購買行動モデルのAMTULとは?AIDMAとの違いや各ステップを徹底解説

最終更新日 : 2020-06-16 Box

社会人として活躍している人が知っておくと役に立つのが、各種の専門用語です。商品を販売しているビジネスマンならば、商品の販売に役立つ専門用語を熟知していれば、さまざまなビジネスシーンに活用できます。ビジネスの世界で最近注目されているのがAMTULという言葉ですが、これは商品を売る仕事をしている人ならば、知っておいて損はない言葉です。

製品を販売する仕事をしているけれども、思うように製品が売れないビジネスマンにとっても参考になります。ここでは、ビジネスの世界で活躍している社会人が知っておくと役立つ、AMTULという言葉の意味や、AMTULを利用したプロセスのチェック方法などについて、まとめて紹介します。

あわせて似たような言葉であるAIDMAとの違いについても、一緒に紹介します。

AMTULとは?

AMTULとは、消費者が商品を購入する際におこなう、購入までの一連のプロセスを、順番に説明した言葉です。

AMTULと書いて、アムツールと読みます。ユーザーが特定の商品を購入する場合、5つのステップを経過して、購入するアイテムを決定すると説明しているところが、AMTULの考え方の特徴です。

AMTULという言葉を考え出したのは日本人で、それまでビジネスの世界で使用されていた、代表的な消費者の行動モデルであるAIDMAの考え方を、さらに進化させたモデルです。

AMTULという言葉が使われ始めたのは1970年代で、従来の行動モデルに顧客ロイヤリティという要素を導入したことが、当時では非常に画期的な特徴でした。

AMTULの5ステップ

AMTULでは消費者の行動モデルを5つのステップに分けて説明しています。それがAwareness、Memory、Trial、Usage、Loyaltyの5つのステップで、この順番にユーザーの行動がおこなわれます。

AMTULのA「Attention(認知)」

AMTULの消費者行動モデルで、ユーザーが一番初めにおこなうものとして説明されているのがAwarenessです。

これは日本語では「認知」という意味で、ユーザーが特定の製品について何らかの知識を持っている状態のことを指します。特定のアイテムの名称をあげて、その製品のことを知っていた場合、その消費者に製品が認知されていることになります。

存在を知っているというだけでは、購買に直接結びつくとは限りませんが、製品を購入してもらうためには、まず製品のことを知ってもらうというプロセスが必要になります。そのために多くの企業でも、自社の商品をまずユーザーに認知してもらうことを目的にして、テレビやインターネットを使用して、商品の宣伝活動をおこなっています。

AMTULのM「Memory(記憶)」

特定の商品を認知した消費者が次におこなう行動として、AMTULで説明されているのがMemoryです。Memoryとは日本語で「記憶」という意味で、認知をしたアイテムをユーザーが記憶している状態のことを指します。

テレビのコマーシャルを利用すれば商品を多くの消費者に認知してもらうことは可能ですが、それが一時的な記憶のまますぐに忘れさられてしまうか、長期間頭の中に残る記憶となるかは、広告の内容によっても異なります。

テレビでコマーシャルが放映される回数が多くなるほど、消費者の目に触れる回数も増えるために、記憶にも定着されやすくなります。記憶という形でしっかりと覚えてもらうことで、商品に対する消費者の関心をさらに高めることができます。

AMTULのT「Trial(試用)」

AMTULで、消費者がおこなう3番目の行動として説明されているのがTrialです。Trialとは日本語で「試用」のことで、次のプロセスへの進行を決定する重要な行動です。消費者が特定のアイテムを認知して、長い間頭の中に記憶させた場合、商品に対する関心が高まり、商品を実際に使用してみたいと考えることがあります。

そのような場合に消費者がまずおこなうのが試用で、本格的な使用を始める前に、まず実際に試用してみることで、商品の使いやすさなどを確かめることが狙いです。

無料で利用できるサンプルを試用することで、お金をかけないでも、消費者は商品の試用することが可能です。そのために、店頭などで配るサンプル品は、商品販売の増加をうながす重要な役割を果たす場合があります。

AMTULのU「Usage(日常利用)」

AMTULで、消費者の4番目の行動として定義されているのがUsageです。Usageとは「日常利用」のことで、消費者が特定の製品を日常的に購入して、利用している状態のことを指します。

試用の段階で、特定の製品に対して好感を持った消費者が、そのアイテムを実際に購入して日常的に利用するようになれば、その消費者はUsageのプロセスに入っていると言えます。消費者が特定の製品を日常的に利用しているかどうかは、その製品の購買頻度によってもわかります。

複数の種類の製品を選択できる状況の中で、毎回同じ種類の製品を購入している場合には、その消費者は特定の製品を日常的に利用していることになります。ただし、この段階では消費者が製品に対して特定の感情を抱いていない場合もあります。

AMTULのL「Loyalty(愛用)」

AMTULで、消費者の行動モデルの最終段階として説明されているのがLoyaltyです。これは「愛用」という意味で、日常的に利用している状態よりも、さらに一歩進んだ状態です。Loyaltyとはもともと「忠誠心」という意味の英語ですが、消費者が特定の製品に対して忠誠心のような感情を持ち始めることが、この行動を起こす原因です。

特に大きな理由も存在しないまま、日常的に何となく愛用しているUsageの段階と比較して、Loyaltyでは消費者が商品に対して強い愛情を持っているので、製品を継続的に購入しています。同じような種類の製品が存在するのに、その製品ばかりを続けて購入しているのはその製品がほかのものより価値を持っていると考えているからで、消費者をこの段階まで進ませることが、製品を販売する多くの企業の目標になっています。

AMTULを利用したプロセスのチェック方法

AMTULを利用することで、自社の商品を購入する消費者の行動プロセスをチェックすることができます。プロセスをチェックする場合にはまず、AMTULを認知、記憶、試用、日常利用、愛用という順番に並べます。次に会社で販売する製品を認知している消費者の数を、推定で当てはめていきます。

次に、その中でどれだけの人数の人が記憶しているのかを、具体的な数字を用いて推測します。同じように試用をしたことがある人の数、日常的に利用している数を当てはめていって、最後に自社の製品に対してロイヤリティを持っている人の数を当てはめます。このような作業をおこなうことでわかるのは、どのようなプロセスにどれくらいの消費者がいて、消費者を次の段階に進ませるためには、どこを強化しなければいけないかということです。

AMTULとAIDMAの違い

AMTULはAIDMAを進化させて作られた行動モデルですが、両者には異なった部分も多くあります。特に大きく違うのが行動モデルの各プロセスで、AIDMAではAttention、Interest、Desire、Memory、Actionという順番で消費者の行動の説明がされます。これは注意、関心、欲求、記憶、行動という意味ですが、ロイヤリティという考え方が存在しないのが、AMTULと全く異なっている部分です。

AMTULまとめ

消費者の行動モデルであるAMTULは、消費者がどのような過程を経て、特定のアイテムを継続的に購入するようになるかを説明する考え方です。AMTULはAwareness、Memory、Trial、Usage、Loyaltyという5つの英単語の頭文字を合わせて作られた造語ですが、それぞれのプロセスごとに段階的に行動がおこなわれるのが特徴です。

AMTULの行動モデルではまず、消費者は特定のアイテムを認知するという行動をとります。この段階では商品のことを知っているというだけですが、広告量などを増やすことで、記憶へと定着させることができます。

関心を持った消費者がアイテムを試用し、気に入ればアイテムを購入して日常的に利用するようになり、最終的には商品に対してロイヤリティを持つようになります。

Twitter Facebook Bing