アイデアを生み出す「オズボーンのチェックリスト」のやり方や事例、アプリなどを紹介!

最終更新日 : 2022-05-27 Box

新たなアイデアを生み出そうとしても、中々良いアイデアが浮かばないというケースは多々ありますが、このような場合に効果的なのが「オズボーンのチェックリスト」です。

オズボーンのチェックリストは効率的にアイデアを捻出するための手法で、幅広いシーンで活用されています。

ここでは、オズボーンのチェックリストの概要やメリット・デメリットなどを解説していきます。

オズボーンのチェックリストとは?

オズボーンのチェックリストは、ブレインストーミングの考案者でもあるアレックス・F・オズボーン氏によって生み出されたアイデア捻出技法です。

「転用」「応用」「変更」「拡大」「縮小」「代用」「置換」「逆転」「結合」の9つの項目に回答する形で、アイデアを発想するのが特徴です。

これら9つの項目は、アイデアを出すためのヒントとなっているので、効率的にアイデアを生み出すことができます。

また、このアイデア捻出技法は9つの項目に対してアイデアを出していくため、ゼロから新しいアイデアを生み出すというよりも、今あるものを改善・応用するためのアイデアを創出する際に効果的です。

そのため、オズボーンのチェックリストは問題解決型の手法と言えるでしょう。

ブレインストーミングとの違い

オズボーンのチェックリストの考案者であるアレックス・F・オズボーン氏は、集団でアイデアを発想するブレインストーミングも生み出していますが、これら2種類の技法は役割が異なります。

オズボーンのチェックリストは、決められた9つの項目に従ってアイデアを捻出するため、現実的なアイデアを発想したい場合に適しています。

これに対し、ブレインストーミングは参加メンバーが自由な発想で意見を出し合う手法です。

出てきたアイデアの中には非現実的なものが含まれることもありますが、柔軟なアイデアを出したい場合に向いています。

オズボーンのチェックリストのメリット

オズボーンのチェックリストを活用する最大のメリットは、現実的なアイデアを効率的に発想できることです。

9つの項目に沿って考えるだけなので、ゼロから考えるよりも早くアイデアを捻出することができます。

また、ブレインストーミングを行う際も、オズボーンのチェックリストのフォーマットをベースに検討を進めていけば、議論が大きく脱線するのを防ぐことが可能です。

これにより、ブレインストーミングの時間が大幅に短縮されるでしょう。加えて、複雑な問題を扱う際に、検討事項の漏れを防げるというメリットもあります。

オズボーンのチェックリストのデメリット

オズボーンのチェックリストのデメリットは、奇抜なアイデアが浮かびにくいことです。

ある程度フォーマットが決まった手法なので、効率的にアイデアが捻出できる一方で、意外性がある発想が得られにくいという側面があります。

また、9つの項目ばかりに頼ってしまうと、それ以外の問題を見落とす可能性があるとともに、自身が考えやすい項目ばかりに注力してしまい、視野が狭まって逆に発想の機会が損なわれる恐れもあるので注意が必要です。

オズボーンのチェックリストの9項目

上記の通り、オズボーンのチェックリストは9つの項目に従ってアイデアを捻出する手法ですが、ここからは9つの項目を1つずつ詳しく解説していきます。

1.Put to other uses: 転用

転用(Put to other uses)は、商品自体は変更せずに、他の分野や領域で活用できないかを考える項目です。

「他の用途に使えないか」というポイントに焦点を当ててアイデアを膨らませていきますが、転用の代表的な例としては蓄音機が挙げられます。

エジソンによって発明された蓄音機は、当初遺言の録音や言語学習に使う機器として発売されていましたが、中々売り上げが伸びませんでした。

しかし、音楽を録音するという別の用途への転用を思いついたことで、蓄音機は世界中に広く普及しました。

2.Adapt:応用

応用(Adapt)は、他の分野のアイデアを活用して、新しい発想が得られないかを考える項目です。

同じような分野ではなく、全く異なる分野や他業種からアイデアを発想していきます。応用を代表する例には、スターバックスコーヒーのオペレーションシステムがあります。

スターバックスコーヒーは、全く異なる分野であるトヨタ自動車が生み出した「トヨタ生産方式」を応用して、既存のオペレーションシステムを見直し、大幅な業務の効率化を実現しました。

3.Modify:変更

変更(Modify)は、既存商品の色・形・音・匂い・意味・動きといった要素を変えるという方向性で発想を広げる項目です。

例えば、ネスレのキットカットは、商品名と「きっと受かる」をかけることで、単なるお菓子から願掛けグッズとしてのイメージを定着させ、毎年受験シーズンになると売り上げがヒットしています。

