業務平準化とは?実施のための重要なポイントを徹底解説!

最終更新日 : 2023-05-18 Box

社内での権限が理由の場合を除き、特定の人員しか処理できない業務が多かったり作業が偏ったりという環境では高いパフォーマンスを発揮するのが難しくなります。

ここでは業務平準化の基本的な概念と、それが実行されていない場合のデメリット、加えて実施していくためのポイントや企業での事例に関しても解説します。

業務平準化とは?

業務平準化とは特定の人員およびシーズンに集中している業務を分解し、全体的に均一化を図ることです。

こういった偏りは資材・資源と作業量のバランスの不一致が原因となっており、その結果作業量が多すぎたり少なすぎたりという事態が発生してしまいます。

一部の社員が忙しくしているのにもかかわらず、数名は暇そうにしている事態が起きていると収益はさることながら社員の士気にも影響が少なくありません。

一人ずつの作業・業務の負担、難易度を踏まえた上で労力を均一に揃えることでそういった状況が改善されることを狙う取り組みです。

ひいては部署全体の残業時間の減少や、時間・労力の捻出および心身の疲労やストレスの軽減というように、業務平準化によって労働環境の改善にも繋がります。

業務平準化によって余った時間が出来ることにより、最適化・効率化が図れたり有給休暇の取得率のアップにも貢献できるのも大きなポイントです。

業務平準化になっていない場合のデメリット

職場での改善・業務標準化を図る前に、業務平準化を実施してない場合のデメリットについて見ていきましょう。

1.業務の滞りが起こる

特定の人員に担当業務が集中してしまうと、他の社員が作業を進める際にいちいち確認を取らなければ進行しなくなります。

話が途中で止まると作業に取りかかれず、手持ち無沙汰の人員が大量に出るのは大きな損失です。また担当者が席を外していると、状況が分からず困ってしまうといった事態も発生します。

もしそのタイミングで顧客から問い合わせがあっても、即座に答えられず商機を逃すといった損害も起きかねません。

2.属人化による業務内容のブラックボックス化

業務が属人化することで、顧客とのやり取りや状況が全く分からないのも大きなデメリットです。

営業担当がどのようなアプローチを重ねた結果、良い成果もしくは悪い影響が出たのかを分析することもできません。

業務改善や企業の方針を組み立てる上での資料が揃わず、発展していくことが難しくなっていきます。

担当者が転職および退職した際の引き継ぎや教育にも、大きく手間がかかる点についても大きな問題です。

さらには個人の仕事ぶりが把握できないため、人材の評価がしにくくなる点も業務平準化されていない場合のデメリットです。

3.従業員のモチベーションの低下

自身が不在の際に大事な連絡が入って、他の社員が対応できなかったら怖いといったように不安を抱えて、業務が集中している社員が休憩や休暇を取りにくくなっている状態も問題と言えます。

多くの人員に認められている有給休暇も満足に取れないとなれば、社員のモチベーション低下に繋がりかねません。

酷い状態になれば定休日すらも気持ちが休まらず、自由な行動がとれなくなり離職率が高まってしまう可能性もあります。

当然の話ですがそもそも仕事の多いスタッフは、他の余裕がありそうな人員を見た時に不公平感を抱きモチベーションが著しく下がってしまうでしょう。

4.コストの増加

業務平準化を図っておかないと、人員に対するコストが増加する点もマイナスです。

作業が偏っているスタッフは、業務が長引くにつれて効率が落ちてきます。暇をすることが多い社員の数が増えるほど、人件費のムダは比例して増加していきます。

生産性の向上を狙うには、社内全体の人員への負担を減らすことが大きな命題です。

5.サービスの質の低下

人員への負担・労力に偏りが出ていることで、作業のクオリティ自体も下がってきます。

結果的に製造物や営業・書類作成、顧客に提供するサービスも比例して質がどんどん低下するという訳です。

社員のパフォーマンスの低下が、そのまま提供する製品・サービスの低下へとダイレクトに繋がることを意識していなければなりません。

業務平準化するためのポイント

作業や時期に偏りがある際のデメリットを理解したところで、業務平準化を行うためのポイントを見ていきます。

1.業務フロー・業務量の整理

まず業務平準化をすすめるにあたって、業務フロー・業務量を把握していくことから始めます。

一度業務の棚卸しを行って、現場の状況を見直すことが大事です。日常的な業務だけでなく、特定の時期に発生する業務やイレギュラーの作業も含めて全ての業務を洗い出してリストアップします。

このときに確認したいのはムダな作業が生じていないか、特定の人員やタイミングに集中していないか、アウトソーシングできる作業はないかといったポイントです。

棚卸しをしつつ、どの業務がボトルネックとなっているのかを把握しましょう。作業をリストアップするのはもちろん、フローも一緒に見直して効率化を図るように試みるのが大切です。

