CRMとは?メリットと注意点を解説

最終更新日 : 2020-02-12 Box

マーケティングの業界で使われる用語に、「CRM」という言葉があります。

カスタマーリレーションシップマネジメントの略語で、顧客を意味する「カスタマー」と関係や結びつきを意味する「リレーションシップ」、そして経営や管理を意味する「マネジメント」をつなげた言葉なので、CRMとは顧客との関係を管理するということになります。

では、マーケティングにおいてCRMはどのような意味を持ちどのような役割をするのか、またメリットデメリットなどCRMについて詳しく説明していきます。

CRMとは?

マーケティングにおいて、CRMは顧客管理のためのシステムとして知られていますが、本来はシステムではなくマーケティングにおけるひとつの手法です。

その手法とは、顧客との関係を第一に考えるということに重点を置くということです。同じサービスを提供する会社で、大手のA会社と中小企業のB会社があったとします。

どちらか一方でサービスを受ければよいので、どちらの会社にしようかと考えた時、大手のAは有名なので実績も多く信頼度も高いですが、ネームバリューもあり代価は少し割高になることや、業務分担によってサービスを受けるときと受けた後の担当者が違ったりすることがあります。

一方、B会社は中小企業であまり有名ではないので、大手のAよりは実績も少ないけれど、その分、代価はAより安くなっていて、サービスの提供前からアフターサービスまで同じ人がきちんと面倒を見てくれるなどのメリットがあります。

そうなると、顧客を大切にしてくれるBの方を選ぶ人が少なくないのではないでしょうか。Bの会社は同じ担当者が契約からアフターサービスまで行うという例を出しましたが、同じ担当者ではなくても顧客との関係を大切にししっかりと管理をしていれば、担当者が変わったとしても顧客のことを良く知ったうえで担当をすることができます。

このように、顧客の視点でマーケティングや情報を整理し、顧客が求めているものを良いタイミングで提供でし、それが継続的に行われるようなマネジメントの考え方がCRMです。

CRMが注目される理由

日本では、お客様があっての商売という考え方は江戸時代のころからありました。顧客の名簿を作って取引履歴を記して残していくという大福帳のようなものがそれにあたります。それをコンピュータで管理するようになったのは、1990年代のアメリカでのことです。

顧客の情報と電話でのサポート履歴を結び付け、それを活用するようになったことがきっかけで、顧客の多様化するニーズにも対応できるよう顧客の声をよく聞いて商品開発やサポートなどを行う顧客中心主義という考え方が、経営に取り入れられるようになりました。

生活者が必要とする商品やサービスは、生活者自ら選ぶ時代です。そのような顧客の多様化によって、かつてのように大量生産でたくさんの商品を作り大量に提供してもそんなにたくさんの商品が必要とされなくなりました。

生活者の方もほかの人と同じものを持つよりも、自分が好きな個性的なものを持つ方が好む人の方が多いからです。そのため「みんなが欲しい商品」という考え方から「個人が欲しい商品」を提供するという考え方に変わってきました。そのため顧客中心主義であるCRMが注目されるようになりました。

CRMの基本機能

1998年に出版された「アンダーセン・コンサルティング」という書籍が影響を与え、ITを活用して顧客との関係を築くことがはじまり、顧客の年齢や性別などの属性と購買履歴、問い合わせ履歴などをまとめてデータにすることで、一人ひとりの顧客に合ったものを紹介したりスピーディな対応ができるようになりました。

2000年代後半からIT技術がさらに進歩し、CRMがシステム化されるようになってきました。CRMの基本的な機能は、「顧客管理」「メール配信」「キャンペーン」「ソーシャルメディアの連携」「顧客サポート」「データ分析」の6つあります。

これらの機能を活用することで、顧客とのコミュニケーションが取れて良好な関係を保つことができます。

CRMを使ってできること

では、このような機能を備えたCRMのシステムを導入し活用することによって、どのような効果が得られるのでしょうか。次に、システムを導入するメリットを挙げてみましょう。

(1)パフォーマンスの向上

かつては、どの会社も、売り上げのほとんどが優秀な営業担当社員によるものといわれ、そうでないほかのメンバーは残りわずかの売り上げに寄与していたにすぎなかったといわれています。

そこにCRMのシステムを導入することによって、優秀な社員が招いた顧客のデータほかの社員も見ることができ、営業方法や実績を共有することで他の社員もその手法などを活用することができ士気が上がります。

つまり、かつては個人プレーで売り上げを上げていたのが、チームプレーとして売り上げを上げていくことができるということです。

(2)顧客情報の管理

システムに入力した情報は誰でも共有することができるので、二重に入力されるのを防いだり、誰もが最新の情報で顧客一人一人のことを知ることができます。

そのため、ある顧客のことはあの社員しか知らないということもなくなり、チーム全体でスムーズに業務を進めて生産性を高めることができます。

(3)サポートが充実している

営業の社員をまとめる上司が、営業の担当者一人ひとりどのような動きをしているのか、ということを常に把握しておくことは容易ではありません。

しかしCRMを導入することによって、社員がアクション後すぐに記録をすればすぐに把握することができ、何か問題があっても上司のみならずほかのメンバーも、すぐにアドバイスをすることができます。このように、チームでのサポート体制がしっかりしてくるというメリットがあります。

CRMシステムの注意点

チームでスムーズに業務を進めていくうえで、重要な役割を持つCRMのシステムですが、導入にあたって注意をすることもあります。次はどんな点に注意をすればよいのかを挙げてみます。

(1)コストがかかってしまう

システムの導入にはコストがかかるので、会社全体でしっかりと話し合いをして、導入をすれば全社員が活用するということを約束したうえで導入するようにしましょう。

また市場に出回るシステムツールは多種多様で、多機能・高性能で大規模な会社でもしっかり役目を果たすものもあれば、一部の機能のみで大規模な会社には合わないものもあります。

自分の会社にはどのような機能が必要で、不要な機能はないかをしっかりと見極めたうえで導入をしないと、コストがかかるのに後悔することになりかねないので、注意が必要です。

(2)効果が出にくい

CRMのシステムツールは、顧客の管理やデータ分析をするためのものなので、すぐに売り上げが上がるという効果を発揮することができません。

必要なデータを入力し、様々な方法で抽出したり分析をしたりして、その結果を踏まえた営業活動をすることによって、徐々に売り上げが伸びてくることが期待されます。

たまったデータをどのように活用するのか、どのデータを使って分析をしていけばよいのかということは、会社によっても商品によっても異なりますが、それらもCRMを使いこなしていくうちにだんだんわかってきて、効果も発揮してくることでしょう。

まとめ

生活者が求めるものが多様化していく中で、一人ひとり求めているものを把握してそれぞれに合ったものを提供することは難しいものの、できるだけそのような考え方に近い方法で生活者の求めているものを理解して、商品やサービスを開発し、いろいろな販売方法を駆使するということが重要です。

どんなに良い商品を売っている店でも、店員のサービスの仕方や対応が悪ければもう次は行きたくないという人がほとんどです。

大きな会社でも、社員全員が顧客のことについてすぐにわかり、問い合わせなどにもすぐに対応してくれれば顧客を大切にしていることがわかるのが消費者です。

それがシステム化されたものを導入し、社員全員でうまく活用できれば、消費者が満足できる会社に伸びていくことが期待されます。

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