ピラミッドストラクチャーとは?作成方法やポイントを解説

最終更新日 : 2022-06-30 Box

ここではビジネスの世界で主に相手に対する説明とか説得の際に用いられる手法である、ピラミッドストラクチャーについて紹介していきます。

このピラミッドストラクチャーを学ぶことで説明や説得が根拠をもって確実に行えるようになることが期待できます。

ピラミッドストラクチャーとは?

ピラミッドストラクチャーとは、何か主張したい物事がある場合に、その根拠とともに構造的に示したものを指します。

ビジネスの世界で説明や説得を試みる際には、たとえそれがごく日常的な些細な物事であったとしても、その背後にはこちらが主張したいことがあり、それを相手に受け入れてもらうためには明確な根拠や理由がなければなりません。

仲間内とか毎日の決まりきった仕事の場合は、これらは言わずもがなということも多くありますが、事が大きくなればなるほどしっかりとした主張がないとビジネスは成功しませんし、その主張は根拠や理由があって初めて相手を納得させることができます。

通常、何か一つの主張の下には複数の根拠があり、またそれらの根拠はある意味でそれ自身がサブで主張したいことにもなるわけで、さらに複数のサブの根拠があったりします。

ピラミッド的な構造になることからこう呼ばれています。

ロジックツリーとの違い

ピラミッドストラクチャーは、見かけ上はロジックツリーと同様に見えることがあります。しかしこの二つは意図というか内容が明確に異なります。

既に述べたように、ピラミッドストラクチャーは主張と根拠、さらにその下に来る細かい根拠というように、こちらが言いたいこととその理由をピラミッド状に展開したものを指します。

一方でロジックツリーはこのような内容ではありません。その代わりに、考えるべき物事自体を細分化していくことを主眼においています。

何かの物事を考えないといけない際に、その根拠とか理由を考えるのではなくて、事物そのものを細かく分解していき、最終的にはその原因とか解決策を検討するシーンで用いられることの多い手法です。

即ち、形の上では似たようなものになるかもしれませんが、意味合いが大きく異なることを覚えておきましょう。

ピラミッドストラクチャーを活用するシーン

ここからはピラミッドストラクチャーを活用するシーンについて見ていきます。いずれも、説明や説得がキーになっていることに注意してください。

1.ビジネス上の課題を解決

最も基本的とされるのがビジネス上の問題を解決する際にピラミッドストラクチャーを用いることです。

ピラミッドストラクチャーの頂点に問題を解決するための結論などを置き、そこからその根拠やデータを落とし込むことで、説得力のある課題解決を提示することができます。

2.プレゼンテーション

プレゼンテーションはピラミッドストラクチャーが活用できる良い事例の一つです。プレゼンにもいろいろな目的がありますが、やはり何らかの主張を展開し、聴衆を納得させたり説得することが大きな目的であることは言うまでもなく、これはまさにピラミッドストラクチャーの考え方が得意とするものに該当します。

仕事をしていれば日常的にも必要になるスキルですし、年齢とか経験、業界や部署などを問わずに一般的にも必要です。

あの人のプレゼンは分かりやすいが、こちらの人は何が言いたいのか良く分からないと感じるようなことはありませんか。ピラミッドストラクチャーにより改善できるかもしれません。

3.交渉時

営業担当者などには特に当てはまることかもしれませんが、交渉力や説得力が必要とされるシーンがあります。

適当に感覚的に物事を進めてもうまくいくケースもあったりするのでしょうが、大きな仕事になればなるほどそのようなやり方は通用せず、相手をしっかりと説得できるだけの十分な根拠を持っていかないと、あっさりと論破されて終わったりすることもあるかもしれません。

ピラミッドストラクチャーの考え方を利用すれば、こちらが主張したいことの根拠はしっかりしているか、その根拠のさらに理由はあるかといったように、論理的に突き詰めて考える習慣が身につきます。

ピラミッドストラクチャーを使うメリット

ここからはピラミッドストラクチャーを使うメリットを考えていきます。

具体的にどのようなメリットがあるか解説していきます。

1.物事を本質的に考えられるようになる

これが最も重要なこととなりますが、相手を説得できるかどうかという以前の問題として、まず自分自身で物事を本質的に考えることができているかがあります。

本気で突き詰めて物事を考えるようにしないと、いい加減で適当な論理では相手がちょっとまともな人だとあっという間に突き崩されてしまいます。砂上の楼閣のようなものになります。

