OEMとは?基本知識からメリット・デメリット、事例まで徹底解説

最終更新日 : 2019-11-25 Box

OEM(オーイーエム)とは?

商品を販売する会社には、自社工場をもって自社で製造した商品を販売する場合と、他社で製造した商品を販売する場合があります。

その中でOEMは、他社で製造した商品を販売する会社ということになりますが、他社が考案して作った商品を購入して売るというのではありません。

販売する会社の自社ブランド商品の製造を他社に委託するということです。
企画や販売をする力はあっても、工場を持たず商品を作ることができない会社が、工場を持ち、同じような製品を作るノウハウに長けている会社に委託をするということです。

OEMの種類や違い

OEMの種類や違い(1) OEM

OEMは、自社ブランド商品を他社に製造してもらうということですが、他社に委託するにあたりOEMにも種類があります。

ほかにODMとPBがありますが、OEMは商品の企画から材料、作り方まで生産のすべてにおいて、あらかじめ自社で決めているものを他社に作ってもらうということです。

つまり一枚の服を作ると仮定すると、服のデザインから生地、縫製の仕方まですべて自社で決めたとおりに製造してもらうという方法です。

商品を考案して販売するまでには、「企画、設計・開発、清算、物流、販売」という5つの過程を経ますが、OEMの場合、企画も設計・開発も自社がするので、生産の部分だけ他社に委託をするということになります。

OEMの種類や違い(2) ODM

OEMが製造過程のみ委託をすることに対し、ODMは設計・開発の部分も委託をするという方法です。

服1枚で例えれば、冬用のトレーナーを作ろうという企画をしたとして、その時点で他社に委託をします。

つまり、デザインや生地の選択など、どんなトレーナーを作るのかというところまで他社にお任せして、製造してもらうという方法です。

OEMの種類や違い(3) PB

PBはプライべートブラントのことで、小売り店や卸売業者が企画をして販売をする商品のことです。

PBは小売店や卸売業者ならではのオリジナルなブランド商品なので、独自で企画から設計・開発を行い、製造のみを他社に委託するという方法になり、中には物流と販売の部分も委託する場合もあります。

OEMのメリット

OEMのメリット(1) 委託者側

委託者側の大きなメリットは、コスト削減です。

商品を製造・生産するには工場をもち、最新の機械や設備を導入する必要があります。そのためにかかるコストは莫大ですが、それらの設備を持ち、商品を製造できる会社に委託をすることでコストの削減ができます。

また、生産技術を持つ人材を確保するためのコストも削減できます。
さらに生産する量の指示をすることで、需要に応じて増減することができ在庫を持たなくても良くなるというメリットもあります。

生産を委託することで、自社は新商品の企画や開発に専念できるということもメリットです。

そして自社ブランドで、高い技術を持つOEMによって作られた製品を販売することにより、ブランド力がアップすることも期待されます。

OEMのメリット(2) 受託者側

受託者側としては、生産の技術を十分に生かせ、技術の向上にもつながることは大きなメリットといえます。

また販売のベテランである委託者がいることによって生産量が多くなり、受託者側の業績もアップするというメリットも大きいです。

商品の市場での成長期が過ぎても、安定した製品の供給をすることができる可能性も高いです。

OEMのデメリット

OEMの委託者側にとって、コスト削減などのメリットばかりではありません。

たくさん生産をしても生産した分の収益は入ってきません。
それと製造過程はお任せになるので、自社の生産技術が向上する可能性はないということもデメリットといえます。

また受託会社が複数ある場合、自社から伝えた技術が同じになると、受託会社がみな同じくらいの技術のレベルになるので、将来的にライバル関係になってしまい、委託する業者の選択に悩む可能性があるとも考えられます。

OEMのデメリット(2) 受託者側

受託者側は、生産をする者の販売をするときは委託された会社のブランド名で販売されるので、いつまでたっても受託者の企業名が市場に届かないというデメリットがあります。

またノウハウが流出する可能性も否定できず、漏れてしまえば他社に類似品を作られるということも考えられます。
さらに生産量が委託者側から支持されるので、不安定であることもデメリットといえます。

OEM製造の5つの事例

OEM製造の事例(1) カネボウ

例えばカネボウのOEM事業部「カネボウコスミリオン」には今まで培ってきた豊富なノウハウがあるので、データ分析による市場把握から商品のコンセプト作り、具体的な商品の立案、試作、パッケージデザイン、製造、スタッフ教育までを行っています。

またポーラのエクスプレステージでも、研究を重ねながら独自の技術を生かし、市場競争力が高くニーズに合った高品質な商品を製造するOEM事業部として活躍しています。

OEM製造の事例(2) スズキ

自動車業界にはたくさんのOEM車があり、特に軽自動車に多いです。

例えば軽自動車が得意なスズキのワゴンRは、少しだけ外観を変えて、マツダがフレアという名前で販売しています。
マツダはすでに軽自動車の製造は行っていないので、設計・開発も生産もスズキに委託をし、マツダがフレアという名前で販売しているので、スズキはマツダのOEMということになります。

OEM製造の事例(3) セブンイレブン

コンビニエンスストア「セブンイレブン」をはじめとするコンビニの店頭に並ぶ弁当やおにぎり、総菜などは「わらべや日洋ホールディングス株式会社」という会社が作っています。

わらべや日洋グループで原料の調達から商品開発、製造、配送までを行っているので、ノウハウも情報もグループで共有し管理体制もしっかりとしているので、安心して委託ができる会社です。

OEM製造の事例(4) 東北パイオニア株式会社

家電製品のOEMとして事業を行っている会社の例として、東北パイオニア株式会社があります。

東北パイオニア株式会社は、車載機器のメーカーでしたが、培った技術や品質保証体制を使って様々な家電機器のOEMとなっています。

OEMとして生産しているものは、もともとの車載機器をはじめ健康・福祉機器や医療機器、産業機器などです。

ほかに、株式会社グローウィルという会社も設計から商品開発、生産までのODMが可能なOEMに対応します。
株式会社グローウィルは、国内でのトランス自動化生産を実現し、トランスの小型化技術も持つ企業です。

OEM製造の事例(5) Apple

iPhoneやiPadを販売するのはアップル社ですが、製造は他社に委託しています。

委託されるOEMは台湾に本社のあるフォクスコンという大手のエレクトロニクスメーカーです。
フォックスコンは電子機器のOEMとしては世界でも有名な企業で、アップル社のほかにもたくさんの有名企業のOEMとなっています。

フォックスコンの生産拠点は中国で、マザーボードや各種のコネクタなどのパーツを製造してアップル社などに供給する会社です。

OEMまとめ

OEMとは、販売能力は高くても生産をする能力を持たない会社が、その逆に生産能力に長けていても販売能力を持たない会社と提携して一つのブランド商品を販売するまでに持っていくことです。

そしてOEMの中にも生産部分だけを委託する場合や、設計部分からお任せするODMという場合もあります。

委託する側にも受託される側にもメリットがあり、お互いに、培ってきた技術やノウハウなど得意分野を伸ばしながら業績を上げていくことができるというメリットがあります。

コスト削減のメリットもあり、今後ますますこのような形態の会社が増えてくることが予想されます。

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