BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)とは?業務プロセスの改善方法とおすすめツール6選

最終更新日 : 2021-10-21 Box

企業の業務プロセスの改善に、BPM〔ビジネスプロセス・マネジメント〕が必要だと言えます。

これまで、各企業では色々な方法で業務プロセスの改善が行われていました。

近頃はBPMが注目されており、実際に取り入れる企業が増えています。基本的な情報から実施のポイント、おすすめのBPMツールまで紹介するので参考にしてください。

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)とは

BPMとは「Business Process Management」の略であり、企業の業務プロセス管理手法と訳すことができます。

全ての業務や業務をこなすためのシステムを分析することで、それぞれのプロセスを改善できるようになり、最適な業務プロセスをつくり上げることが可能です。

問題点を詳しく調査してからプロセスの設計や実行に移ることになり、そこで発覚した新たな問題も修正することになります。

作業工程の変更や簡略化、無駄の排除を行いながら問題を改善していくケースが多いです。

BPMは一時的なものではなく、継続した分析や改善を行うマネジメントサイクルとなっているので、長期的な業務改善を成功させるためにピッタリの手法だと言えます。

BPMとワークフローの違い

ワークフローと同じではないかと思う人もいるかもしれないですが、BPMとワークフローは異なることを知っておくべきです。

2つはカバーする業務範囲が異なっています。

ワークフローでは、申請や承認作業をミスなく効率的に行うために分析や改善が行われますが、BPMの場合は申請や承認作業に関係なく、あらゆる業務が対象です。

BPMのほうがワークフローよりも規模が大きく、業務の全てを対象としていることが大きな違いだと言えます。

BPMの特徴

BPMはプロセスを基準として業務の問題点を見つけたり、分析を行ったりすることが特徴的です。

エンドユーザーよりの手法で実施されるため、的確な改善を期待することができます。

BPMではプロセス全体のモデル化を実施することになり、全体を俯瞰することが可能です。

目に見えないプロセス部分が可視化されているため、問題点や改善策を見つけやすく、着実に理想的な状態に変化させていくことができます。

PDCAが徹底されていることも特徴的です。

継続的に改善を重ねていくことが大切な手法なので、PDCAサイクルを回して絶え間なく改革を進めていきます。

少しずつ自社にピッタリな業務プロセスに進化していきますし、随時改善が行われるので問題のある古いプロセスを取り除きやすいことも特徴の1つです。

BPMのメリット

導入するメリットには、各業務プロセスの最も重大な問題を解消しやすいことがあげられます。

ボトルネックとなっている問題を解決することは容易ではありません。

BPMを実施すれば業務プロセス全体を俯瞰して問題を浮き彫りにすることができるので、複雑で重大な問題でも解決しやすい傾向があります。

プロセスの追加や変更が簡単なことも魅力であり、1つ1つのプロセスを基準に改善を重ねるので柔軟な対応が可能です。

突然全体を大幅に変えることは大変ですが、細かいプロセスに変更や追加を加えるのでスムーズに実行することができます。

部署や部門での合意形成を実現できることもメリットです。

権限を持つ人が一方的に作業を進めるのではなく、実際に業務に携わる人が課題発見から改善を行います。

BPMは関係者全体が相互理解を深めながら行われるので安心です。

BPMで解決できること

解決できる内容は色々ありますが、多くの企業では8つの課題解決に取り組んでいることが多いと言えます。

差別化と標準化・業務間連携の強化・変化に対する俊敏性・コンプライアンス強化・リソースの最適化・属人的ノウハウの伝承・全体の最適化をあげることができるでしょう。

こうした8つの課題に取り組むことによって、企業の競争力を向上させたり、社内の業務効率をアップしたり、ノウハウを確実に社内に広めることができたり、リスクを回避することができるようになったりします。

