スタートアップ企業とは?ベンチャー企業との違いなどビジネス上の基礎知識を解説

最終更新日 : 2022-07-20 Box

近年ビジネス関連のコンテンツで頻繁に見かけるワードの1つに、スタートアップ企業が挙げられます。

同じくよく目にする、立ち上がったばかりの新しい会社を指す「ベンチャー企業」との違いを含めスタートアップについて詳しく解説していきます。

スタートアップ企業とは?

社会にインパクトのある変革をもたらす、新たなビジネスモデルを展開する会社をスタートアップ企業と呼びます。

特に設立されてから2~3年程度の会社で、なおかつ市場を開拓する段階にある企業のことです。スタートアップという単語自体はアメリカから入ってきたものであり、IT関連企業が密集するシリコンバレーにおいて使われ始めた概念です。

そのため日本国内においても、インターネットに関連するIT系の企業が大半を占めています。

ビジネスモデルの革新性に加えて、解消できる社会課題の規模の大きさも外せません。

なおこういった条件に当てはまればスタートアップと称されますが、一方でベンチャーキャピタルからの出資を受けている企業がほとんどであることも合わせて覚えておきましょう。

ベンチャー企業とは?

日本政策金融公庫によれば、ベンチャー企業とは革新的な技術および製品やサービスを開発することで、変革を起こす若い企業と定義されています。

また20~30代の若い人材が中心であることや、将来的に大規模な事業へと展開する可能性があることも条件です。

実は日本人が作ったビジネス用語であり、その意味する範囲は幅広いです。単に社員数が少なかったり、設立してからすぐの企業やスモールビジネスを運営している企業も当てはまるなど、その時によって意味が変わることも少なくありません。

なお英語圏でベンチャーとは、未上場の新興企業に対して先行投資を行う投資会社・ファンドを指す言葉です。こういった投資を行う会社を、英単語の頭文字を略してVCと呼ぶことが多いです。

スタートアップ企業とベンチャー企業の違い

どちらも若く革新的な企業を指す言葉ですが、ここからはビジネスモデルや収益性・資本などの観点から両者の違いを詳しく見ていきます。

1.ビジネスモデル

スタートアップ企業とベンチャー企業との大きな相違点として挙げられるのが、このビジネスモデルです。

ベンチャー企業は既存のビジネスモデルを使用したり応用したりするのに対して、スタートアップ企業は新たなビジネスモデルを模索していきます。

既存のモデルを使用しながら収益を高めたり事業を拡大していくスタイルに対して、スタートアップ企業は一から構築していくためリスクも成長スピードも全く異なります。

世の中にインパクトのある変革をもたらし、独自性の高いビジネスモデルを構築する上では手探りで新たなスタイルを模索していく姿勢が欠かせません。

同じ若く短期で成長する企業と言えど、その性質・スタイルやスピードは大きく異なると言えるでしょう。

2.収益性

ベンチャー企業の場合は、収益性はゆっくり堅実に進めていくケースがほとんどです。

早い段階での黒字化、確実な事業の成長を目指しながら運営するのがその理由と言えます。劇的な短期の成長曲線を描くよりも、長期的に緩やかに右肩上がりの曲線を描くことが多いです。

一方でスタートアップは手探りで始めるため、収益性は最初の頃は確実ではなく赤字が継続する傾向にあります。

特に設立から数年の赤字期間は「死の谷」と呼ばれるほどであり、この期間にVCから資金を調達できるかどうかが生命線となります。

さらには一度黒字へと浮上しても、短期での成長を目指すという性質から複数回にわたる資金調達が外せません。

3.資本調達

ベンチャー企業の場合、資本調達は銀行など金融機関からの融資や助成金が主体です。

一方でスタートアップ企業の場合は、投資家から調達することがメインとなります。調達先が異なる要因は、ビジネスモデルの差異が中心です。

既存のスタイルを活かして事業を堅実に展開するベンチャー企業は、収益が確実に見込めるため金融機関や助成金など信頼が得やすい傾向にあります。

しかしスタートアップ企業は立ち上げたばかりで知名度がない上に、そのビジネスモデルが新しく模索するものであるため投資家が対象になりがちです。

4.EXIT

スタートアップ企業は、事業の節目ごとに明確なEXIT戦略を持っていることが多いです。

リソースを大量に消費しても収益が少量しか出ない状態で、次の運転資金を借入やVCからの出資で調達しなければなりません。

当然ながら出資元には、将来的に事業から利益を生み出して還元できるということを証明する必要があります。リターンの可能性を提示できるEXIT戦略を示さなければ、出資には繋がらないからです。

一方でベンチャー企業は持続可能な収益を目指すことが主体であるため、EXIT戦略は一つの選択肢であるケースも少なくないと言えます。

日本のスタートアップと海外の違い

海外ではアメリカのシリコンバレーをはじめ、スタートアップ企業の設立・成長を促すエコシステムが形成されています。

大学などの教育機関や大企業、公共機関がサポートしてスタートアップ企業を生み出す土壌を確立している状況は強いと言えるでしょう。

加えてVCをはじめとした投資会社、教育機関が育てあげた技術・人材に加えて大企業が支援するという現状も後押しして、相互作用のカルチャーが完成されつつあります。

日本においてはアメリカ・ヨーロッパと比べれば課題点は残るものの、国内におけるスタートアップ企業の資金調達の割合は急成長しています。

スタートアップに向いている人

スタートアップ企業に向いている人の特徴として挙げられるのが、主体性を持って働きたい人です。

少数精鋭で経営される傾向にあり、若手であっても大きな業務を任されるシーンが多くなります。

上からの指示をただ待つのではなく、自分が会社を動かしていくという強い意識が必須です。新たなスタイルを模索するという特性上、変化・挑戦を楽しみつつ働ける人が向いています。

経営方針や事業内容など、たびたび変更することも少なくありません。

こういった事態に速やかに対応しつつ、新たな環境になじんで楽しんでいける人が有利と言えます。

スタートアップ企業まとめ

スタートアップ企業はただ新しく短期で成長する会社というだけでなく、社会に変革をもたらす革新的な企業を指します。

新たなビジネスモデルを模索しつつ、市場を開拓していくことが条件となります。

ビジネスモデルに加えて収益性や資金調達法など、ベンチャー企業との違いをしっかりと把握していくことから始めていきましょう。

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