プロダクトアウトとは?そのメリット・デメリットなどを解説
プロダクトアウトという言葉を耳にする事はあっても、詳細については良く知らないという声も少なくありません。そこで今回、プロダクトアウトのメリットとデメリット等、詳細情報についてポイントを5つ程述べていく事とします。
プロダクトアウトとは
商品開発や生産、販促活動を指す言葉で自社の得意分野を存分に活用した商品を市場に展開していく事を意味しています。作り手の都合を最優先した考え方であり、高度経済成長期の終盤に日本で多く採用されていました。
「良い物の制作に成功したならば必ず顧客の評価も付いてくる物である」という考えに基づいた、従来の日本の大量生産の根本にあった理念と言い換える事も出来ます。
企業発のプロダクトアウトの考え方が、顧客や社会が潜在的に持っていたニーズをピンポイントで掘り当てる事も多く、企業の考えと社会の需要が一致した時にはより大きい利益に繋がる事もあります。
つまり成功した場合には、その分野のトップランナーとして世間に認識してもらえる様にもなるという事です。ただし、この考え方にこだわり過ぎてしまうと、現在顕在化している需要の部分で盲点が生まれてしまう問題も発生し、その結果、マーケットインという考え方が登場する事になりました。
マーケットインとは?
マーケットインとはプロダクトアウトの逆の考え方であり、市場が必要とする物を開発し販売していく考え方です。「顧客が望む物だけを開発して、販売する」と言い換える事も出来ますが、1990年代の後半から2000年代の初頭に急速に日本社会に広がって行きました。
1990年代後半時点の頃合は「物を作れば売れる」という時代が終焉を迎え始めていた時期でもあります。同じ様な商品が既に市場に大量に出回ってしまっている現状があり、大抵の場合は直に同業他社に模倣されてしまう問題がありました。そんな中では中々革新的な製品というのは登場し難い物があります。
つまり、プロダクトアウトの考え方が行き詰まり始めていた時期とも言えます。そういった中で、状況を打開する為に企業目線から、顧客目線に視点を転換する見方が出て来ました。プロダクトアウトの中心軸であった「良い商品を作る」という部分は、共通しますがマーケティング等の調査を行いつつ、現在市場に顕在化している需要を読み取って売れる商品に的を絞って開発する様にしていけば、堅実に利益を上げる事が出来ます。
プロダクトアウトの時程の大当たりの衝撃が無い代わりに、一定の割合での利益は確実に確保出来ますので、高度経済成長が終わりを迎えた後の日本社会の状況とマーケットインの考え方は、とても大きくマッチする事となりました。ただし、プロダクトアウトもマーケットインも何方が片方より優れているという訳ではありません。メリットとデメリットがそれぞれある事も補足しておきたいポイントです。
プロダクトアウトのメリット
自社の技術と商品化が上手く結びつく事が前提であり成功した場合には、時代のトップランナーとして市場を独占出来る点にあります。「会社主導による物作り」である分だけ、開発者のモチベーションも高くなり、新しい発想が車内で活発に出てくる事等も期待出来ます。プロダクトアウトは一見すると、マーケティングを軽視した考え方である様に見える事もあります。
ですが、時代を変える程の大きい成功を起こした製品のほとんどは、プロダクトインに分類される物です。現在の携帯電話やPCを筆頭とするIT技術関連が代表例ですが、こういった製品は、潜在化していたユーザーのニーズを吸い出す事に成功した結果とも言えます。
マーケティングをどう捉えるかにもよりますが、プロダクトアウトとは、まだデーター化されていない見え難い部分に光を当てて行く挑戦的な試みでもあります。そういった挑戦をするのに際して、今までのデーターのみを前提にして話をしていたら論点が違う物になってしまいます。
無論、これは一歩間違えてしまうと、会社の思い込みで現実性の無い計画プランになってしまうリスクも孕んでいるとも言えますし勝算があるかは慎重に検証していかなければいけません。
現実的に何処までやれるのかも見極めなければいけませんが、その点さえしっかりクリア出来たならば十分大きいメリットが期待出来ます。自分の会社が有する技術の独自性が強ければ強い程に、先駆者性も担保される事は間違いありません。
プロダクトアウトのデメリット
従来とは視点を変えたマーケティングを慎重に行う必要がある事がまず出て来ます。此処に失敗すると性能は高くても、全く売れない商品になってしまうリスクが出てきますし、自社に技術はあっても商品化の目途が立たなければ、やはり現実的な計画には成り得ないです。
その点を考慮するのであれば、開発と同時に新しい商品の価値を世間に定着させる為のPR計画をしっかり立案する必要もあります。
他にも、その分野のトップランナーになれたとしても、何処までその先駆者性を保てるかも検討課題になります。自社の規模が比較的小規模だった場合には、大手がその気になれば類似の後発商品に追い立てられる不安も出て来ます。
その点を軽視して、迂闊に商品開発に入ってしまい、利益も恒常的に上がるのみと考えてしまうと足元が危なくなる事も考えておかないといけません。つまり、次世代商品等も含めてトップランナーで在り続けられる見込みも考えて置く必要があるという事です。
プロダクトアウトとマーケットインの融合
最も理想的なのは、プロダクトアウトとマーケットインの両方を融合させた考え方で商品を展開していく事になります。プロダクトアウト的な考え方を通して、自社の作りたい物に集中し過ぎて市場の動向を無視してしまった場合には、知らない間に思い込みに陥ってしまい大きく外してしまうリスクが付きまといます。
全てを手探りでやらなければならない分だけ、多くの手間も掛けなければいけません。それに対して、マーケットインの考え方は、現在見えるデーターをしっかり見た上での戦略ですので、プロダクトアウト程のインパクトが無い代わりに堅実な利益は出ます。
ただし、此処に安住し過ぎると他社との差別化が難しくなり、スタッフのモチベーションにも変化が起きる事も無く、新しい価値を創造する事は出来なくなっていきます。
そういった両者のメリットとデメリットを考慮するならば、最適解は「市場の様子を慎重に検討しつつ、顧客自身も気づいていないニーズに気付いてもらう事を目的とした戦略」という事に帰結します。
プロダクトアウトもマーケットインも、顧客のニーズを重視するという点は共通しています。その点において、逆の考え方である様に見えても、全く相互互換の効かない物ではありません。
会社の事情によって、どちらにウエイトを置くか等の違いは発生するでしょうが、国際化の波の影響等でこれからの時代は多角的な物の見方が出来るか否かが大きく問われる事になります。その事を考えるならば、やはり両方の考え方を有していた方が多くの点で賢明と言えます。
まとめ
プロダクトアウトとは、「良い物を作れば売れる」という考え方に基づき、自社の強みを活かして顧客の潜在的なニーズに合わせた製品を作る考え方です。ITの躍進等が代表的ですが、成功した場合は大きい利益に結び付き時代のトップランナーになれますが、市場の需要動向や顕在化しているユーザーニーズを追う部分を軽視した場合、大きく外してしまうリスクもあります。
ですので、これからの時代は、その部分を上手くカバー出来るマーケットインの考え方と上手く融合させた新しいプロダクトアウトの考え方を追求するのが理想的と言えます。双方のメリットとデメリットを熟知した上で、状況の変化に合わせて商品の開発から販促までの計画を立てる事が出来れば、堅実さと革新性の2つを併せ持つ事が可能となります。