コンテンツマーケティングの事例10連発から見る上手なコンテンツ

コンテンツマーケティングの事例10連発から見る上手なコンテンツ

コンテンツマーケティングとは、従来のように広告を大量投下させて顧客を呼びこむ手法ではなく、ユーザーのニーズに応えるようなコンテンツを提供することでユーザーをファン化させ、長期的な顧客になってもらうというマーケティング手法です。

日本でもこのわずか数年でよく聞かれる言葉となりました。
この“コンテンツ”は、厳密にはダイレクトメールのようなリアル世界でのコンテンツも対象となるのですが、近年ではコンテンツマーケティングといえばWeb上での施策と考えるのが一般的です。

“広告に代わる新たな手法”“長期的な顧客関係を”と耳あたりの良い言葉が並ぶコンテンツマーケティングですが、すぐに効果が出るわけではなく長期的な視点で運用していく必要があるため、なかなか手が出せなかったり、逆に見切り発車でとりあえず始めてしまったりといったケースも少なくないようです。
「なんか記事を書いていけば良いんでしょ?」くらいの気持ちでは効果も出づらいですし、そもそもそれではモチベーションが続きません。

では、どのような形で進めていくのが良いのでしょうか?
もちろん、「こうすれば成功する!」と必ず言える王道ルートはありません。

そこで今回は、コンテンツマーケティングの成功例を、いろいろなパターンでご紹介します。
自社がコンテンツマーケティングを行うのであれば、どういった方向へ進めていけば良いのか、参考になれば幸いです。

目次

 1.appbank
 2.ゴルフダイジェストオンライン
 3.サカイク
 4.KURAND
 5.前田建設ファンタジー営業部
 6.ナタリー
 7.東山堂
 8.オートウェイ
 9.エコンテ
 10.ミシュラン
 11.まとめ

1.appbank

1.appbank
http://www.appbank.net/
2008年10月に開設されたiPhone・iPad関連情報を紹介するサイトです。
もともとはiPhoneアプリやiPhoneグッズ(タッチペンやケースのような)を紹介する記事を掲載していくスタイルでしたが、iPhoneの人気拡大に足を揃えるかのように、サイト、そしてライターさんたちの人気も拡大していきました。

動画を使った商品レビューなども早くから取り組んでおり、USTREAMやYoutubeを使った配信などもかなり早くから行なっていました。

appbankの強みは、コンテンツマーケティングの要であるファン化の威力。
iPhoneを初めて持って、どう使ったら良いのか調べた時によく出てくるappbankを見て、繰り返し見ているうちにいつの間にか出演者たちのファンになっているという方が少なくないようです。
筆者もiPhoneを初めて持った頃は最新ニュースやアプリの情報をかなり頻繁にチェックしていました。

ファン化と合わせて、先ほどさらっと書きましたが、appbankは検索にも強いのです。
今もsimilarwebで見ると検索流入が半分以上なのですが、iPhone初心者が困ったことを検索するとappbankが出てくることが多いのです。

iPhoneが気になる→アプリやニュースが気になる→appbankが気になる、というルートがよく出来ているなあと感じます。

2013年には月間1億PVにまで到達したのこと。
日本でiPhoneが発売された直後から、うまく時代の波に乗った一例です。

2.ゴルフダイジェスト・オンライン

2.GDO
http://www.golfdigest.co.jp/
appbankが若い人たちを中心にした盛り上がりであれば、こちらはおじさんの世界。
ゴルフダイジェスト・オンラインです。

しかしながら、ゴルフダイジェスト・オンラインは、実は決しておじさんたちだけのメディアではないのです。
というのも、ゴルフダイジェスト・オンラインは、「コンテンツマーケティング」という言葉が流行り出すずっと前、会社設立の2000年頃からSEOを意識的に行い集客していたのです。

株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインの事業はゴルフ用品の販売、ゴルフレッスン、ゴルフ場の予約システム、そしてメディア運営の4つです。
闇雲にサイトに集客するだけでなく、この4つの事業に沿う形で例えば「初心者 ゴルフ」「女性 ゴルフ」といったキーワードで集客することで、新たな顧客を流入させていたそうです。

例えば、初心者はこちらのページに誘導されます。
初心者ゴルフナビ
http://www.golfdigest.co.jp/beginner/

初めてゴルフに行くときは、何を着ていくべきか何を持っていくべきか、全然わからないので、こうした基礎情報を教えてくれるページはとても有益ですね。
 

3.サカイク

3.サカイク
http://www.sakaiku.jp/
少年サッカーに関わる保護者に向けた情報サイトがサカイクです。
「サカイク」という名前は“サッカーを通した人間教育”の略で、サッカーを通し、子どもが自分で考え判断し、自発的に成長していける環境を作ることを目指したサイトということだそうです。

