売上を伸ばす価格戦略「ダイナミックプライシング」とは?導入方法やメリットを解説

最終更新日 : 2020-04-14 Box

ダイナミックプライシングは海外において、さまざまな企業が導入しています。

ダイナミックプライシングは近年日本でも導入する企業が増えており、導入することによっていろいろなメリットを得ることが可能です。物の価格は担当者が市場需要や原価、仕入れ値などいろいろな情報を収集したり分析してから決定しますが、このダイナミックプライシングは市場需要により価格が変動する仕組みです。

ダイナミックプライシングとは

ダイナミックプライシングはマーケティング手法の一つになります。

ダイナミックプライシングは市場動向に応じてさまざまな商品やサービスなどの価格を変えることです。需要により価格を変動させることで、集客や利益などの向上に繋げるマーケティング手法になります。

例えばホテルの場合、平日とそれ以外では料金が変わることが多く、土日や祝祭日の方が人が多く利用するので料金を値上げするところが多いでしょう。お正月やゴールデンウィークといった繁忙期に値上がりするケースがほとんどです。

需要が高まった時期に価格を上げると、多くの利益を得ることができます。既にホテルやスポーツ、航空業界にいてこの方法は用いられていて、他社と差別化することができ利益の最大化を実現することが可能です。

ダイナミックプライシングの原理

ダイナミックプライシングの原理は単純です。

同じ商品やサービスに関して価格を変えて販売する方法で、原理として商品やサービスを高需要なら高くしたり、低需要なら安く提供するという発想になります。クライアントの希望やニーズに応えながら、増収を図るものになります。例えば旅行で利用する飛行機やホテルなどが同じでも、リゾート地の場合は夏は高くなり冬は安くなるのが一般的です。

夏に行ったり冬に行く以外に、休日に行ったり平日に行ったり、移動時間が長かったり短いなど需要の大きさによって影響される要素は多いでしょう。商品やサービスの提供単位によっては需要の大きさが違うので、同じ商品やサービスを異なる値段で販売するのがこの方法です。

やり方はさまざまですが、第1段階では販売する前に一度価格を見直すことがあります。商品やサービスの一律価格から、提供単位毎の価格に設定し直すという仕組みです。第2段階では販売中において、第1段階で設定した値段に対し何度も見直しを行うことがあります。

売れ行きから販売する前に読み切れなかったいろいろな影響を踏まえて、見直すことにより予測精度を向上することが可能です。適切な価格に設定することができ、日程により価格が異なるケースがあり、管理コストが膨らみますが得られる効果が大きくなる仕組みになります。

ダイナミックプライシングのメリット

クライアントのメリットとして、需要が高まる時期に商品やサービスが値上がりしますが、需要が下がる時期になると値下がりする仕組みです。需要が下がる時期にわざと購入することにより、安い金額で手に入れることができます。コンサートなどで座席毎にチケット料金が変わるなら、見やすさか安さを取るか選択することができるでしょう。

企業のメリットとして、市場需要に合わせて値段に弾力性を持たすことができ、収益の最大化を図ることが可能です。需要が高まる時期なら品質を変えなくても高額で売却することができ、需要が下がる時期なら価格を下げると購入者が増えるので在庫数を下げることができます。

ダイナミックプライシングのデメリット

市場需要に合わせるのでメリットが多いと思いがちですが、いくつかデメリットもあるので注意が必要です。クライアントのデメリットとして、今まで定価で購入する商品価格が高騰するかもしれません。

お盆の帰省や連休中の旅行など、価格が高騰するタイミングにしかサービスを利用できないケースも多いです。品質はそのままで値段だけがアップする仕組みになります。企業のデメリットにはさまざまな要因を洗い出し市場需要を把握してからプライシングする必要があります。

要因として競合価格はもちろん、天候やイベント、SNSでの評判など多岐にわたるので計算が複雑です。市場需要と照らし合わせたとしても値上げ額が大きいと、価格のつり上げになっていると消費者に何かしらの不信感を与えてしまうかもしれません。

