マーケティング戦略の基本となる4Pとは?4Cとの違いも解説

最終更新日 : 2020-05-29 Box

4Pフレームワークは、マーケティング戦略を立案する際の基本となるビジネスフレームワークです。非常に有名なフレームワークであるため、一度は耳にしたことがある方も多いかと思いますが、十分に理解できていない方も少なくないでしょう。

4Pフレームワークは1960年代に確立された考え方ですが、マーケティング戦略を立案する際に欠かせないフレームワークのひとつで、現在も多くのマーケティング担当者に使用され続けています。そのため、4Pフレームワークについて理解できていないのであれば、この機会に習得を目指してみてはいかがでしょうか。

ここでは4Pフレームワークの基礎知識に加えて、4Pと関連性が深い4Cフレームワークとの違いなどについて解説していきます。

4Pフレームワークとは?

4Pフレームワークとは、マーケティング活動の要素となる4つのPを考えることによって、マーケティング戦略を決定するためのフレームワークです。4つのPは、Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販促)から構成されます。

Productは、顧客に提供する商品やサービスのことで、ターゲットとなる顧客のニーズを満たした製品とは何かについて考えていきます。具体的には、品質・デザイン・ブランド名・パッケージング・保証体制・アフターサービスなどが挙げられますが、他社との差別化を図りつつ、ターゲットとなる顧客が購入したいと思うような製品を考えなければいけません。

Priceは、製品の販売価格のことです。市場の相場や利益幅、ブランドイメージなどの要素を慎重に検討したうえで、適正な価格がどの程度なのかを検討する必要があります。

Placeは、流通経路や販売場所のことで、ターゲットとなる顧客に商品やサービスを供給する方法について考えます。実店舗なのか通販なのかや、販売エリア、立地条件などについて検討する必要がありますが、ターゲットに自社製品を確実に届けられる流通戦略を講じることが大切です。

Promotionは、販促やプロモーション活動のことです。いかに優れた商品やサービスであっても、世間に認知されていなければ顧客に購入してもらうことはできません。そのため、テレビCMや広告、イベント、メルマガなどを活用して、ターゲットに認知してもらう必要があります。

4Pはいつ使うのか?

4Pフレームワークは、マーケティング戦略の一部です。マーケティング戦略は、「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」を決定し、それを実行することを指しますが、4Pフレームワークは「どのように提供するか」を決定するためのフレームワークです。

そのため、4Pフレームワークを使用する際は、まず「誰に」「どんな価値を」提供するのかという基本戦略を決める必要があり、決定した基本戦略を具体化するために活用するのが4Pフレームワークとなります。

一般的には、STP分析によって、市場をニーズで細分化(セグメンテーション)し、狙う市場を決定(ターゲティング)して、自社の立ち位置を明確化(ポジショニング)した後に行われます。

マーケティングの4PはBtoBに不向きなのか

現在、BtoBの顧客の購買行動は大きく変化していると言われています。従来のBtoBマーケティングは、企業側から顧客にアプローチするのが一般的で、新規顧客の開拓や既存顧客への販売は営業担当者の力に頼っていました。

しかし、インターネットの普及によって、顧客はオンラインで商品やサービスの情報を収集できるようになったため、営業担当者との接触は、ある程度商品やサービスの選定がまとまってから行われることが多くなっています。そのため、BtoBマーケティングは、営業主導の従来の方法からマーケティング主導へとシフトする必要性が高まっています。

また、BtoBマーケティングにおいて重要なのは、製品ではなく人(顧客)にフォーカスすることです。現在は、いくら自社の製品やサービスが優れていたとしても、顧客のニーズにマッチしなければ売れることはありません。そのため、近年のBtoBマーケティングにおいては、基本的な4Pフレームワークでは対応が難しくなっています。

4Pフレームワークは、製品自体や価格、流通などを中心に考えるフレームワークであるため、そのままBtoBマーケティングに適応できないケースも多くなっています。

そこで考え出されたのが、4つのPにもう一つのPを加えた5Pフレームワークです。5Pフレームワークにおける5つ目のPは利用シーンによって異なりますが、BtoBマーケティングにおいてはPerson(人)を指します。

