コンプライアンスとは?その意義と重要性
社会の趨勢から廃れていってしまう言葉もあれば、新しく生まれたり見直されて再び使用されるようになるものもあります。ここ何年かでよく耳にするようになったのが、コンプライアンスという言葉です。社会で働いていれば誰でも1度は聞くものとして定着しています。
ただ、なんとなく意味はわかったつもりでいても詳しく聞かれると答えられなかったり、口ごもってしまう人も多いです。全く内容がわからない人も、少しは理解している社会人も詳細を知っていて損はありません。
正しく理解して日常会話でも使えるようになれば、現代を生きている人間として様になりますし気後れする必要もないです。もう1歩進んで、自分が勤めている会社のコンプライアンスとはどのようなものなのか、守るためにすべきことがあるのかなども考えられれば尚良いです。
コンプライアンスとは?
そもそもコンプライアンスとは日本語では法令遵守と訳されることが多く、企業がルールや社会的規範を守り行動していくことを意味します。メディアなどを通じて不祥事が相次いでいますが、大きな企業のみならず、規模に関係なく知っておかなければならない用語です。どのような場面で使われているのか、違反した時のことなど詳しく学べば怖くありません。
単語そのものの意味としては要求や命令に従うことを指しますが、日本語では会社の中で定められた法律や規則を守って経営を行うこととされます。この言葉を耳にすると、法律を守ることだけを頭に浮かべる人も多いです。
しかし、現在ではただ単に法律を守ることだけではなく、倫理観や道徳間を含めた社会規範といったより広い範囲の意味を持って使われるのが一般的です。
コンプライアンスの使い方と例文
この用語は、コンプライアンスの意識を持って行動するだとか、新人の教育を徹底するといった使われ方をします。会議や経営者の指針等でも引用されることが多く、たとえ新入社員でも企業の一員で立派な社会人なので知らなかったでは済まされません。
一人ひとりに徹底させる意識が企業には必要です。企業が使う例としては、コンプライアンス重視の経営を行っているとか、小さな企業でもコンプライアンスが徹底しているなどがあります。
きちんと体制を確立している企業ではアピールポイントにすることができますし、先方から内容を聞かれることも多いです。具体的にどのように取り組んでいるのかも説明できるように、自社のコンプライアンスはしっかりと把握するのが良い社員です。
コンプライアンスの意義と重要性
コンプライアンスの重要性・意義も正しく理解しておく必要があります。まず重要性として挙げられるのが、企業の不祥事を未然に防いだり企業価値の向上につなげられるといった点です。
不祥事は起こさないに越したことはありません。社員一人ひとりにコンプライアンスの意識が徹底されていれば、不要なトラブルを招く可能性は低くすることができます。
また企業の価値を高めることにもつながるのが利点です。企業がこれを無視して違反行為を行うと、社会的信用の失墜や売り上げの減少に直結します。それほど現代の社会ではコンプライアンスが重視されていて、違反することは厳しく糾弾される世の中です。
倒産してしまう企業すら存在しています。逆にコンプライアンスを重視することで、企業活動のリスクの低減や社会的信頼の向上につなげられます。行動規範を守って仕事に取り組むことは、モチベーションを上げることにも直結するのが通常です。規律のある職場には適度な緊張感がありますし、このような雰囲気が社内全体に広がれば、仕事を前に推し進める上で役に立ちます。
コンプライアンスの違反
2000年代に入ってから、特に大企業の不祥事が続き連日ニュースや紙面を賑わせました。これを契機にして、社会的にも企業のコンプライアンス体制を整えることを求めるようになりました。ブラック企業という言葉も一般的に使われるようになり、労務上の体制整備も求められています。
企業における違反の例としては、粉飾決算や脱税・横領・談合・故意の個人情報の流出・リコール隠し・出資法違反・産地偽装などが挙げられます。談合や粉飾決算・不適切な会計等は、ニュースなどでもよく耳にするコンプライアンス違反です。大きなコンプライアンス違反を犯した企業は社会的信用を失い、倒産することもしばしばです。社内でしっかりと徹底しておけば、事業活動に伴う多くのリスクを回避できます。
コンプライアンスの強化
過当競争などで企業は生き残りをかけ経営のスリム化や業績拡大など、利益追求の姿勢を強めます。しかし、利己的な利益追求に走ると、コンプライアンス違反が起こる可能性は高くなりがちです。倫理観が少ない判断を続けると、ルールを犯す企業が出てきます。
結果として企業の存続が困難になるケースも散見されます。そうならないためには、コンプライアンスの強化が必須です。消費者も安全性を重視する姿勢を強めています。コンプライアンスを強化していけば重大な問題発展への事前防止策としても効果がありますし、社会的信用度も高まります。
経営の安定基盤を支えるための戦略的活動としても有効です。部署の垣根を越えたグループディスカッションなどで取り組むのも良い強化法です。
コンプライアンスの取り組み事例
実際にコンプライアンスの取り組みをしている企業は多いです。1つの事例で挙げられるのが、コンプライアンス相談窓口やヘルプデスクの設置です。相談窓口等を設置する企業は増加傾向にあり、企業や取引関連の会社で働く社員等が、法令遵守に反する行動や反する恐れのある行為を認識したときに相談や通報をすることができます。
これは、法令違反行為を通報した労働者に対して、社内で不利益な扱いを受けないように事業者のコンプライアンス経営を強化するために策定された、公益通報者保護法の趣旨に基づきます。正しいことをした社員が不当な扱いを受けることは、コンプライアンス遵守の精神に反します。通報者を保護する事は意外と大切です。
専任部署を設けて意識向上に取り組む企業も多いです。月に1回メールマガジンを配信したり、半期に1度コンプライアンスミーティングを行っているところもあります。従業員一人ひとりの意識の向上や浸透を推進することが可能です。わかりやすく効果的なコンテンツを提供することで、無理解や無関心も防げます。
コンプライアンスが含まれる用語
コンプライアンスが含まれる用語もたくさんあり、企業内を中心によく使用されています。コンプライアンス違反という言葉はすでに一般化していて、文字通り違反する行為のことを指しています。例えば偽装や脱税ハラスメントなどがこれにあたり、一気に会社の評価を下げる行為です。
コンプライアンス部門もよく聞く用語で、組織の中にある部署の1つです。全社員にコンプライアンスを徹底させるために存在し、重要性を解いたり勉強会や講習を企画し実行するのも大切な役割になります。コンプライアンスチェックという言葉もあり、徹底されているかどうかを確認することです。社内規定やモラル等に違反していないかを、チェックシート等で確認します。
コンプライアンスまとめ
現代の企業では、コンプライアンスを遵守することはもはや必須条件です。しかし、ただ遵守しようと経営陣が頭で考えているだけでは十分とは言えません。そのための仕組みを細かく社内で構築することが求められています。例えば相談窓口やヘルプデスクを設置すれば、わからないことをいつでも誰でも聞けるようになります。
メールマガジンや部署を超えたミーティングを行うのも良いです。これから導入を検討する企業なら、まずはコンプライアンスという言葉の意味から細かく浸透させることが大切です。
また、高い意識を保ち続けられるような工夫があるとなお良く、無理解の人が社内にいない状態をキープしなければいけません。新入社員にもしっかりと教育するためには、先輩たちの理解が不可欠です。教育体制も整えていくことを検討しなければだめです。