会議を円滑に進めるファシリテーターの役割と求められるスキル・資格を解説

最終更新日 : 2020-04-16 Box

会議やミーティングはビジネスにおいて必要不可欠な存在ですが、現在は働き方改革の影響もあり、会議やミーティングの効率化を図る流れが加速しています。会議やミーティングを簡略化するなどの動きもありますが、ファシリテーターを担う人を議論の場に配置することも有効な手段のひとつです。

近年は、日本においても徐々に普及しつつあるため、ファシリテーターという言葉を耳にする機会は増えています。しかし、そもそもファシリテーターとはどのような人のことを指し、どのような役割を担っているのかを詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。そこで、ここではファシリテーターの意味や役割、重要性、ファシリテーターに求められるスキルと適正などについて解説していきます。

ファシリテーターとは

ファシリテーターとは、ファシリテーションする人のことを指しますが、ファシリテーションの語源であるファシリテートには「容易にする」「促進する」「円滑に進める」といった意味があります。

つまり、ファシリテートとは、何らかの物事を円滑に進めるための手助けをすることであり、その役割を担うのがファシリテーターということです。

ビジネスシーンにおいてファシリテーターと言う場合、会議やミーティングにおける進行役のことを指すのが一般的ですが、議論の場におけるファシリテーターの役割は単にタイムキーパーをしたり、次の発表者につないだりするだけではありません。では、ファシリテーターが果たす役割とはどのようなものなのでしょうか。

ファシリテーターの果たす役割

ファシリテーターの役割には、会議を予定通り進行していくことも含まれますが、これだけでは生産性の低い会議となってしまう恐れがあります。ファシリテーターの役割としてまず重要となるのは、参加者の意見を偏りなく聞き出すことです。

発言に対して相槌を打ったり、自分の考えを上手く表現できない場合には補足説明をしたりすることで、参加者全員が発言できるような環境と作ることが大切です。

また、会議には様々な考えを持った人が参加するため、時には意見の対立が起こり議論が進まなくなる状況に陥ることもありますが、それぞれの主張を調整して会議を円滑に進めていく必要があります。加えて、時には議題とは異なる議論が始まってしまうこともありますが、ファシリテーターには議論を正しい方向に軌道修正する役割も求められます。

なお、様々な意見が出されることは非常に重要ですが、そのすべてを実現できるとは限りません。そのため、出てきた意見を整理して重要なものを選択する必要がありますが、ファシリテーターには参加者から出された意見を整理して結論をまとめることも求められます。

ファシリテーションの重要性効果

会議やミーティングにおいてファシリテーションが機能することは非常に重要で、様々な効果が生み出されます。

ファシリテーションの効果として初めに挙げられるのは、生産性の高い会議が行えることです。一般的に生産性の低い会議となってしまう要因として多いのが、参加者から意見が出ないことですが、ファシリテーターが活躍する会議では、様々な意見が出されて活発な議論が行われるため生産性の向上が期待できます。

加えて、参加者全員が発言しやすい環境が整うため、参加者の会議に対するモチベーションが向上するという効果も得られます。

また、会議では議題と逸れた議論が始まってしまったり、意見の対立が起こることで議論が進まなかったりすることも多いため、無駄な時間が経過してしまうというケースが少なくありません。

しかし、ファシリテーションが機能していれば、このような事態を防ぐことが可能なので、会議時間の短縮につながります。さらに、参加者全員に会議の結論が共有されるため、会議の後に自分たちのやるべきことが明確になり、確実に実行されるという効果もあります。

ファシリテーションスキルと適正

生産性の高い会議に必要不可欠とも言えるファシリテーターですが、ファシリテーターとして活躍するためには様々なスキルを習得する必要があります。

まず必要となるのは、参加者全員の意見を聞き出すスキルです。例えば、参加者の発言を促すような質問をする、発言に対して傾聴したり適切に相槌を打ったりするといったスキルが挙げられます。そして、参加者から出された様々な意見をまとめて、会議の結論へと終着させるというスキルも必要となります。

また、自身の考えとは異なる意見が出されたとしても、それを否定することなく受け入れる姿勢が求められます。ファシリテーターは、あくまで会議を円滑に進行させる手助けをする存在なので、中立な立場でいる必要があり、常に冷静な判断ができなければいけません。

ファシリテーターの心得

実際にファシリテーターとして会議に臨む場合、最も重要となるのが中立な立場で、参加者全員の意見を公平に扱うことです。ファシリテーターにも自身の考えがあるため、無意識のうちに特定の方向に議論を進めてしまいがちですが、中立な立場であることを認識して参加者全員の意見を尊重しましょう。

また、参加者から意見が出ず議論が停滞してしまった場合は、自ら意見を出す必要性に迫られることもあります。停滞した状態を打開するためには、参加者にはない意見が必要となるため、様々な角度からの意見を持っておいた方が望ましいと言えます。ただし、ファシリテーターが必要以上に意見を出すのは禁物なので、あくまで会議の裏方であることを心得ておくことが大切です。

国家資格「CPF」

ファシリテーターとして活躍したい、レベルアップしたいという方は、CPF(Certified Professional Facilitator)という国家資格を目指してみるのも良いかもしれません。

CPFは、IAF(International Association of Facilitators)が実施するプロのファシリテーターを認定するための試験で、日本での認知度は決して高くはありませんが、世界中のファシリテーターが取得を目指す資格のひとつとなっています。

CPFの試験は世界各国で実施されており、日本で行われることもありますが、試験は基本的に英語で行われるため注意が必要です。ただし、受験者が5名以上いる場合は日本語(同時通訳)で試験を受けることが可能です。

ファシリテーターの価値

会議やミーティングなどの場にファシリテーターが存在することで生み出される価値は、非常に大きいと言えます。

例えば、会議の参加者が議題に集中できることは、ファシリテーターが生み出す価値のひとつです。

通常、会議に参加していると、発言できていない人がいないかや、今行っている議論は会議の目的に沿っているのかといった、議題とは直接関係ないことに対して無意識のうちに気を配ってしまうことが少なくありません。しかし、議題と直接関係しないことをファシリテーターに任せることで、参加者は会議に集中することが可能となります。

また、発言者が自身の考えを上手く言語化できないことも多々ありますが、そのような場合でもファシリテーターがサポートしてくれるため、参加者全員がすべての意見を理解できます。

ファシリテーターまとめ

会議やミーティングの生産性を高めるには、議論を円滑に進める手助けを担うファシリテーターを配置するのも有効な手段のひとつです。

ファシリテーターは、参加者全員から様々な意見を出してもらい、それらを整理して結論をまとめる役割を果たしますが、求められる役割を上手く果たせないと会議やミーティングの生産性は向上しません。そのため、ファシリテーターには、参加者から意見を引き出したり意見をまとめたりするなど様々なスキルが必要です。

また、あくまで議論を円滑に進める手助けが求められる役割なので、常に中立な立場で参加者全員の意見を公平に扱う必要があります。ファシリテーターとして会議に臨む場合は、どのような役割が求められているのか把握して、議論のサポート役に徹することが大切です。

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