コアコンピタンスとは?ケイパビリティとの違いや企業の経営戦略に重要なポイントを解説

最終更新日 : 2020-02-26 Box

ここでは企業の経営戦略において重要なキーワードであるコアコンピタンスについて紹介します。どんな企業でも、その企業ならではの強みを活かして市場において重要な位置を占め、また発展させていきたいと考えるはずで、その際に大事になってくる考え方がコアコンピタンスです。

コアコンピタンスとは

コアコンピタンスとは、英語ではcore competenceとなり、直訳すると中核となる能力や強みということになります。これはまず具体的な事例を思い浮かべてもらうのが分かりやすいでしょう。

例えば自動車メーカーの中には、エンジン技術に絶対的な強みを持っている会社があったりします。家電製品であれば、とにかく小型化が得意なメーカーとか、液晶技術では誰にも負けないといったメーカーもあるでしょう。

あるいは、デザイン性に優れていることがこの会社の強みだとか、CMなどを通じたイメージ戦略が功を奏しているなどの理由により、製品そのものももちろんだがこの会社の強みはブランド力そのものではないかと考えられる場合もあるかもしれません。

このように、コアコンピタンスはかなりの部分で技術力が物を言うことは間違いなさそうですが、必ずしも技術力だけには限りません。そもそもモノ作りには関係していない会社であっても強みは当然ながらあるはずであり、そういう場合は例えば提供するサービスの開発力であったりすることもあるでしょう。

とにかく、この企業の強みの中で最も重要なものを一つ挙げるとすれば何になるかということがコアコンピタンスにかなり近い意味を持っていると言えます。

コアコンピタンスのポイント

コアコンピタンスのポイントとしては、その企業における様々な活動のうち、できるだけ中核となる個々の活動に絞って物を考えることです。

この会社は、会社組織全体として一丸となって邁進していることが強みだということも事実としてはあるでしょうが、そういう場合にこの会社は組織力がコアコンピタンスだとはあまり言いません。

そういう組織全体にわたる強みではなく、あくまで個別の能力、強みのことを指します。また、これも言うまでもないことですが、例えば自社としては商品開発力が強みだと思っていて、確かに営業部門と比べると強みがあったとしても、その業界において優位でないのなら、コアコンピタンスとはちょっと言い難いということになります。

ケイパビリティとは

企業経営における強みを考える場合、コアコンピタンスと並んで重要な概念としてケイパビリティというものがあります。これは英語ではcapabilityであり、日本語に訳すとコンピタンスとほぼ同じく能力とか強みということになります。

ただしこちらは包括的な意味での会社全体としての能力と考えて良いでしょう。例えば、いくらエンジン技術に強みを有している自動車メーカーであっても、新しいクルマの企画力、工場などの生産体制、さらには営業力などがしっかりしていないと十分な売り上げや利益には結びつかないだろうと考えられます。

そういう意味では、どんな会社であっても、コアコンピタンスだけで市場において重要な位置を占め、持続的に発展できるかというと難しいものがあります。どのような商品やサービスであっても、コアコンピタンスをしっかりと活かす会社全体としての力が必要になることは間違いなく、それが即ちケイパビリティということになるでしょう。

コアコンピタンスとケイパビリティの違い

既に説明したことから分かるでしょうが、コアコンピタンスはその会社の中核、中心となる強みや能力のことであり、ケイパビリティとは会社全体としての力、能力ということで、似てはいますが内容には差があることを覚えておきましょう。

コアコンピタンス分析の視点

では実際にコアコンピタンスを考えるときにどのような視点で分析すれば良いのかを説明していくことにします。どういう点で優れていればそれは間違いなく自社の強みだと自信を持って言えるのかと言い換えても良いでしょう。

(1)顧客に価値を提供できるか

ある意味で当たり前ですが、顧客にとって価値あるものを提供できるかは重要です。他にも類似の製品はいくらでも世の中にあることも多いわけで、その中でも自社の製品を選んでくれるからには顧客は自社製品は価格の割には価値があると思ってくれているからでしょう。

価値と言ってもなかなか漠然としているかもしれませんが、分かりやすい言葉で言えば、顧客はこれは良い製品だとか、この製品をぜひとも使いたい、自分にとって合っているなどと思ってくれているということです。

顧客にしっかりと価値を提供できているかどうかということは、その会社のコアコンピタンスを考える上ではまず外すことはできない、非常に基本的な視点ということができます。

(2)複数の市場につなげる可能性

これは現時点における顧客への価値提供とちょっと別の観点ですが、今まさに提供している製品だけでなく、他の製品にも同じようなコアコンピタンスを活用できそうかどうかというのはその会社の将来的な成長にとって大きな意味を持ちます。

例えば家電製品における液晶技術であれば、液晶テレビだけに集中特化している会社よりも、パソコン、タブレット、スマホなどといったように、他の製品でもその強みを活かせる会社のほうが将来が明るいことは誰にでも分かるでしょう。

限られた分野だけではどうしても時代の流れや人々の嗜好の変化によって成長が鈍化していくことになってしまいます。その強みは他の分野でも活かせそうなのかというのも大事な視点になります。

(3)簡単に真似されないかどうか

どんな得意分野も、他社に簡単に真似されてしまうようではそのうち強みではなくなってしまいます。ゼロから強みを構築するのは大変な努力を伴うでしょうが、それに比べれば真似するほうが楽なのは言うまでもなく、それだけコストもかからずリスクもないため、真似されてしまっては優位性はなくなるでしょう。

これは複雑で高度な強みであって容易には真似できないという意味だけでなく、特許などの形でしっかりと防衛できているかということも含みます。

他社が容易なことでは同じ製品は造れず、仮にちょっと真似をして作ったとしてもそのような製品はいわゆる模倣品で価値や品質が低いものと顧客に思わせることができたとすれば、顧客は自社製品を選んでくれるでしょう。

つまり、自社にとってのコアコンピタンスとなる可能性が高まります。

コアコンピタンスについてのまとめ

ここまでコアコンピタンスについて説明してきました。企業が顧客に選ばれ、市場において持続的に発展していくためには、ライバルとなる会社にはない何かの強みが必要です。

何も強みがない会社とか、仮にあっても十分にそれを活かせない会社はそのうち競争に負けてしまうことになるでしょう。

この中核となる強みが即ちコアコンピタンスです。会社にとっての大きな資産であり財産となりますが、簡単に分かっているようでいてよくよく考えると本当は自社のコアコンピタンスは何なのだろうかと悩むこともあります。

これに関しては、分析のための視点も紹介しましたから、これを元に今一度自社のコアコンピタンスは何なのかを考え直してみるのも良いかもしれません。

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