BtoBマーケティングにおいても4つのPは重要ですが、近年はこれらの4つの要素に加えてPerson(人)の重要性が高まっており、顧客が抱える問題がどのようなもので、それを解決するためにはどのような製品が必要なのかといった要素を検討する必要があります。

フレームワークで考える自社戦略

4Pフレームワークなどのビジネスフレームワークは、自社のマーケティング戦略を考える際に非常に重要です。「より多くの利益を上げるには」「もっと多くの顧客を集めるには」といったことを漠然と考えたとしても、時間がかかる上に有効な答えにたどり着くとは限りません。

しかし、ビジネスにおける戦略立案や問題解決のための枠組みであるフレームワークを活用すれば、考えなければいけない要素をピックアップできるため思考が整理できますし、枠組みに沿って考えていけばよいので短時間で課題ややるべきことが明確になります。

加えて、直感や経験に頼ることなく客観的な根拠に基づいて自社のマーケティング戦略を立案できたり、新しいアイデアを創出する手助けになったりするのもフレームワークを活用するメリットです。

また、ビジネスフレームワークと呼ばれる枠組みは様々な種類が存在していますが、それらを組み合わせて活用することで、より効果的な戦略が立案できる可能性は高まります。そのため、4Pフレームワークだけではなく、その他のフレームワークについて理解しておくことも重要です。ビジネスフレームワークは習得に時間がかかりますが、使いこなせるようになれば効率的に自社戦略の立案が可能となります。

4Pと4Cの違い・比較

4Pフレームワークは、1960年代に確立された考え方で現在も使用され続けていますが、4Pを発展させた4Cという考え方も普及しています。4Cは、Customer Value(価値)・Cost(費用)・Convenience(利便性)・Communication(意思疎通)の4つのCから構成されるフレームワークで、1990年代に登場しました。

4Pは企業側視点で考えるフレームワークであるのに対して、4Cは顧客側視点で考えるフレームワークという違いがあります。また、4Pと4Cの各要素はそれぞれ対応しているため、4Pと4Cの両方を考慮することで効果的なマーケティング戦略の立案が可能です。

4Cのひとつ目の要素であるCustomer Valueは、顧客にとっての価値を意味しており、4PにおけるProduct(製品)に対応しています。顧客側の視点で、自社の商品やサービスにどのようなメリットがあり、使用することでどのようなベネフィットが得られるのかを考える必要があります。

費用を意味するCostは、4PのPrice(価格)に対応する要素です。顧客にとって販売価格は購買行動を大きく左右する要素ですが、Costは金銭的な負担だけでなく、購入に要する時間や手間を含めて考えなければいけません。

Convenienceは、商品やサービスの購入する際の利便性を意味しており、4PにおけるPlace(流通)に対応します。顧客にとって価値があり、価格も手ごろな商品やサービスであっても、手に入れるのが難しければ顧客は購入してくれないため、顧客に自社製品を届けるには、どのような手段が適切なのかを検討する必要があります。

4Cの最後の要素であるCommunicationは、4PのPromotion(販促)に対応する要素です。自社製品の販促は、企業から顧客に一方的に行われがちですが、販促活動は顧客が求める情報を把握して、適切なタイミングと頻度で行わなければ十分な効果は得られません。

4Pフレームワークまとめ

Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販促)の4つのPから構成される4Pフレームワークは、マーケティング戦略を立案する上で欠かせない考え方です。上手く活用することで、効率的に有効なマーケティング戦略を立案可能ですが、4Pフレームワークを活用する際は、初めに「誰に」「どんな価値」を提供するのかという基本戦略を決定しておく必要があります。

また、BtoBマーケティングにおいては、4つのPに加えてPersonを考慮する重要性も高まっています。さらに、4Pフレームワークを活用する際は、4Cフレームワークも併用して、企業側と顧客側の両方の視点からマーケティング戦略を考えると効果的です。

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