それを示すかのように、サッカー情報サイトにも関わらず、コラムのカテゴリには「健康と食育」「考える力」「勉強と進路」なども用意されています。
サッカーだけをするのではなく、しっかり勉強もする、親は子どもの健康を考えて食育を学ぶ、など、まさに親子で成長していくためのサイトとなっています。

もちろん、サッカーのテクニックや教え方などの記事も豊富に公開されています。
有名選手もインタビューなどに登場しているので、見応えも抜群です。

子どもがサッカーについて学ぶのみでなく、親も一緒にというところがポイントのサイトです。
サカイクも主な流入経路は検索で、約4割を占めます。

 

4.KURAND

4.KURAND
http://kurand.jp/
日本酒の定期購入サービスを行なっているKURANDです。
申し込んでいると、毎月オススメや限定の日本酒が届くという、”酒好き”には幸せなシステムですが、ウェブサイト内では『KURANDマガジン』として、日本酒の魅力を伝える様々なコンテンツを公開しています。
酒蔵や日本酒のレポートや、日本酒に合うおつまみのレシピが紹介されていて、読むだけで日本酒を飲みたい気持ちが高まっていきます。

さらに、KURANDはSNSも使いこなしています。
例えばInstagram。
日本酒や、日本酒を取り巻く人々や環境をとても魅力的に切り取った写真がたくさん並んでいます。
日本酒好きにはもうたまりません。

そしてKURANDも、リアル店舗を立ち上げてそちらでも集客しています。
日本酒の呑み比べし放題、時間無制限、持ち込み自由という夢の空間です。

ウェブ上で知って、リアルの場でさらにファンになるというのは、ここまでご紹介した4社は特に共通する部分です。
広告はリアルの場で商品を買わせるのがゴールになるのは間違いありませんが、この4社のファンは、リアルの場で購入したり利用したりしたうえで、またサイトに戻ってくるのです。
一方通行でないところが面白いなと感じ、この4つを並べてご紹介しました。

 

5.前田建設ファンタジー営業部

5.前田建設ファンタジー営業部
http://www.maeda.co.jp/fantasy/index.html
前田建設という準大手ゼネコンが自社サイト内に作ったコンテンツが「ファンタジー営業部」です。

2003年から社の「透明化向上プロジェクト」の一環としてスタートした企画だそうですが、アニメやマンガ、ゲームなど架空の世界に存在する建造物を前田建設が実際の技術や材料で請け負ったらどうなるかという連載企画です。

ここしばらくは新規の更新は止まっている状態なのですが、テレビやラジオなどでも時折紹介されている息の長いコンテンツです。
これまでに“手がけた”のは、ガンダムやマジンガーZ、そして宇宙戦艦ヤマト!
(ヤマトは現在も公開されているので、ぜひ読んでみてください)

この遊び心あふれるコンテンツは多くの人の心を掴み、大きな話題になりました。
連載の書籍化や、舞台化も実現し、なかなかゼネコンと接点のない“一般人”である私たちですが、前田建設の名前を知るきっかけとなりました。

BtoB企業はコンテンツマーケティングといっても何をして良いかわかりづらいところもありますが、こういった一見仕事とは関係ないような一般の方々に喜んでもらえることは、認知度とイメージ向上に大きく寄与します。
アプローチのひとつの例として、参考になるのではないでしょうか。

 

6.ナタリー

6.ナタリー
http://natalie.mu/
ナタリーは、音楽・コミック・お笑い・映画・ステージの5つのポップカルチャーに関する独自ニュースを配信するニュースサイトです。

「ニュースサイトがコンテンツマーケティング?」と思ってしまいますが、ナタリーではニュース記事ひとつひとつをコンテンツと捉えており、それをSNSで拡散していくことで、同時にブランディングを図っているのです。

筆者は「お笑いナタリー」はよくチェックするのですが、扱う内容や文章のテイストがいつしか“ナタリーらしいな”と感じることがあるようになってきました。
これはまさしくナタリーのブランディング効果です。

ブランディングといえば、ナタリーの記事作成方法は一定のノウハウがあり、脈々と受け継がれているものです。
本として出版されているので、コンテンツマーケティングで記事の作成を行う人は、これも読んでみると良いかと思います。
(新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス)
)

ちなみにナタリーの流入経路は、SNSが23%と多いものの、最も多いのはやはり検索でおよそ4割でした。

7.東山堂

東山堂は岩手県・盛岡の企業です。
書店や音楽教室を運営しているのですが、その音楽教室のテレビCMが話題となりました。

TOSANDO music CM 披露宴編

ぜひ見ていただきたいのですが、ご覧にならなかった方のためにごく簡単に説明すると、ピアノを弾いたこともない父親が音楽教室に内緒で通い、娘の披露宴でたどたどしいながらも演奏をする、というCMです。
とにかく泣けてしまうCMです。