もちろん、BPMは企業ごとに様々な取り入れ方をすることができるので、これ以外にも社内で問題だと感じている内容に取り組むことができると知っておくと良いです。

BPMNとBPMS

BPMのことを学ぶ上で、これに似たBPMNやBPMSという言葉を見聞きするケースは多いと言えます。

前者は業務プロセスの定義や描画法に関する国際標準であり、業務プロセスを記述していくために活用することが可能です。

工程の種類や担当するチーム、使用するデータや実施する内容などを、詳細に図解表記するために用います。

BPMSはBPMを実施するために用いることができるプラットフォームです。

分析や改善検討、モニタリングをツール上で行えるようになるので便利だと言えます。

BPMNで記述した内容をBPMSに実装して管理を行うことも可能です。

BPMNとBPMSはどちらもBPMの実施と関係しており、導入にあたって知っておくべき言葉だと理解しておきましょう。

BPMの基本フロー

ここからはBPMの基本フローを解説します。

流れを理解しておかなければスムーズに実施することができません。

基本的なフローを理解し、正しく導入できるようにしておくことが大切です。

1.業務プロセスの分析

BPMを導入するときには、最初に業務プロセスの分析を行う必要があります。

改善するべきだと感じられる業務プロセスを見つけ出すことからスタートし、発見した問題点や課題を詳しく分析することになるでしょう。

業務プロセスの可視化をここで行うことによって、関係者全員にしっかりと共通の理解を持たせることが重要です。

分析によって問題点や課題を浮き彫りにすることができ、これを踏まえた上で次のステップに進むことになります。

2.業務プロセスの設計

業務プロセスの分析を終えたら、問題点や課題を改善するための設計作業を進めることが可能です。

具体的には問題があると感じられるプロセスをなくしたり、作業方法を変更したりすることができます。

必要に応じて別のプロセスを加えることもでき、最適な業務プロセスになるように比較検討を重ねていくことが重要です。

設計を行うときにはシステムやソフトウェアが活用させることが多く、便利なツールを使うことでスムーズに設計作業を進めていくことができます。

3.業務プロセスを実行

設計が完了したのであれば実行に移す必要がありますが、ただ新しいプロセスを実行するだけでは意味がありません。

実行状況をきちんと管理して、改善によってどれほど工数や作業時間を削減することができたのかというような効果測定が必要となります。

正しくBPMを導入するためには、何となく良くなったと分析するのではなく、定量的に効果を測定するべきです。

実行段階では、改善による成果に関する情報を集めていくことになります。

4.業務プロセスの監視・改善

新プロセスの実行で成果や改善点が分かったはずなので、最後はこれを踏まえた更なる業務プロセスの改善が必要となるでしょう。

成功したと感じている場合でも、1回の実施で全ての問題が解消されることはないと言えます。

改善すべきことは他にもあるはずなので、継続してプロセスの監視や改善を続けるべきです。

BPMでは対象としている業務プロセスの問題が全て解決されるまでは、繰り返し課題の把握と修正を行っていくことになります。

BPM導入のポイント

役に立つBPMを導入したいのであれば、ポイントを知った上で取り入れるようにすることが大事です。

導入のコツを知っておくことで、スムーズかつ満足度の高い導入が実現できるようにするべきだと言えます。

1.導入目的を明確化する

取り入れることを検討している場合は、導入目的を明確化しておくことが重要です。

業務プロセスの改善に取り入れるはずが、いつの間にかBPMを導入することに目的がすり替わってしまうこともあります。

目的が明確なものでなくなれば、内容が薄くなってしまい、意味のある業務プロセスの改善を行うことができません。

上層部が理解しておくだけでなく、関係者全体で導入目的を共有しておくと、目的に合った運用を実現できるようになります。

2. BMPツールの比較・トライアルをしっかり行う

BPMツールには様々な種類がありますが、どれを使用しても同じ効果が得られるわけではありません。

値段や知名度などで決めてしまうのではなく、各ツールをしっかりと比較してどれを利用するか検討することが大切だと言えます。

BPMはトライアルを利用できるケースが多いので、本格的に契約する前に試してみることも大事です。

調べたときに良いツールだと感じられても、導入すると使い勝手が悪いこともあるため、比較とトライアルの利用は必須だと言えます。

3.運用体制を整備する

運用体制の整備も重要です。

BPMによって業務が従来と大きく変化することもありますが、体制がきちんと整っていなければ社員に大きな負担をかけることになります。

会社への反発心が強くなる可能性もありますし、モチベーションの低下から業務効率が悪くなる可能性もあるので注意が必要です。

BPMで何かが変更されたときには、現場社員への情報伝達や教育を実施することが大切だと言えます。

誰にでも分かりやすいマニュアルの整備も重要であり、これらを徹底することによって、スムーズな運用を実現できる体制に整えておく必要があります。

オススメのBMPツール

BPMの成功にはツールが必要不可欠です。

現在ではたくさんのBPMツールが登場していますが、その中でもおすすめのツールを紹介します。導入するときには参考にしてください。

Questetra BPM Suite

Questetra BPM Suiteはクラウド型のBPMツールです。

直感的に操作しやすいことで人気のツールであり、工程アイコンをドラッグアンドドロップするだけで簡単に業務プロセスの管理を実現することができます。

ノーコードで開発することができるため、専門的な知識を持つ社員が少ない場合でも安心です。

現場主導であることが重視されており、実際に業務に関係している人にとって使い勝手の良い内容になっています。

タスクリストや社内チャット、進捗状況の閲覧機能なども搭載されているため、スムーズにBPMに取り組むことができますし、各部門の進捗状況なども素早く把握することが可能です。