ピラミッドストラクチャーを使えば、浅はかな思考ではそもそもそのストラクチャー自体が描けません。

ピラミッドの形にすることが本質という訳では決してありませんが、ある意味で自分の思考過程が形になって見えることは事実であり、浅い考えは許されないということです。

2.相手に伝わりやすくなる

ピラミッドストラクチャーによって物事を本質的に捉え、それが構造化できていると相手にも伝わりやすくなります。

いわゆる分かりやすい話というのはまさにこれに該当し、言いたいこととその理由がしっかりとつながっているからこそ相手の頭にもすんなりと入り込み、簡単に分かってもらえるということです。

逆に、一体何が言いたいのか分からないとか、理由を言っているように思えるけれども実際には理由になっていないということが良くあるでしょう。

ピラミッドストラクチャーの考え方を確実に応用すれば、そんな話はしたくてもできなくなるはずです。

3.説得力が上がる

説得力が上がるというのは、相手がこちらが根拠として提示している内容とか理由に納得できるということとほぼ同じです。

主張自体に初めから全く同意していないというケースも確かにあって、この場合にはいくら根拠とか理由が適切なものであっても相手を翻意させることは難しいかもしれませんが、それはある意味で意固地になっている状態とも言えます。

相手が柔軟な思考回路の持ち主であれば、根拠や理由が適切なものであればそれは即ち説得力が高いと考えて問題なく、これはピラミッドストラクチャーが得意とする点になっているのは既に説明してきたとおりです。

4.本質的な議論ができる

今までに述べていることと似たような内容かもしれませんが、ピラミッドストラクチャーにより本質的な議論ができるのはメリットの一つになります。

1番目に書いたように、最初の時点でまず自分自身で物事を本質的に突き詰めて考えたかいがあったというもので、表面的な議論に終始することなく、何が問題なのかとか主張したいことの根拠は本当に適切か、こちらが根拠だと考えていることに間違いはないのか、それを補強するような要素はあるかといった、本質的な議論になっても全く恐れることはありませんし、このやり方を学んだ人であればむしろそれを歓迎したいと思うくらいでしょう。

ピラミッドストラクチャーの作り方

ここでは、実際にピラミッドストラクチャーをどのように作っていけば良いのか、そのやり方を説明していきます。

1.論点、主張を考える

当たり前のことですが、まずは論点とこちらの主張を明確にしないことには何も始まりません。相手を説得したり納得を得たりするための方法だということを思い出して下さい。

自分として、相手を説き伏せたいと思う事柄があるからに決まっていますので、それを明確にしましょう。例を挙げたほうが分かりやすければ、当社はXという新規事業展開を今年度中に実施すべきかどうか、といった論点もありますし、本来10万円で販売しているY商品を値引きして8万円で売っても良いか、ということもあるかもしれません。

とにかくビジネス上で問題になっている、あるいはなりそうなことであれば何でも論点になり、それとともに自分の主張つまり実施すべきとかすべきでない、あるいは売ってもよいなどを考えることになります。

2.フレームワークを考える

次にフレームワークを考えましょう。これは先ほど考えた自分の主張に対して、どのような手法でその根拠となるものを挙げていくかのやり方のことです。

自分自身がとにかく思いつくままに挙げることも可能ではありますが、そういうやり方をすると重要な観点が抜けることになったり、一面的な物の見方だけに偏ったりする可能性が大いにあり、それでは当然ながら説得力を十分に高めることはできません。

重要な観点が抜けたり漏れたりすることがないか、偏った見方になっていないか、また自分本位の視点ではなくて説明したり説得したりする相手の立場からみて分かりやすく、納得感のある根拠を導き出すことができるかどうかといった視点から、フレークワークを選定する必要があります。

3.情報を洗い出しグルーピングする

ピラミッドストラクチャーという形が先に頭にあると、フレームワークに沿って考えた個々の根拠をその形にいきなり当てはめていこうとしがちですが、これは適切ではありません。

情報を洗い出し、グルーピングすることで初めて説得力のあるメッセージになっていきます。

例えば先に挙げた例の中で、新規事業展開をすべきかどうかを考えた際の根拠情報には、市場に関するものや自社に関するもの、競合他社に関するものが含まれてくると考えられます。

