アトリビューションとは?CVに至るまでの経路分析の方法を解説
Web広告にはバナーやディスプレイ、SNS広告など様々な種類があり、それらの広告を使ったマーケティング戦略もさまざまありますが、その中でアトリビューションという戦略方法があります。
それは顧客が購入や契約にまで至った経路について分析するための戦略のことですが、具体的にはどのようなことをいうのでしょうか。ここではアトリビューションについて詳しく解説していきます。
アトリビューションとは?
消費者は、1つの製品やサービス購入したり申し込んだりするまでに、いろいろな広告を見聞きしています。かつては、いくつかの広告を見聞きした中で購入の決め手となるのは、最後に接した広告だという考え方がありました。
そのため企業は、最後の決め手となる広告だけに費用をかけていましたが、消費者がまず「知る」きっかけとなる広告を見聞きしなければ、知ってもらうことさえできず当然購入や契約につながらないということが起こり得ます。例えば、欲しいものが決まっていてそれを検索している時ふと目に入ったバナーに、買おうと決めていたものよりもよさそうなものがあることを知ってそれに決めた、ということもあります。
このようなこともあるので、決め手となるものばかりに注目せず「知る」きっかけとなる過程にも注目し、どの段階の広告で消費者が意思決定をしたかを調査して、結果につなげるまでの一つ一つの広告についての貢献度を分析していくことがアトリビューションです。
アトリビューションを進めていくには?
アトリビューション分析を行うことで、消費者が購入や契約をするまでにどの過程の広告が一番貢献したかということを知ることができます。その分析結果がわかると、どのような広告を作っていけば良いのかがわかるようになり、広告にかける費用のかけ方も変わってきます。
それではアトリビューションを進めていくため、まずはどのような企業がそれを取り入れていくと効果的なのか、そして導入に当たってどのようなものが必要なのかということを説明します。
アトリビューションが向いているものと向いていないもの
誰もがお手頃価格で簡単に購入できるような商品やサービスやどの企業のものを購入してもあまり差がないような場合は、それほどの広告に触れることなく購入につながる場合が多いですが、高額な商品や長く持ちたいような商品になると、ほかの商品と比較したりメーカーに問い合わせをしたり、口コミを見たりと購入を決めるまでにたくさんのデジタルコンテンツに触れることになります。
消費者がたくさんのコンテンツに触れるほど、どの広告が購入の決め手になったのかを分析する必要が出てきます。だからアトリビューション分析に向いているものは、購入や契約を意味する「コンバージョン」に至るまで多数の過程を経るような商品を扱う企業です。
またコンバージョン数の中で企業や商品名で検索された割合が高い場合は、どの過程で企業や商品名を知ったのかを知ることが大切なので、アトリビューション分析をする価値があります。
再度訪問を促すためのリターゲティング広告に効果はあってもサイト全体の売り上げが伸びないという場合も、多額の費用をかけて広告を出しているにもかかわらず結果が伴わないのでアトリビューションが必要といえます。
さらにコンバージョンにつなげた検索のキーワードが偏っているという場合も、そのワードの流入もとを知る必要が出てくるので、アトリビューションに向いているといえます。逆に向いていないものとしては、比較検討の必要があまりなくコンバーションまでの過程がシンプルな場合です。
アトリビューション分析を導入前に必要なもの
アトリビューション分析はデータをもとに行うので、広告を出している媒体や費用などのデータを集めることが必要です。過去に出した広告についてもデータを準備しておくようにします。また、一人ひとりの消費者はそれぞれ異なった経路をたどりますが、モデルを使うことによって単純な方にはめることができ分析がしやすくなるのでモデルを準備しておくことも大切です。
アトリビューション分析の結果によってどの広告の貢献度が高かったかを知るとともに、広告の費用を有効に使えるようにすることができるので、分析のレポートを作成する必要があります。そのレポート作成を自動で行うツールがあるので、それも準備しておくと良いでしょう。
基本的なアトリビューションモデル
アトリビューション分析に取り組むためのモデルとして、どのようなものがあるのかということを紹介していきます。基本的なものは5つあります。
ラストクリック
ラストクリックは、コンバーションに到達するために最後に行ったクリックのことです。そのラストクリックの貢献度は100%としたモデルのことで、一般的にGoogleやYahoo!など、多くの人が利用する媒体で使用されます。
顧客の獲得に高い効果が期待できる媒体で、コンバーションを前提としたモデルとなっています。まだ商品やサービスについて認知していない顧客に対してはあまり評価できる広告ではありませんが、認知している顧客に対しては有効です。
ファーストクリック
ファーストクリックとは、消費者が購入を決めるために一番初めにクリックするもののことです。そのファーストクリックを貢献度100%とするモデルで、まだ商品やサービスに対して認知度が低いユーザーとの接点として使われます。
コンバーションとはかけ離れた場所にあるファーストクリックですが、ブランドの認知を高めようとするモデルで、新規ユーザーを獲得したいという場合に有効です。
線型
線型というのは、コンバーションに結び付けるための過程広告すべての貢献度を均等に割り当てるというモデルです。どれも同じ貢献度に設定しているので、どの過程の貢献度が高かったのかを知るために各過程で一定量のデータが必要になります。
しかし、近年はユーザーの接点も複雑になってきているので、線形モデルを使ってどの過程広告が有効なのかを知ることができるモデルです。
接点ベース
ユーザーがコンバーションに至るまで接点を持ったすべての過程に貢献度を振り分け、最初と最後には40%ずつ、残りの20%を中間部分で割当ていきます。線形と同じでどの過程にも貢献度を割り当てますが、最初と最後により重点を置くことで、コンバージョンに結び付くラストと、商品やサービスを初めて知るきっかけとなるファーストの部分がバランスよく評価できるモデルです。
減衰
全体の貢献度を100%として、コンバージョンに近づくほど貢献度を上げて設定するモデルで、ファーストを10%としてラストを40%、その中間を20%、30%としていく方法となっています。初めの接点よりも最後の接点の方に重きを置くというもので、比較的慎重なアトリビューション分析ができます。
まとめ
消費者は一つの商品を購入するとき、どのメーカーの物でもさほど変わらないような場合にはそれほど多くのコンテンツを見たりすることはありませんが、比較的高価なものや長く使いたいものを購入するときには慎重になり、他のメーカーと比較をしたり口コミを見たりするのが一般的です。
そのため多くのデジタルコンテンツを見ることになりますが、最終的にどの広告を見て購入を決めるかは最後の広告とは限らず、最後は再確認のために見ているということもあり、それまでに購入を決めているということも多いです。
そのようにどのコンテンツを見て購入を決めたか、多くの人が決めるきっかけとなった広告はどれなのかということを分析して貢献度の高かった広告を調査することによって、どの過程の広告に費用を一番かけることが有効なのかということがわかります。
逆に言えば、コンバージョンにあまり貢献しない広告に多額の費用をかけている可能性があり、それを改善することが重要で、そのためにアトリビューション分析が必要です。マーケティングの手法としてアトリビューション分析を行うことで、必要なところに費用をかけてコンバーション数を増やしていくことが、新規顧客の獲得や売り上げ増に関わってくるということです。
いくら広告にお金をかけても売り上げにつながらないという企業で、アトリビューションに向いている企業なら、このような手法を導入することで効果が発揮できることが期待されます。