バリュー・ポートフォリオとは?分析方法などを解説

最終更新日 : 2022-07-28 Box

経営戦略に使われるフレームワークには様々な種類がありますが、バリュー・ポートフォリオもその中のひとつです。

バリュー・ポートフォリオは、撤退すべき事業を見極めるのに有効とされていますが、ここではバリュー・ポートフォリオについて分かりやすく解説していきます。

バリュー・ポートフォリオとは?

バリュー・ポートフォリオとは、株主視点と経営者視点の両面から自社が行っている事業を評価することで、撤退すべき事業を見極めることができる戦略フレームワークです。

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)と同じく、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)により考案されました。

「ROI」と「ビジョンとの整合性」という二軸で、自社の事業を4象限に分けて分析するのが特徴です。

ROIとは、投下した資本に対して得られた利益の割合のことで、株主視点にあたります。ROIに対して経営者視点にあたるのがビジョンとの整合性で、取り組んでいる事業が企業が掲げるビジョンに合致しているのかを考えます。

バリュー・ポートフォリオでは、ROIとビジョンとの整合性の2つの視点で事業を分類することで、各事業に対して行うべき戦略を明確にすることができます。

バリューポートフォリオのメリット

バリュー・ポートフォリオを活用する最大のメリットは、株主と経営者の両者の視点で各事業を分析できることです。

自社が取り組む事業をROIという株主視点で分析すれば、経営者の独りよがりな経営を防ぐことができます。また、経営者視点で分析することで、事業全体に統一感を持たせることができるとともに、企業のブランドイメージを一定に保つことが可能となります。

バリュー・ポートフォリオでは、一つひとつの事業を株主視点と経営者視点の両面から評価するため、バランスが取れた経営につなげることができます。

バリューポートフォリオの4つの分類

上記の通り、バリューポートフォリオではROIとビジョンとの整合性という二軸で各事業を4象限に分類しますが、ここからは4象限について詳しく解説していきます。

1.本命事業

本命事業は、ROIとビジョンとの整合性のどちらも高い事業です。

投下したリソースに対する利益が十分で、企業が掲げるビジョンにも合致している事業であるため、株主にとっても経営者にとっても理想的な事業に位置付けられます。

本命事業に分類された事業に求められるのは、更なる成長と拡大です。現状のROIを維持しつつ事業を成長・拡大させることができれば、株主からの評価が高まるとともにブランド力の向上にもつながります。

2.課題事業

課題事業は、ROIは低いもののビジョンとの整合性は高い事業です。企業が掲げるビジョンに合致した事業なので経営者視点では継続したいものの、投下したリソースに利益が伴っていないため株主にとっては魅力はありません。

課題事業に分類された事業に求められるのは、利益率の向上です。

利益率を改善させることができれば本命事業へと成長しますが、改善できなければ株主から撤退圧力がかかることになるため、売上増加やコスト削減に向けた施策が必要になります。

3.機会事業

機会事業は、ROIは高いもののビジョンとの整合性は低い事業です。十分な利益があるため株主にとっては魅力的ですが、企業が掲げるビジョンとは合致していないので本来は取り組むべき事業ではありません。

機会事業を長期にわたって続けると、ブランドイメージに揺らぎが生じたり従業員のモチベーションが低下する恐れがあります。

このような事態を防ぐためには、事業内容の見直しを行うかビジョンそのものを修正する必要がありますが、ビジョンを修正するのは容易ではないため、基本的には事業内容を見直すことになります。

機会事業は本命事業に成長する可能性を秘めているものの、改善が難しい場合は撤退も視野に入れなければなりません。

4.見切り事業

見切り事業は、ROIもビジョンとの整合性も低い事業で、一過性の流行に乗ろうとして本業とは関係ない事業に取り組んだものの失敗した事業などが該当します。

見切り事業は、利益が低いため株主から評価されず、企業が掲げるビジョンとも合致していないためブランドイメージの低下につながる恐れもあります。

見切り事業に対して行うべきなのは、早期撤退です。利益率の向上や事業内容の修正を行うことも可能ではありますが、撤退を選択した方が無難です。

バリュー・ポートフォリオまとめ

バリュー・ポートフォリオを活用すれば、株主視点と経営者視点の両面から事業を分析することができます。

これにより、継続すべき事業と撤退すべき事業が明確になりますが、一方でこのフレームワークは基準が明確でないという問題があります。

ビジョンとの整合性は主観的な判断となりますし、ROIも基準となる数値があるわけでないため、この点を念頭に置いた上で活用することが大切です。


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