外部連携に対応しているため、他のツールで活用しているデータなどをQuestetra BPM Suiteに取り込んで使用できますし、反対にアウトプットすることもできます。

BP Director

BP Directorは時間軸による業務プロセス管理が実施できるBPMツールです。

ガンチャート形式で業務プロセスを管理するタイムライン機能が搭載されており、複数部門で同時に作業を並行する場合でも素早い改善が必要な場合でも、進捗や期限が明確になるので便利だと言えます。

シンプルな操作で業務プロセスを構築することができますが、自社特有の内容も柔軟に設定したり反映させたりすることができるので安心です。

複雑な分岐条件などが必要なプロセスでも、自動化機能を用いることができるのでスムーズに実施することができます。

リアルタイムで可視化されるため、自分が関係しているものに変化が起こった場合は素早く状況を把握することができるでしょう。

管理者が全体的な業務状況を把握しやすいことも特徴的です。

常に管理者が進捗を確認できるので、問題が起こっている場合は素早く社員に指示を出せるというメリットもあります。

Ranabase

Ranabaseは業務改善コンサルティングのノウハウが取り入れられているBPMツールであり、単に業務フロー図を描くだけのツールではありません。

分かりやすいUIで簡単にフロー図を描けるだけではなく、作成時に使用された用語や属性を一元管理することができます。

用語や属性を統一することができるため、人によって表現方法が違って分かりづらいという問題が起こりにくいです。

コミュニケーション機能も優れており、フローの特定の箇所を指しつつコメントを残すことができます。

チャットなどでやり取りを行うときには何を指しているか伝えることが大変ですが、Ranabaseでは必要ありません。

フロー上の何についてコメントが残されているか誰でも把握できるので、円滑なコミュニケーションやディスカッションを実現できます。

教育コンテンツも用意されているため、新規メンバーが増えるときも安心です。

octpath

octpathは業務プロセスの見える化を実施し、属人化を解消することができるツールだと言えます。

定型業務の業務プロセスを登録することができ、問題点の発見や改善を容易に実施しやすくなるでしょう。

タスク追跡機能や外部連携機能などの便利な機能が多数搭載されているだけではなく、効果的な利用に繋げるためのサポート体制が用意されていることが特徴的です。

導入を検討する際には詳細な検討プロセスを案内してもらうことができますし、利用する場合はコンサルタントから業務の現状分析やプロセス最適化に関するアドバイスを受けることができます。

社内向けレクチャーのような円滑な導入のためのサポートも整っているため、octpathは使い勝手の良さだけではなくサポートの充実性を重視したいと考えている場合におすすめのBPMツールです。

TriSynergy

TriSynergyは業務の可視化と合意形成の推進を目的としているBPMツールであり、確実な成功に繋げやすいことが特徴的だと言えます。

業務・機能・情報の3つの視点による業務の可視化、全体最適化を考慮したモデルの策定が可能です。

実際のシステム構築に必要な技術課題の検討にも対応でき、現場で散らばっていた問題点やアイデアを統合させることができます。

現場から経営まで全ての問題点の抽出や業務プロセスの設計が可能なので利用が難しいと思われやすいですが、テンプレートが用意されているので簡単に利用できることもポイントです。

TriSynergyは問い合わせることで、自社に最適なプランやサービスを丁寧に提案してもらうことができます。

Metasonic Suite

Metasonic Suiteはドイツ生まれのBPMツールです。

エンドユーザーが容易に利用できるように、プログラムの自動コーティングも実装されています。誰でも簡単に表記することができるツールの中には、システム担当者が実行環境を整えなければならないツールも少なくないです。

こちらは自動化によって、システム担当者が手を貸さなくても実行環境を得ることができるので便利です。

業務の並行処理を正確に実施できること、普段から使用する自然言語を使用できること、小さな組織単位で活用できることも魅力的なポイントだと言えます。

Metasonic Suiteはドイツにて開発されたBPMツールですが、日本語に対応していますし、サポートやコンサルティングも日本企業に依頼できるので問題なく利用を開始することができるでしょう。

BPMまとめ

BPMを取り入れることによって、企業の業務プロセスを着実に変化させていくことができます。

改善したいと何となく思っていても、明確な手法を用意しておかなければより良い業務プロセスを完成させることは難しいです。

今では、BPMツールを活用してスムーズに業務プロセス改善を実現することができます。

BPMに関する基本的な情報や実施する上で知っておくべきこと、便利なツールなどを理解し、正しく運用できるようにしておくと良いでしょう。

Twitter Facebook Bing