ランチェスターの法則とは?ビジネスや事業を成功させるための戦略
ランチェスターの法則というのをご存じでしょうか。1910年代に発表されたもので、その状況における強者と弱者がそれぞれとるべき最善の策を理数モデルにおいて導き出した法則です。現在のマーケティングでも有効なのでぜひチェックしておきましょう。
ランチェスターの法則とは?
ランチェスターの法則とは、1910年代にイギリスのエンジニアであったフレデリック・ランチェスターが自身の発表したレポート「集中の法則」において発表した法則です。
戦争における数の重要性を理数モデルを用いて説いたもので、戦略自体は古くから存在していましたが、数字によって導き出されたということで脚光を浴びました。その戦略自体は古来から有名なもので、日本でもおなじみの「孫氏の兵法」がよく引き合いに出されます。
エンジニアという職業を経験していたランチェスターだからこそのアプローチは、当時としてはとても斬新で現在でも普遍的に語られています。このランチェスターの法則が日本で注目されたのは、翻訳本「オペレーションズ・リサーチの方法」が発表されてからになります。
1955年に登場したこの本はたちまち日本の学者や経営者などに評判となり、経営戦略においても有用なのではということから、経済学の分野を中心に注目を浴びました。特に市場との対話の重要性や、どのような状況でも数は有用であるという理念は現在でも語り継がれています。
ランチェスターの法則のルーツ
ランチェスターの法則は、現在では経営面で注目されている法則ですが、そのルーツは戦争にあります。いかに相手の陣地を効率よく奪うかを数字化したもので、エンジニアだったランチェスターらしい独特のアプローチは、当時としてはとてもセンセーショナルでした。
この理論が確立されたのは1910年代の第一次世界大戦の時で、第二次世界大戦の時にはアメリカ軍によって実際にランチェスターの法則に基づいて戦略が立てられています。戦争のための理論でしたが、1970年代になると企業間の販売戦略にも利用されるようになりました。
以降、数多くの企業に取り入れられ、今日の経営コンサルタントにも大きな影響を与えています。
ランチェスターの法則の戦力差の法則
戦力差はあらゆる局面において重要である、というのがランチェスターの法則の原則です。その状況における弱者が取るべき戦略と、強者が取るべき戦略は算出することができます。ランチェスターの法則を理解するうえで基本となる部分ですので、しっかりとチェックしておきましょう。
第一法則、弱者の戦略
第一法則は、古典的な1対1の戦闘を想定したものとなり、別名一騎打ちの法則とも呼ばれています。よって、戦闘力を求める計算式は武器の効率と兵士の数をかけたものとなります。この計算式でわかることは、企業間のパワーバランスの中では弱者にあたる中小企業が取るべき戦略です。
数という面では圧倒的に不利な立場にある中小企業は、同じ質で戦ったのでは勝ち目がないため、質で勝負するしかありません。よってどうやって質を高めるのかを考えなければならないということです。
このケースの質とは従業員やサービスの質であり、社員や顧客の満足度を高めるための施策が有効ということになります。
第二法則、強者の法則
強者の法則は、一人で複数の相手を同時に攻撃する場面を想定した法則で、別名集中効果の法則と呼ばれています。遠距離戦、広域の戦いを想定したもので、近代的な戦闘にあてはめられるでしょう。
第二法則における戦闘力を求める計算式は、武器効率に兵力数の二乗をかけたものになります。仮に10人の部隊と5人の部隊が全く同じ武器で戦ったと仮定すると、この計算式では両軍合わせて8人が生き残るということになります。
よって一人で多数の相手と戦う場合は、とにかく数が有利ということです。大企業が取るべき戦略は、とにかく数を揃えるということです。具体的には、中小企業が成功させたものを真似して、圧倒的な数で広域化を狙うという戦略になります。他にも優秀な人材の確保や企業の買収なども戦略に練りこまれるでしょう。
ランチェスター戦略とマーケットシェア理論
マーケットシェア理論とは、企業が市場に参入したり、市場を拡大させるときに用いられる理論です。軍事的なシミュレーションに基づいて算出された上限目標値や拠点目標値、安定目標値といったシンボル目標値というものが7つあり、この目標値を参考に、自社がどの位置にいるのかを把握することで、ランチェスター戦略の取り方も変わってきます。
特に弱者の法則をとって企業を成長させたい時はしっかりと把握しておきたい部分です。数でかなわない中小企業は、幅広い分野に進出するのではなく、一つの分野のプロフェッショナルとして進める方が有効ということになります。
例えば、取り扱う商品の品質には徹底的にこだわる、競合他社とは一味違うサービスを展開するなどが挙げられます。また、従業員の態度の改善など、身近な部分は意外と見落としがちなので、基本的な部分から見直してみることも効果的でしょう。
まとめ
ランチェスターの法則のルーツや経営面での有用性をご紹介しました。もともとは1910年代に戦争のために導き出された法則ですが、現在の企業活用でも非常に重要かつ基本的なものでもあります。
自社のポジションを正確に分析して、そのうえで取るべき戦略をわかりやすく導き出してくれます。ランチェスターの法則は大企業だけでなく、中小企業でも適用できますので、これからの安定や成長を望む企業は、ぜひとも取り入れて実践してみてください。