BPOとは?そのメリットと導入のポイントを解説
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、業務効率化などを目的としたアウトソーシングの一種です。
近年、BPOを導入する企業は増加傾向にありますが、一体どのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここでは、BPOの概要とメリット、サービス導入のポイントについて紹介します。
BPOとは?
BPOは、アウトソーシングの一種ですが、一般的に普及しているアウトソーシングとは性質が異なります。一般的なアウトソーシングは、業務単位で外部委託するのに対して、BPOは業務の全てを外部に委託するサービスです。
簡単に言えば、自社部門を外部に設置して、そこで全ての業務を行ってもらえるサービスとなります。
また、通常のアウトソーシングは、人材不足や一時的な業務の増加などを理由に短期的に利用されるケースが多いですが、BPOは経営戦略の一環として継続的に利用していくケースが多いという違いもあります。
BPOのメリット
自社の業務プロセスを丸ごと外部委託するBPOは、導入することで様々なメリットを得ることができます。
メリットを知ることは、スムーズなサービス導入につながるため、以下に示す代表的な5つのメリットについて確認していきましょう。
①経営資源の集中による競争力の強化
BPOの導入は、貴重な経済資源をノンコア業務に割り当てる必要性を無くし、コア業務に経済資源を集中させることを可能とします。これにより、企業の競争力が高まることで、収益向上につながります。
例えば、経営をしていくには、人事や総務、経理といったノンコア業務にも人材や設備、資金などの経済資源を投資していく必要がありますが、BPOサービスを利用して人事などの業務を外部委託することで、ノンコア業務に割いていた経済資源を企業の売上や利益に直接結びつく製品開発や営業などのコア業務に集中させることが可能です。
②業務にかかる時間削減
業務にかかる時間を削減するには、ノウハウの蓄積が必要です。これは、業務内容に関わらずノンコア業務にも当てはまりますが、ノウハウの蓄積には多くの時間や労力がかかります。
しかし、多くの企業ではノンコア業務に時間や労力を割くことができず、結局は非効率なまま業務を行っています。BPOを利用すれば、非効率なノンコア業務に割いていた業務時間の削減が可能です。
また、削減した時間をコア業務のノウハウ蓄積に割り当てることもでき、結果としてコア業務の効率化にもつながります。
③コストの削減
前述したように、BPOの導入はコア業務の効率化を実現できるため、人件費や設備投資などのコスト削減にもつながります。
また、BPOの導入には費用がかかりますが、BPO事業者は同じような業務を各社から請け負うことになるため、スケールメリットが生まれます。
そのため、自社でノンコア業務を運営するよりも、コストを削減できるケースが多いです。さらに、人件費やシステム運営費などの固定費を変動費化することができるというメリットもあります。
④セキュリティリスクへの対策
企業は、顧客情報など数多くの重要な情報を保有していますが、情報の漏えいは企業経営に深刻なダメージを与えかねません。そのため、社内のセキュリティ対策を施すことは企業の最優先課題とも言えます。
しかし、社内のセキュリティ対策を行うには、業務プロセスの見直しや新たなシステムの導入、社員教育などの多くの経済資源を割く必要があります。
多くのBPO事業者は、ISMSやプライバシーマークを取得しており、自社でセキュリティ対策を進めるよりも、コストをかけずに強固なセキュリティ対策が可能です。
⑤精度変更やグローバル化への対応
近年、ノンコア業務では、法制度の変更やグローバル化、テクノロジーの進歩など様々な環境変化への対応が必要になってきています。
しかし、これらの環境変化に対応するには専門的な知識や経験、ノウハウが必要なので、自社だけで対応するのが難しいというケースが少なくありません。
BPO事業者には、多くの専門的な知識や経験、ノウハウが蓄積されているため、これらを利用して様々な環境変化に対応できるようになることは大きなメリットと言えるでしょう。
BPOサービスのポイント
上記したようにBPOサービスには様々なメリットがありますが、導入する際はいくつかポイントを押さえる必要があります。また、自社の大切な業務を外部委託することになるため、事業者の選定には細心の注意を払いましょう。
①価格
BPO導入において、委託に必要となる費用は安ければ良いというわけではありません。しかし、委託費用が高すぎると、コストを削減できるというBPOのメリットが失われてしまいます。
現在、BPO事業者は国内に数多く存在しており、請け負う業務の種類や企業規模によって価格は異なります。そのため、事業者を選定する際は必ず複数社から見積もりを取って、費用対効果の検証などを十分に行った上で最適と思われる価格の事業者と契約しましょう。
②業務の選定
BPOを導入する際は、どの業務を委託するのかを慎重に選ぶことが重要です。外部委託した業務には、自社にノウハウが蓄積していかないため、契約が終了して委託した業務が自社に戻ってきた際に、スムーズに運営していくのが難しくなります。
そのため、自社でノウハウを蓄積しておきたい業務や、将来的にコア業務になる見通しがある業務は、BPOによって外部委託すべきではありません。
現在だけでなく、将来の可能性についても十分に検討を重ねて、本当に必要と思われる業務のみを外部委託するようにしましょう。
③サービス内容
BPO事業者を選定する際は、得意とするサービス内容を確認しましょう。BPO事業者は、各社とも抱えている人材や蓄えているノウハウが異なるため、得意とする業務内容も違います。
例えば、経理系の資格保有者を多く抱えている経理業務が得意な事業者や、システムエンジニアが多く在籍するIT系の業務が得意な事業者など、得意とする業務内容は事業者によって様々です。
また、繁忙期やイレギュラーの場合にも対応できるだけの余力を備えているのかも重要な選定項目です。
④個人情報の取り扱い、セキュリティ
BPOでは、顧客情報や経理内容などの重要な情報を渡して業務委託することになるため、セキュリティ対策は事業者選定において最も重要な項目と言えます。
仮に、セキュリティ対策が不十分であった場合、後々に情報漏えいなどのトラブルに発展する恐れもあります。
そのため、事業者選定の際は、ISMSやプライバシーマークなどを取得している事業者を選ぶとともに、セキュリティーポリシーの提示を求めて、提示できない事業者は候補から外しましょう。
⑤企業規模
BPO事業者の企業規模も、事業者選定の重要なポイントです。企業規模が大きくなるほど、幅広い範囲の業務を委託できるため、将来的に他業務も委託する可能性がある場合は、最初からある程度規模の大きな事業者を選定すると良いでしょう。
また、企業規模が大きい方が、繁忙期で業務量が多くなった場合やイレギュラーが発生した場合への対応力が高くなります。ただし、企業規模は大きければ良いというわけではなく、専門分野に特化した事業者の方が効率的な業務が期待できますし、価格も安くなる傾向があります。
まとめ
BPOを適切に利用することで、業務時間やコストを削減でき、コア業務に多くの経済資源を集中させることが可能です。その結果、企業の競争力が高まり、収益の向上につながります。また、事業者選定のポイントを押さえて、自社に最適な事業者に依頼しましょう。