ダイナミックプライシングの小売業と消費者への影響

小売業がこの手法を導入すると、企業にはいろいろなメリットやデメリットがあるでしょう。需要が多過ぎる時、商品やサービスなどの価格を上げることにより利益を伸ばすメリットがあり、週末や繁忙期といった集客が見込める時期において値上げすると普段以上の利益を得ることが可能です。

反対に供給過多から集客が少なくなった時、価格を下げると集客を増やしたり利益を安定することができます。価格の変更を行う場合、競合企業や市場などのリサーチが必要で、分析といったプロセスは欠かせません。スタッフは本来の業務ができないようなケースになる可能性もあるでしょう。

ダイナミックプライシングを活用するとこのようなプロセスは省略することができ、スタッフの負担を軽減することができたり接客や陳列といった作業を行うことができます。デメリットには導入にコストが発生するケースがあり、システム開発が必要になったり電子タグなどを導入することになるかもしれません。

導入はもちろん運用にもコストが発生していきます。効果を発揮するには最適価格の精度が大切で、タイミングを見計らい最良の価格に変更しなければいけませんが、精度が悪いとクライアント離れになることもあるでしょう。導入するにあたって消費者から理解を得ることは重要です。

消費者として定価で購入できていたアイテムが急に値上がりするので、戸惑ったり怒りを抱く人もいるでしょう。消費者に不信感を与えると悪評が広がり、SNSを通じて拡散されるので常連のクライアントも失ってしまうリスクがあります。

スポーツ界でも注目

海外のスポーツ界において数年前からダイナミックプライシングを導入していて、現在アメリカの4大スポーツであるNFLやMLB、NBAやNHLなどのチケットはこのダイナミックプライシングによって決められた値段で販売しています。従来スポーツ観戦のチケットの値段は一律でしたが、チケット販売に大きな革命をもたらしました。

多くのチームがチケット収益性が改善していて、市場環境や試合価値などを数値化していて統計学に基づきながら価格を決定する仕組みです。さまざまな要素があり試合開催時期や天候、見やすい座席や連休、平日や土日、予告先発投手や引退試合などについて、消費者が購入を決める要素があります。これらの要素を数値化し分析することによって、顧客満足度や利益が最大化する値段を決定する仕組みです。

一見すると特別試合はある程度お金を持っていないと見に行けないかもしれませんが、条件さえ合うと通常より安い価格で購入することができます。対戦カードによっては価格が異なり、リアルタイムで価格が変動するチームもあります。ダイナミックプライシングを導入することで、独自にカスタマイズするチームもあり、最適なチケット価格を決めることが可能です。

多くの企業で採用されているダイナミックプライシング

アメリカでは既にスポーツ界以外にいろいろなサービスにおいて、ダイナミックプライシングが活用されていて、ドライバーが空き時間や自家用車を使うタクシーのようなサービスもその一つです。混雑している時や深夜早朝の需給などに伴い、利用料金はリアルタイムで変化するようになります。

大手ECサイトでもこの方法を採用していて、競合や需給などに応じてリアルタイムにアレンジされる価格を設定し、企業は損失を抑えながら利益を最大化することが可能です。日本のプロ野球でも採用していて、価格変動制のチケット販売を活用しています。

日本のサッカーリーグでも一部座席にこの方法を導入すると発表しており、収益アップが実証されると日本のスポーツ界への導入が進むでしょう。電気料金をこの方法にする実験が行われていて、例えば真夏の昼間になると需要が増える時間帯における電気料金を高く設定し、消費者に対して節電を促す方法になります。

まとめ

航空やホテル業界はもちろん、近年ネット通販にダイナミックプライシングが導入される予定です。小売業界においては今後多くの企業が導入すると言われています。消費者の影響や反応などを予測してから、メリットやデメリットなどを理解し進めることが重要です。

Twitter Facebook Bing