デシル分析とは?優良顧客を調べるための分析手法

最終更新日 : 2020-03-26 Box

デシル分析とは、顧客のデーター分析をする手法の1つです。顧客分析ことデーターマイニングの一環でもありますが、他の分析法と混同される事も多いので、今回デシル分析の詳細と他の分析法との違いについて、ポイントを幾つか述べていく事とします。

デシル分析

デシルとはラテン語で10等分という意味であり、全顧客を10等分してその中から重要な情報を得ようという分析方法の事です。購買金額を分析する時に使う事が多く、1000人の顧客が居たとすれば100人ずつでデシル1~デシル10までのグループを作り、それぞれ合計の合計金額を算出します。

後は全グループの購入総額に対し、それぞれのグループの総額が何%程だったかを割り出し、上位から累積でどの程度の割合を占めるかという累積購入金額比率を出すのが全工程です。

一定期間の顧客別購入金額表を作成する為のデーターの収集が必須であり、割り切れない数字が出た場合には購入金額が少ないグループに持って行く等して、大体の表を完成させる等の工夫もする必要があります。

あくまで、大まかな傾向を分析する為の分析手法等で、そこまで精密に情報収集をしないでも簡単に出来る点や、エクセル等のソフトでも比較的容易に出来る事が押えておきたいポイントです。

デシル分析の目的は

デシル分析の目的は、売り上げに大きく貢献している優良顧客層の範囲の割出にあります。購入金額比率や累計購入金額比率と1人の購入金額の総額等を見ていけば、特に反応が良い部分に合わせたサービス法等も見えて来ます。全ての客層に同じサービスをするよりも費用対効果がずっと高くなります。

4デシル分析と混同されやすい分析法には、RFM分析法とABC分析法がありますが、RFM法とはデシル分析よりも更に詳細な購買状況分析をしたい時に使われる方法です。

デシル分析では、分析の中心軸になるのは購買金額だけでしたが、RFM法では購買日や購買頻度も分析データーとして利用します。その分だけデーターの質が向上しますが、その代わりにデーター解析に時間が掛かるという難点があるのも押えておきたいポイントです。

それに対して、ABC法はとてもシンプルな分析法でデシル分析の時の様に、グループを10等分せずA~Cまでの3グループに人数を割振って分析する方法になります。デシル分析の時と同じ様にその時の基準は購入金額を見ます。

人数が少ない場合は、とても有効な方法ですが一定以上の人数になってしまうと、1つのグループに割振られる人数が多くなってしまう分だけ分析結果が漠然としやすくなってしまうデメリットがあります。

そういった事情を勘案する場合は、取り急ぎ購買層の全体像を掴みたいという様な時には有効ですが、長期的にしっかりしたマーケティング施策を行いたい様な場合には、RFM法やデシル分析等を使った方がよりしっかりした物が作成出来ます。

デシル分析の簡易版が、ABC法であるという見方でも間違いではありません。どういった目的にどの様なデーターが欲しいのか、そして作成時間の猶予はどの程度なのかを見た上で、適した分析法を使用するのが重要なポイントです。

デシル分析を行うには

デシル分析を実際にやる場合には、全顧客や分析したい顧客層の購買データーを最初に用意します。全体を最終的に10等分し、その基準は購入金額になりますので購買データー収集の時点で金額の高い順に並べ替えておいたり、基準点になる金額を最初から最大と最低を設定しておく等の工夫をしておくとやりやすいです。後は、各グループの売上構成比を算出するだけですが、この時に注意点も幾つかあります。

まず、対象とする期間はある程度限定された期間にしないといけません。期間が数年規模等大きいスパンが開いていると、場合によっては旅行等で偶々お店を訪れて1度だけ高額商品を購入した人等も優良顧客グループに分類されてしまいます。

デシル分析の目的は、お店の売り上げに貢献している客層を割り出して、効率の良いサービス提供の差配を考えていく事であって、偶然そこに来たのみの顧客のデーターまでいつもお店を利用する人の枠に入ってしまうと、マーケティング資料としての信頼性に欠ける事にもなってしまいます。

その辺りを折込済みに出来る時間の余裕の有無にもよりますが、もしも、より確実性のある資料が欲しいという場合にはRFM法の方でデーターを見るのも1つですし、デシル分析の方で行くのでしたら、比較的短い期間を意識的に設定して小まめに分析にかけるというのも悪い選択ではありません。

後は大前提として、データーが無ければ分析の仕様がありませんので、会社が旗揚げしたばかりという様な時には、特に注意してデーターを残す様に留意する事も重要です。

デシル分析のメリット

デシル分析のメリットは、それぞれの顧客に応じたサービスを展開する事で限られた宣伝資源を有効活用出来る事にあります。まず、使う金額が多いグループに対しては割引クーポン券やDMを定期的に送れば、それを使う為にお店に戻って来てくれる可能性が高く見込めます。

それ以外のグループに対しても、普段購入する金額の範囲を見越した上で、低価格でお得な品物の宣伝をすれば、その分良い反応を返してくれる目算が高いです。リピーターとして確実な客層に対するサービスと、リピーターになってほしい人向けで戦術を変える為の重要な判断材料になると言い換える事も出来ます。その為には、やはり参考になるデーターがあった方が確実性が増します。

デシル分析のデメリット

デシル分析のデメリットは、参考にするデーターが単純すぎる事にあります。仮に高い買物をした人が再び同じ様に、お店で同等の買物をしてくれるかには疑問が大きいですし、そういった部分まで見越す場合には購入金額以外のデーターや営業担当者との打ち合わせ等も頻繁に行う必要が出て来ます。

ABC法よりは精密で、RFM法よりは大まかになりやすいという点を考慮した上で、分析データーを見るという事を常に意識しておく必要があります。エクセルやBIツールでも使いやすく、初心者にも分かりやすい分だけデシル分析を多く利用するのは、決して悪い事ではありませんが、やはり他の分析法の活用も適度に行う様にした方がより安定した資料が作成できます。

デシル分析 まとめ

デシル分析とは、グループを購入金額を前提として10分割し、それぞれのグループの売上が全体に占める割合を出す分析法です。混同されやすい方法としては、ABC法やRFM法があります。

それぞれのグループに適した販促活動をする時に、分析結果がとても役立ちます。ただし基準となるデーターが購買金額のみですので、条件によっては結果が曖昧になってしまったり正確さを欠く結果が出るデメリットもありますので、他の2つの方法も随時利用する事や、現場で実際に働くスタッフや営業担当者との打ち合わせをしっかりする等して、不足分をカバーする工夫は随時心掛けなければいけません。

その点をクリア出来れば、デシル分析は初心者にとっても大きいメリットがある方法になります。

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