2.小さい範囲から進めていく

気を付けておきたいのは、いきなり業務平準化を大きな規模で始めないことです。売上アップのために大きな改革を図りたい気持ちも分かりますが、普段の業務を行いながら進める必要がある点も忘れてはいけません。

効果を焦ったり、いきなり大きな成果を期待するがあまり現場に負担をかけては元も子もないからです。

生産性の向上を求めて業務平準化を行い、成功をおさめた企業の多くは中期もしくは長期的に取り組んでいます。

最初はスモールステップからと心がけて、長い目で見つつ入念に行っていくことが大事です。

小さい範囲から取り組み、その規模を広げていくイメージで進めると良いでしょう。

3.マニュアル化する

業務・フローの棚卸しが完了したら、業務内容を現場に落とし込む作業へと進みます。

このときにその業務内容を、マニュアル化しておくと良いです。細かくマニュアルにしておくことにより、今後業務内容を引き継ぐ際にスムーズになるからです。

加えて担当スタッフが不在であったり別件に取りかかっている際でも、他の社員がマニュアルをもとに対応が可能になります。

属人化を防ぐことができるため、案件の状況がブラックボックスにならずに済む点も大きいです。

現場の社員はもちろんリーダーや上司、他の部署が情報を共有しやすくなる点もメリットです。

4.担当領域を見直す

社員のそれぞれのスキルに応じた、担当の領域を見直すことも業務平準化には重要なステップとなります。

担当を見直すことによって、社員の苦手な業務から解放してあげたり得意な業務へと配置したりとさまざまなミスマッチの改善が見込めます。

これによって生産効率が向上するだけでなく、社員がストレスを感じず労働環境を改善できるといったメリットもあるでしょう。

敢えて成長を見込んで、定期的な配置の交換といった高度な施策も可能です。

5.業務を自動化する

繰り返しが必要であったり、定型化された業務を自動化することも業務平準化の一環です。

これにより従業員の負担が減り、時間的にも労力的にも余裕が生まれます。たとえば大量のデータを処理する作業や、毎月同じタイミングで同一の動作が求められる作業で、ツール・システムを導入して自動化を図ります。

これにより作業・時間の手間や負担が減るだけでなく、人為的なミスを防げるといったメリットが見込める点も大きな魅力と言えるでしょう。

6.PDCAサイクルを回す

せっかく業務の棚卸しやフローを整理して、正しく人員に分配しても経過観察やそれを踏まえた改善を実施していかなければ意味がありません。

取り組みに対して効果を発揮させて、大きく生産率や現場の状況の向上を図るにはその結果を観察して分析し、そこから改善点を見出して計画を修正していくといったプロセスが不可欠です。

立案した計画を社員がマニュアル通り実行して、出た成果を正しく判断・分析をしてそこから上手く取り込み計画や方針を転換していく、ハイクオリティなPDCAサイクルの実施を目指していくことが大切になります。

7.業務のアウトソーシングを検討する

棚卸しを実施した業務の全てを自社の社員でまかなうのが難しいとなった場合、アウトソーシングに頼るのも一つの手法です。

費用がかかる方法ではあるものの企業が成長している証、もしくは今後成長を遂げるための転機と捉えて前向きに検討すべきです。

アウトソーシングは人手不足を解消するための代行サービスだけでなく、企業が抱える課題・問題点の解決に取り組んでもらえるサービスも存在しています。

業務を外部企業に委託することで、社員がコア業務に集中できて能率がアップするという仕組みです。

業務平準化の事例

大企業が業務平準化を取り入れた事例を見ていくと、生産業務の平準化が具体例として挙げられます。

製品の生産する分量・種類や、時間を平均化することで生産のバラつき・ムダを無くしました。

必要とされる製造量に対して、生産にかかる時間を決定してムダを減らします。これを判断するために生産の後の段階の工程を行うグループが、その前の工程に使う分だけの部品を取りにいきます。

前の段階のグループは減った分だけの部品を作れば良いため、ムダが減るという仕組みです。

さらには1つの製品を作る流れを、一度全ての工程のグループを通してマニュアル化してしまいます。

これにより同じカテゴリーの別の性質の種類の製品を作る際に、そのマニュアルを活かしながら新規のマニュアルが作りやすくなるという訳です。

これを繰り返すことでマニュアル化が進み、作業はもちろん総括的な効率もアップします。

業務平準化まとめ

業務平準化が正しく作用していないと、生産効率が悪いだけでなく労働環境や提供するサービスの質の低下にも繋がります。

全体作業を見直してマニュアル化を徹底し、均等に振り分けることが大切です。

このとき作業の分量だけでなく、難易度や手間など総合的に判断して均等化を図るのがコツです。

平準化によって特定の社員への負担を減らし、企業全体の業績向上を目指していきましょう。

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