そこで、数多くの情報をこれら3種類に分類して分かりやすくすることが考えられるでしょう。

単なる情報の羅列では、それを聞かされる側の立場で言うと分かりにくいとなってしまうのはもはや言うまでもありません。

4.メッセージを抽出する

情報をグルーピング化できればかなり考え方をまとめることができたように見えます。

このまま説明や説得の場面に臨んでもうまくいきそうに思うかもしれません。ですがそれはまだ甘く、突き詰め方が足りません。

グループ化した根拠情報をしっかりと見つめ、そこから何が言えるのかを考え抜きます。率直に言って、ピラミッドストラクチャーでは最も難しいと言えるポイントかもしれません。

複数の情報から、だから何なのかとか何が言えるのか、それは何を意味しているのかを考え抜く癖をつけましょう。

これは単なる要約という意味ではありません。英語のフレーズで言えば、so what?に相当し、ピラミッドストラクチャーではキーワードとも言える用語です。

5.ロジックの整合性の確認

メッセージの抽出ができればひとまずは肩の力を抜いて構わないというか、ほぼ峠は越えています。

ただ、情報を洗い出したりメッセージを抽出したりすることで、当初の根拠情報からすると修飾がなされていることもまた間違いありません。

そのため、最初に主張したいことと、最後のメッセージとを突き合わせてみた場合に、必ずしもしっくりくるとは限らないことに注意が必要です。

念のため、ロジックとして本当に整合しているか、何かずれた見解になってしまっていないかは確認しておくのが適切です。

ほとんどの場合、これは単なる確認作業に終わり、明らかに何かがおかしいとかずれていると分かるようなことは少ないと思っていて間違いはなく、さほど苦労する内容ではありません。

ピラミッドストラクチャーの作成のポイント

ピラミッドストラクチャーの作り方を見てきましたが、その中でもポイントと呼べる点を挙げておくことにします。

1.相手を想定しているか

何度も書いていることですが、説明や説得は相手が存在します。相手のいないプレゼンテーション、相手がいないのに交渉するようなことはあり得ません。

独りよがりの主張や根拠ではなく、相手を想定したものになっているかは注意しなければなりません。

とくに、相手もほとんど自分と同じ主張を持っていると思える場合はさておき、明らかに反対する主張を持っていると思える場合には周到な準備が必要なことは言うまでもなく、このケースで手っ取り早く対処する方法には、あえて自分の主張を正反対にし、相手が主張しそうな論点を挙げてそのピラミッドストラクチャーを作ってしまうことが考えられます。

2.論理が飛躍していないか

論理の飛躍は相手にとって分かりにくいだけでなく、そこを突かれて論理が破綻する原因にもなります。

完成したピラミッドストラクチャーをもう一度よく眺め、下から上に向かっては、それが意味するところはという質問に的確に答えた形になっているかどうか、逆に上から下に向かっては、なぜそれが言えるのかという質問に的確に答えているかどうかを確認することが適切です。

どこか一か所でも、この質問の答えにはなっていないと思える部分があったとすれば、そこで論理が飛躍していることが考えられますから、改めて内容を見直す必要があります。

3.漏れ・重複を確認する

これは既に述べたフレームワークの適用とか情報の洗い出し、メッセージの抽出などを確実に実施していれば起こらないことではありますが、それらを適用する際中にも意識しておくべき内容です。

根拠や理由は、一見してこれで全てを網羅していると思えるような場合でも、大きなポイントが抜けているとか、ある一つの観点でしか見ていないといったことが起こりがちですから注意しておきます。

重複については漏れよりは目につきやすいですから慣れてくるとミスを起こすことは少なくなりますが、数字とは違って言葉の場合は、単なる言い換えに過ぎないことに気づきにくいケースもあるかもしれません。

ピラミッドストラクチャーまとめ

ここまで、ピラミッドストラクチャーについて説明してきました。この考え方を利用すると、自分の主張したいことを明確にした上で、適切な根拠とか理由をもって相手を説得したり理解を得たりすることができるようになります。

ビジネスで求められるシーンは多いはずで、ぜひとも使いこなせるようになって仕事のレベルアップに挑戦しましょう。
 

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