また、昔大ヒットした匂い付き消しゴムも代表的な例のひとつで、消しゴムに対して様々な匂いを付けて販売することで、爆発的な人気を獲得しました。

4.Magnifty:拡大

拡大(Magnifty)は、既存商品を大きくする方向で発想を広げる項目です。拡大する対象は、長さ・面積・重量だけでなく、時間や強度なども含まれます。

具体的な例としては、軽自動車の収納スペースを拡大してファミリーカーとして販売する、テーマパークなどの入場券を年間パスポートにして来場者数を増やすといったものが挙げられます。

また、大手コンビニチェーンのセブンイレブンは、当初は午前7時から午後11時までの営業でしたが、営業時間を24時間に拡大したことで、事業の大幅な成長につなげることに成功しました。

5,Minify:縮小

縮小(Minify)は拡大の逆で、既存商品を小さくする方向性で考えることにより、新たな発想を生み出す項目です。

具体的な例としては、機能を縮小することで高齢者でも使いやすくしたシニア向けのスマートフォンや、通信使用料が少ない方向けに月1GBの料金プランを提供するといったものが挙げられます。

一人焼肉や一人カラオケなど、あえて利用人数を縮小することで、顧客数を増やすといった手法も縮小を代表する例のひとつです。

6.Substitute:代用

代用(Substitute)は、既存商品の要素を別の要素で代用できないかという発想でアイデアを捻出する項目です。

代用の対象となるのは、部品・素材・製法・顧客へのアプローチ方法などが挙げられます。例えば、自動車のフレームに使われる素材を鉄からカーボンに代用することで、軽量化と強度アップを図るといった事例が該当します。

ビールの代用品である発泡酒や、肉の代わりとなる大豆ミート、こんにゃく粉を使った糖質制限ラーメンなども、代用の代表的な例となります。

7.Rearrange:置換

置換(Rearrange)は、部品・成分・パターン・レイアウト・位置・スケジュールといった要素を入れ替えることができるかという方向性で発想法を広げる項目です。

例えば、飲食店において後払い決済を、食券機に置き換えることで人的コストを削減する、お弁当のご飯とおかずのバランスを入れ替えてヘルシー志向のお弁当として販売するといったものが挙げられます。

その他にも、図書館の勉強スペースにカフェを設置するのも置換を代表する例のひとつです。

8.Reverse:逆転

逆転(Reverse)は、前後・左右・プラスマイナス・順番・立場・時間などを反対にすることで新しいアイデアを生み出す項目です。

例えば、消えないことが特徴のボールペンのイメージを逆転させることで生み出された消せるボールペン、昼間に行くものという動物園の考えを逆転させたナイトサファリなどが挙げられます。

フォードの創業者であるヘンリー・フォードは、自動車のもとに作業員が行って組み立てるのではなく、自動車を作業員のもとに移動させるライン生産方式を考案し、自動車の大量生産を実現しました。

9.Combine:結合

結合(Combine)は、異なる要素を組み合わせるという方向性で新しいアイデアを創出する項目です。

代表的な例としては、スマートフォンが挙げられます。スマートフォンは、ネット端末・カメラ・音楽再生端末など、携帯電話に複数の要素を組み合わせた機器であると捉えることが可能です。

また、鉛筆と消しゴムを組み合わせた鉛筆消しゴム、ガソリンで稼働するエンジンと電気で動くモーターを組み合わせたハイブリッド車なども結合に該当します。

オズボーンのチェックリストが使えるアプリ

オズボーンのチェックリストは誰でも簡単に扱うことができますが、アプリを活用すればより効率的にアイデアを創出できます。

ここからは、オズボーンのチェックリストが使える2つのアプリをご紹介していきます。

1.アイデア生産向上

アイデア生産工場」は、アイデアを捻出したい対象の単語を入力するだけで、オズボーンのチェックリストに沿った膨大な質問が表示されます。

作成された質問に回答していくだけで、新たなアイデアの創出につなげることが可能ですが、質問の数は膨大なので回答する質問を絞るのも良いでしょう。

2.アイデア発想法の決定版!オズボーンのチェックリスト

「アイデア発想法の決定版!オズボーンのチェックリスト」も、キーワードを入力するだけでチェックリストが自動生成されるアプリです。

「アイデア生産工場」と同じように数多くのチェックリストが生成されるので、眺めているだけでも新たなアイデアが浮かんでくる可能性があります。

オズボーンのチェックリストまとめ

オズボーンのチェックリストは、新しいアイデアが中々浮かばないときに有効な技法です。

9つの項目に回答していくだけなので、誰でも簡単に使うことができますが、手順通りに進めれば一定以上のアイデアを創出することができます。

アイデア創出に困ったときに効果を発揮してくれるので、良いアイデアが出てこなくて困ったときは是非活用してみてください。"

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