

少し考えれば分かるでしょうが、見込み客というのはあくまで可能性を持っているに過ぎず、即座に購入に至ってくれるわけでは決してありません。もちろん中には自社商品に惚れ込んでいて放置していても即座に購入を決断するような、こちらにとっての優良顧客と言えるかもしれませんが、普通はそういうことはなく、見込み客をあの手この手で育成して始めて購入に至ってくれるというのが実情でしょう。

むしろこのような努力が必要だからこそマーケティング部門や営業部門が存在しているという見方もできます。このように何とかして見込み客を育成することをリードナーチャリングと呼んでいます。

リードナーチャリングが注目されている理由

リードナーチャリングが注目されている理由は、要するにこの活動の成否が最終的な購入に至るかどうかを分ける重要なポイントだと気づかれてきたからということもできるでしょう。重要だからこそ注目されているということです。より具体的に言えば、特に企業相手のマーケティング活動においては、個人相手とは異なり、購入プロセスが厳格です。

調査や審査、決裁という複雑なプロセスを経て購入に至ることが企業内では当たり前ですから、放置して先に進むものではなく、しっかりと後押しすることが必要だということが一つ挙げられます。また、今では他社類似商品の情報をインターネットを活用するなどして比較的簡単に入手できますから、放置すると他社製品に流れてしまう可能性もあります。

リードナーチャリングの重要性

リードナーチャリングの重要性ですが、先ほど書いた注目の理由と重複する部分がもちろんあります。見込み客がその場で即断即決というケースも過去には多かったのかもしれませんが、購入プロセスの厳格化や他社情報入手の容易さなどの理由から、せっかく見込み客を獲得しても、そのままにしていてはなかなか購入には至らないケースが増えてきています。

営業担当者による新規訪問にせよ、セミナーやイベントの開催にせよ、見込み客を獲得することには当然ながらコストと時間がかかっているはずで、獲得した見込み客が最終的な購入に至る割合が低いのではマーケティング活動、営業活動の効率性が低いと言われても仕方がないでしょう。

いくら見込み客が多くても、売上高や利益といった企業の業績に結び付くのは結局のところ購入に至った顧客だけです。可能性の段階に留まっているのではなくて、企業の実際の業績にしっかりと結び付けるという意味でリードナーチャリングは重要だということになります。

リードナーチャリングのメリット

リードナーチャリングのメリットですが、いくつかに分けて考えることができます。見込み客を実際の購入活動に結びつけることが重要だというのは営業やマーケティングに携わっている人であればいわば常識であり、誰でもそのために日々仕事をしているはずです。

ですが、見込み客獲得から購入に至るまでのプロセスが長期化、複雑化するようになると、個人レベルでの知識や経験、技量などに頼っているばかりでは必然的に非効率が生じます。企業として、体系的にこの仕組みをうまく運用できるようにしなければなりません。

リードナーチャリングを考えることはまさにこの点での属人的な仕組みを排して体系的、効率的に行うためでもあります。いつ、どの段階で、どのようなアクションを起こすのかを可視化し、効率的に実行できるようにするというメリットがあります。

あるいは、リードナーチャリングはあくまで見込み客の育成であって、見込み客を新しく獲得することではないことに基づくメリットもあります。見込み客を新しく獲得することは、それに関わったことのある人なら誰でも分かるように相当に大変です。ところがリードナーチャリングにおいては、対象となる相手は既に与えられていますから、その点では非常に事を進めやすいはずです。

言い換えれば、そのまま放置しておいては企業に対して何の価値も生み出さない見込み客という休眠資産をうまく活用できるというメリットがあると言えます。

リードナーチャリングのデメリット

ここまで述べてきたことから、リードナーチャリングは重要でメリットが多く、デメリットのようなものはあまりないのではないかと思われるかもしれません。確かに、行ってマイナスとなるようなことはあまりないかもしれませんが、行うにあたってのハードルというか、常にメリットばかり得られるわけではないという点は理解しておく必要があるでしょう。

例えば、当たり前のことですがリードナーチャリングを行うためにはそのための時間が必要ですし、体系的とか可視化などというキーワードを達成するためには例えば新たなシステムの導入などコストを要することがあるかもしれません。またこれも言うまでもないことですが、見込み客に対するアプローチですから、そもそも見込み客が十分にいないことには話になりません。

見込み客の獲得はリードジェネレーションと呼ばれますが、これがしっかりなされていて始めて考えうる次のステップがリードナーチャリングだということです。あるいは、売り上げという結果に結びつくためには時間がかかるというか、即効性のある対策ではないかもしれないという点にも注意が必要でしょう。

草花を栽培育成しても芽が出て茎が伸び、花を咲かせて実をつけるまでには時間がかかるように、リードナーチャリングでも育成が即座に結果に結びつくとは限らないというか、むしろ即座には結果に結びつかなくて当然です。ある程度しっかりと腰を据えて取り組む必要があることもデメリットと言えるかもしれません。

リードナーチャリングを実行するための手順

リードナーチャリングを実行するための手順は必ずしも一つではなく、状況によって異なることも大いにありますが、代表的な手順を紹介しましょう。これはおそらくどんなケースでも少なくとも参考にはできるはずです。まずは見込み客をしっかりとリストアップし、一元的に管理することが第一です。

当たり前ではないかと思われるかもしれませんが、そもそも見込み客の獲得方法は一つではなく多種多様です。既に書いたように、営業担当者の訪問によるもの、セミナーやイベント開催に来場した人、SNSやウェブサイトを訪れた人というようにいくつものルートがあるでしょうから、それらを統合して一元的に管理することが第一歩として重要です。

次は、そのリストから見込み客を分類分けすることを試みましょう。というのも、見込み客と一口に言ってもその興味関心の度合い、自社商品に対するニーズの度合いは異なるからです。考えてもみてください。セミナーやイベントに来場する人というのはそれなりの興味関心があるからこそ会場に足を運んでいるはずです。

ちょっとウェブサイトを覗いた人とはレベル感が異なって当然でしょう。そして最後にはその分類に応じた適切なアクションを考える手順となります。

リードナーチャリングまとめ

獲得した見込み客を育成し、最終的に購入という行動につなげるためのリードナーチャリングについて紹介してきました。見込み客の獲得は容易なことではないはずで、だからこそせっかく獲得した見込み客を埋もれされてしまうようなことなく確実に育成していくことは重要です。

とくにBtoBのビジネスモデルでは担当者一人の即時の判断で購入に至るようなことが確実に減少しており、プロセスが長期化しています。長期化しているからこそ、その期間内にどのようなアプローチを行うかによって結果には大きな差が生じると言えるでしょう。属人的で場当たり的な対策ではなく、体系だった適切なリードナーチャリングによって企業の業績に大きく貢献できるようにしたいところです。

Twitter Facebook Bing