業界によって意味が変わる「アウトバウンド」を解説!

最終更新日 : 2020-01-22 Box

ここではアウトバウンドについて紹介しますが、この用語は業界によってかなり異なる意味合いで使われていることがあります。もちろん、辞書的な意味での原義は同じですが、それが様々に発展した意味で使われているので、それらも含めて紹介します。

アウトバウンドとは?

アウトバウンドとは、英語ではoutboundとなりますが、これを英和辞典を引いて調べると、外国行きの、といった意味で出ているでしょう。もちろんこれが原義であり、国際線の飛行機や船舶などにおいて、海外から到着する便に対して、海外に向けて出発する便のことを指す形容詞です。

ただ、これがいろいろな業界で用いられる際には、単に飛行機や船舶などでの外国行き便のことだけを指すわけではなく、何か内から外へ向かうといった意味の形容詞として捉えられています。
ここで言う内とは別に日本国内のことだけを指すわけではありませんし、外とは別に外国のことだけを指すわけでもありません。

国内から海外という方向性だけではなく県内から県外とか、市内から市外であっても構いませんし、もっと言えばそのような地理的な意味合いだけに限ることなく比喩的な意味合いも全て含んで、とにかく方向性として何か内側から外向きのものであればアウトバウンドと呼んでいるということです。

インバウンドとアウトバウンドの違い

アウトバウンドの対義語となる用語としてインバウンドがあります。アウトバウンドが内から外へ向かうという意味ですから、インバウンドとはその逆で外から内に向かうという意味だと想像できるでしょう。

全くそのとおりで、国際線の飛行機においては到着便を指すような用語になります。同じ飛行機の機体であっても方向性が異なるということです。ただ、インバウンドに関しては外国人観光客としての意味合いで使われることが非常に多くなっています。

外国から日本にやってくるという意味のインバウンドですが、単に形容詞としての意味合いだけでなく、やってくる人という名詞の意味も含んでしまっているということで、これは昨今の日本が外国人観光客の誘致に国として非常に力を入れており、実際にも外国人観光客の数が右肩上がりに増加していていわばホットな話題になっているために、インバウンドという一般的な形容詞であるはずの単語が日本にやってくる外国人観光客を指す言葉として相当に定着してしまっているということでしょう。

観光業界のアウトバウンド

観光業界におけるアウトバウンドとは、まさしく先ほど書いたインバウンドの逆です。つまり、日本にやってくる外国人観光客に対して、海外を目指す日本人観光客ということになります。

街中やインターネットサイトで見かける、日本人向けに海外旅行を提案しているような旅行会社は、アウトバウンド客を相手に商売をしているということになるでしょう。昨今は海外旅行もごく当たり前となり、多くの日本人にとって決してハードルの高いものではなくなりました。

毎年の海外旅行者数は、ここ数年は1700万人前後で推移しており、これは日本人の7人に一人に相当するくらいの多さで、大きい市場であることは間違いありません。一方でLCCの台頭や、旅行会社を介さずにネットで自分で手配する人も増加している現状があります。

コールセンター業界のアウトバウンド

コールセンター業界でもアウトバウンドという用語は用いられています。観光業界ではインバウンドと対比する形で非常に分かりやすいでしょうが、コールセンター業界でのアウトバウンドとは一体どういう意味でしょうか。

これは、コールセンターという内側から顧客という外側に対して電話をかけることを意味する用語です。コールセンターは顧客からのクレームや要望などを受け付ける、いわば受け身の仕事が多いかもしれませんが、もちろんその回答の手段などとして顧客側にこちらから電話をするケースもあるでしょう。

あるいはテレマーケティングで、こちらから積極的に顧客に対して売り込みを図ることもあるかもしれません。このような方向性のことをアウトバウンドと呼んでいます。

広告業界のアウトバウンド

広告業界においてもアウトバウンドという用語が用いられますが、これは観光業界やコールセンター業界における内側から外向きのという意味の延長線上で十分にその内容が理解できるものとは若干異なり、補足的な説明が必要になるでしょう。

広告業界においては、顧客がある企業やそこで取り扱われている商品などの情報に自ら積極的にアクセスしに行くことをインバウンドと呼び、逆に顧客としては受け身で、企業側が積極的に自社や自社商品を顧客に対してアピールしに行くことをアウトバウンドと呼んでいます。

インバウンドタイプの顧客は企業にとってはある意味でありがたいでしょうが、テレビCM、ウェブ広告、ダイレクトメールなど、企業が行っている一般的な広告宣伝活動の多くはアウトバウンドタイプです。

まとめ

アウトバウンドとはインバウンドに対比される用語で、インバウンドが観光業界では良く用いられ、ニュースなどでも良く出てくることから、それと比較する形で海外に出かける日本人という意味でのみ捉えていた人は多いかもしれませんが、決してそうではないということです。

ビジネスの世界では顧客との関係性が重要ですが、その関係性を語る際にどちらからどちらにアプローチしているのかという方向性を意識したいケースも多いことから、この用語を派生的に用いることもあるということでしょう。

Twitter Facebook Bing