オンプレミスとは?クラウドとの違い、メリットなど各ポイントを解説!
ここでは、主に企業がコンピューターのサーバーを利用するときに検討対象となることの多いオンプレミスについて紹介します。
オンプレミスはクラウドと対比させる形で使われることが多い用語ですから、オンプレミスの説明を中心にしつつも、クラウドとの違いやそれぞれのメリット、デメリットなどが浮き彫りになるようにも説明していきます。
今まで言葉すら聞いたことがなかったという人も、これを読めば基本的なところはしっかりとおさえることができるはずです。
オンプレミスとは?
オンプレミスとは、英語ではon premiseとなります。onはともかくpremiseというのはそこまで馴染みのある単語ではないでしょうが、これには建物や施設といった意味があります。
つまり、直訳すれば建物内の、とか、施設内の、といった意味になります。
まさかコンピューターのサーバーが雨ざらしになっているはずはありませんのでどんな場合でも建物内にあるに決まっていますが、単に建物内というだけでなく自社の建物内というのが一番言いたいところで、要するにサーバーを自社で運用していることを指す用語です。
ちなみに、英語のpremiseは他にも前提とか根拠といった意味があり、今回のテーマと無関係に一般的な英文中で建物や施設を表す場合は複数形のpremisesとされるのが普通です。
クラウドとは
クラウドとは今では広く一般的に使われている用語でしょうからあまり説明を要しないかもしれませんが、オンプレミスと対比させる形で、自社内で運用するのではなくインターネットを通じて他社が運営しているサーバーを使わせてもらう方式を指します。
すぐに理解できることでしょうが、インターネットなどない時代にはそもそもオンプレミスしか選択肢はなく、後になって生まれてきたのがクラウドです。
なお、オンプレミスもクラウドも、別にサーバーだけに話を限定する必要性はなく、ソフトウェアなどについても使われることのある用語ではありますが、サーバーについて使われることが多いですから、ここではサーバーに絞って話を進めることにします。
オンプレミスとクラウドの違い
既にある程度説明していますが、オンプレミスとクラウドの違いは、サーバーを自社で運用しているか、それとも他社が運用しているものをインターネットを介して使わせてもらっているかにあります。
昔は他社のサーバーを使わせてもらうなどという選択肢はそもそもなく、自前で用意するしかありませんでしたが、今ではそうではありません。なお、premiseという用語が建物を意味すると最初に書いたために建物にこだわる人がいるといけませんので付け加えておきますが、会社で実際に仕事をしている建物と同じ建物内にサーバーがあることはオンプレミスの必須要件ではありません。
別の建物にあってネットワークで接続していたとしても、自社で運用していればこれに含まれます。もちろん、建物そのものが自社ビルなのかそれとも賃貸ビルなのかといったことも無関係です。
あくまでも、サーバーを自社で運用していればオンプレミスですし、他社のサーバーをネット経由で使わせてもらっていればクラウドということです。
オンプレミスのメリット
では、オンプレミスにはどんなメリットがあるのかを説明しましょう。クラウドと比較する形で考えれば分かりやすいですし記憶にも残りやすいでしょう。
また、現実的にも単独で考えるのではなく両者を比較検討しなければならないシーンは多いはずです。
(1)セキュリティ面での安心感
大きなメリットはセキュリティ面での安心感です。
クラウドは必然的にインターネットを介して通信を行うことになりますが、インターネットを介した情報のやり取りというのは必ずしも安全なものではなく、悪意を持った人による情報の盗み取りが発生する可能性が常にあります。
もちろんそれを防ぐために暗号化などの対策は相当に重厚に行われているはずですが、それでも100%完全ではありません。
オンプレミスにすれば、ネットワークは自社内だけの独立したものとすることができ、クラウドと比較すればハッキングや情報漏洩などといったセキュリティ面での安心感は大きく高まります。
機密性の高い情報を扱うような際にはこれは見逃せないメリットになるでしょう。
(2)カスタマイズが可能
もう一つのメリットは自社の業務に合わせたカスタマイズが可能ということです。
クラウドで他社のサーバーを使わせてもらう場合、自社の業務に合わせてカスタマイズすることが全く不可能というわけではありませんが、多くは既存の仕様そのままに使わざるを得ません。
ちょうど、賃貸住宅と分譲住宅の違いのようなものになります。
自社の業務が複雑な場合とか、複数のシステム間で連携を行いたいというような場合に、クラウドでは十分な対応がなかなか困難で、泣く泣く言われるがままのサーバー運用にせざるを得ないというケースもあります。
ですが、オンプレミスの場合はそんな心配はありません。自社の業務に合わせたサーバー形態とすることが可能で、これは業務面でのストレス軽減につながるでしょう。
オンプレミスのデメリット
ではオンプレミスにはメリットばかりでデメリットはないのかというともちろんそんなことはありません。
当然ながらデメリットも存在しますので、十分によく検討することが必要でしょう。これも、クラウドとの対比で検討されることが多い事項です。
コストが高い
オンプレミスの最大のデメリットはコストがかかることです。
セキュリティ面での安心感はともかくとして、カスタマイズを行うためには当然ながらコストがかかります。
仮に、市販のサーバーをカスタマイズなしにそのまま運用するタイプのオンプレミスとした場合であっても、サーバーの設置や運用、何かトラブルが発生した場合の対応、年月が経過して陳腐化してしまった場合の更新などに関してはそれなりのITの知識を有する専門家が必要であり、自社で運用する以上はそのような専門家の人件費も自社で賄う必要がありますから、やはりコストの問題は避けて通れません。
歴史的な流れを言えば、むしろコスト高を嫌って自社運用からクラウドに移行する企業が多かったという背景があります。
オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境
オンプレミスとクラウドは、一つの企業内においては必ずどちらかを選択しなければならないというような二者択一のものでは決してなく、オンプレミスも使えばクラウドも使うといったハイブリッド環境にすることも選択肢としては可能です。
いわば、両者それぞれのメリットを活かし、デメリットを最小限に留めるようにうまく組み合わせて使うということです。
例えば、オンプレミスはセキュリティ面での安心感がメリットでした。
そこで、極めて機密性の高い情報を扱うサーバーに関してはクラウドではなくオンプレミスを選択することができます。
一方、オンプレミスはインターネットを利用しないことでセキュリティを高めることができますが、今では例えばスマホやタブレットなどを活用し、営業担当者が外回り中にインターネット経由で社内サーバーにアクセスしたいという需要もあるでしょう。
そういうサーバーに関してはクラウドとし、社外にいても容易にアクセス可能とすることができます。
オンプレミスについてのまとめ
ここまでオンプレミスについて説明してきました。
クラウドと対比して使われることの多い用語ですが、最近ではクラウドのほうが一般的になってきている面があるために、昔はそれしか選択肢がなかったにも関わらず今となってはあまり焦点を当てて語られることの少ない言葉の一つかもしれません。
ですが、最近の流れだからというような理由だけで何でもネット、何でもクラウドではなく、やはりそれぞれのメリットやデメリットをしっかりと理解してより適切なものを選択することが賢いやり方です。
オンプレミスは決して過去の遺物ではなく、やはり一定の存在価値は今でもありますから、自社で運用することの意味合いを少なくとも考えることくらいはできるようにしておきましょう。