一地方のいわばローカルCMが大きな反響を呼んだのはインターネット時代ならではですが、CMでありながら積極的に紹介や勧誘をせず、ストーリーで見せ切ったところに反響を呼んだ理由があるように思います。
最近は、“宣伝のニオイがするもの”はとにかく嫌がられる傾向にあります。
その中で、テレビCMのように15秒や30秒でなく、3分30秒でじっくり見せたこのCMはひとつのコンテンツで地方の音楽教室を超有名にした好例であると言えます。

8.オートウェイ

次も動画ですが、残念ながら公式の公開が終わってしまっているので、別の方がUPしているものをご紹介します。
いろいろグレーですが、せっかくなのでご覧ください。

【閲覧注意】です。心臓の弱い方はご注意を。

こちらは先程の東山堂とは真逆で短い中でとてもインパクトのあるCM。
九州のタイヤショップが冬用タイヤの必要性を訴えたものですが、初めて観た時はとにかく驚きました。

しかし、このCMがすごいのは、ただ怖いだけでなく、CMを観た後に「冬用タイヤをつけなくちゃ」と思わせる説得力があることです。

この動画、3ヶ月で800万PVを超えて“バズった”わけですが、こうしたバズ要素の強いコンテンツには、一気に盛り上がって接触機会を増やすメリットと、“一発屋芸人”のようにあっという間に効果が薄れてしまうデメリットとがあるため、注意が必要です。

しかし、冬用タイヤへの買い替えを促すには、じわじわ広がっていくより一気に火が付いたほうが効果的であると考えられるので、とても理にかなっているコンテンツであると言えるのです。

今回ご紹介した動画2本はとても手間の掛かったものでしたが、もっと手軽に動画を使ったコンテンツを作ることも可能です。
スマートフォンで動画を観ることに対して、技術的な障壁や抵抗感もかなり薄まってきています。

「コンテンツマーケティング、記事を書こう!」というのももちろん大事ですが、動画を活用したコンテンツマーケティングというのも一考の価値はあるのではないでしょうか。

ちなみに、公式のページはまだ公開されていましたので、こちらもよろしければどうぞ。
【閲覧注意】雪道コワイ
http://www.autoway.co.jp/otoue/

9.エコンテ

9.エコンテ
続いては“インフォグラフィック”です。

600名に聞いたコンテンツマーケティング調査レポート2015年版
http://econte.co.jp/resource/item/cmig2015/

調査や統計などあるデータをわかりやすく見やすくする表現方法がインフォグラフィックですが、コンテンツマーケティングサービスを行なっている株式会社エコンテがそれをウェブ上に組み込み、動く“インタラクティブ・インフォグラフィック”として紹介しているのがこのページです。
ブラウザの大きさや動きに合わせてデータが次々と紹介されています。

世に溢れる“◯◯ランキング”のように、私たちは実はデータが大好きなのかもしれません。
こうしてデータをわかりやすく見せるだけで、興味深く見てもらえるようになるのです。

コンテンツマーケティングに関するレポートがひとつのコンテンツとなっている入れ子のような状態ですが、こうしたデータの見せ方も今後はさまざま工夫されていくことでしょう。

10.ミシュラン

10.ミシュラン
http://nihon.michelin.co.jp/Home/Maps-Guide/Red-guide
10個目はおまけです。
東京版も2007年から発表されるようになり、日本でも注目が集まる『ミシュランガイド』ですが、この「ミシュラン」が何のことかわからない方が最近は実は多いんだそうです。
(ちなみにあのキャラクターはミシュランではなく、“ビバンダムくん”といいます)

ミシュランは、1889年設立の、フランスのタイヤメーカーです。
世界最大級のタイヤメーカーとして、今も世界中でタイヤが活躍しています。

そんなタイヤメーカーが、なぜグルメ本を出しているのか?
初めて世に現れたのは1900年のパリ万博の時で、35,000部が印刷されて無料配布されたそうです。
いまとは異なり、そのガイドブックにはグルメ情報だけでなく市街地の地図やガソリンスタンドやホテルの一覧、自動車の整備方法などが書かれていたとか。

これは、このガイドブックを読んで自動車で旅に出たくなるように、と発行されたもので、まさしくガイドブックによるコンテンツマーケティングだったのです。

1900年当時から、ユーザーの役に立つ情報を提供して、ファンになってもらい、顧客になってもらうというコンテンツマーケティングの概念は変わらないんですね。

11.まとめ

BtoC、BtoB合わせて10の事例をご紹介しました。
コンテンツマーケティングとひとことに言っても、さまざまな形があることがわかります。

自社の商品やサービスをただ売り込むのではなく、ユーザーのニーズに合う形で情報発信を行い、向こうから好きになってもらう。
冒頭から“ファン化”させるという表現をしていますが、コンテンツマーケティングを行なっていく上ではこれが最も重要なポイントではないでしょうか。

今回ご紹介したのはコンテンツマーケティングの成功例のほんの一部です。
さまざま見ていく中で、自社でコンテンツマーケティングを行う際にはどういったニーズを意識すれば良いのか考えてみてください。

※流入経路はSimilarWebを使用して確認しました。また、データは記事作成時のものです。

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