バックトラッキングとは?好意を高める聞き方のコツを事例別でご紹介!

最終更新日 : 2022-12-23 Box

ここでは話の聴き方のコツの一つであるバックトラッキングについて解説します。聞き上手と呼ばれる人がいますが、一体どのような人がそうなれるのでしょうか。

その答えは1つだけではありませんが、バックトラッキングはその中に入ることは間違いありません。

「バックトラッキング」とは?

バックトラッキングとは、相手が話した言葉を自分で繰り返して話を進めていくやり方のことです。

別の言い方をすれば、おうむ返しということになります。これは決して難しい方法ではありませんが、もしかすると相手を馬鹿にしているとか軽く見ていると思っている人もいるかもしれません。しかし決してそうではなく、相手との信頼関係を築く重要な技法とされています。

バックトラッキングの3つの効果とは

このバックトラッキングには3つの効果があるとされており、ここからはその内容について見ていくことにします。

(1)安心感を与えることができる

どのような人でも経験あることかもしれませんが、何か悩みとか問題を抱えている場合、他の人にただそれを聞いてもらえただけで気持ちが楽になったとか、解決のための道筋が見えるときがあります。

バックトラッキングには相手がこちらの話をしっかりと聞いていると感じることができ、安心感を与える効果を持ちます。

安心感があれば本当にこれを離しても大丈夫だろうかと思えるような微妙な内容もさらけ出すことができますし、曖昧な状況で悩んでいたとしても自信を持って一歩を踏み出すこともできます。場合にもよりますが、何か悩み事とか問題がある際に、全く何をして良いか見当もつかない状況に陥っているというよりは、ある程度は自分で答えを出しつつあるのだが、それで良いかどうか自信がないというか確信が持てないケースも多いです。

このような際、バックトラッキングによって安心感を得られれば、別に話し相手が答えを出してくれなくても、ただそれだけで結論を出せたりもします。

(2)暗黙のイエスセット

イエスセットというのは、イエスという言葉の積み重ねと考えて下さい。

自分が何かの話を相手に対してしようとしているケースを考え、相手がバックトラッキングを活用した場合、要するに自分の言いたいことや思っていることをその人が口に出して言っていることになります。

そうなると、当たり前のことですが相手のバックトラッキングに対してこちらは常に、はいそうです、そのとおりですと思いながら会話が続いていきます。これがイエスセットであり、別に向こうはいちいちイエスかノーかで答えを求めているわけではありませんし、こちらもはいという言葉を毎回口に出すとも限りません。

いわば心の中の声であることもありますが、このように必然的に肯定的な状況が生み出され、さらに話を続けたいとか聞いてもらいたいという感情が生じることになります。

相手にとっては全く自然な形で話を引き出せることになり、まさしくここで求める聴き上手となるに違いありません。

(3)違和感や抵抗感を打ち消す

>話し相手に対して違和感や抵抗感を持っていると、本音を打ち明けるようなことはなかなかしにくかったりします。

ここでの違和感や抵抗感とは、この人は本当に自分の話を聞いているのだろうかとか、本当に自分のことを分かっているのだろうかと思うようなことを指すと言っても良いですが、とにかく話した言葉をそのままおうむ返しにすることでこれを打ち消す働きがあります。

注意しないといけないのが、とくにバックトラッキングに対してあまり良い印象を持っていない人に良く当てはまることですが、おうむ返しのつもりで無意識のうちに多少なりとも言葉を言い替えてしまうことや、自分で話の先取りをしてしまうことです。

これを良い聴き方と思っている人も多いですが、このようなことをすると相手は、何かちょっと違うんだよなとか、自分の感覚と少しずれているんだよなどと感じる結果となりがちで、違和感や抵抗感を打ち消すどころかそれを増長する原因になりかねません。

3種類のバックトラッキング

バックトラッキングと一口に言っても、細かく分けると3種類ありますので、ここではそれらについて解説します。

(1)事実〔キーワード〕

事実をバックトラッキングするのは最も基本的なやり方であり、既に述べたおうむ返しとは、狭い意味で言えばこれに該当します。

基本的には相手の言葉をそのまま口に出すことであり、例えば昨日テーマパークに行ってきたんだよと言われた場合に、単純に、昨日テーマパークに行ってきたんだねというように返すことを指しています。

極めて単純でそれこそ子供でもできる内容ですが、上に書いた安心感を与えることやイエスセット、違和感や抵抗感を打ち消す役目はしっかりと持っていますので、バックトラッキングの基礎でありながら最も重要な要素と言っても差し支えありません。

ただ、この後に述べるように、バックトラッキングとはこの手法のことだけを指すのではなくて、若干の応用にはなりますが他の方法もあります。

真の聴き上手となるためには、それらも知ってうまく場面に応じて適切に使い分ける臨機応変さも必要になってきたりしますので、この手法だけで事足りるのではありません。

(2)感情や気持ち

感情や気持ちをバックトラッキングするとは、基本的なことを言えば、相手の話の中で嬉しい・楽しい・悲しい・辛いといった要素に特に注目し、それを口に出して伝えることです。

例えば、テストで30点しか取れなくて辛かったんだよと言われた場合に、それは辛かったねと返すようなやり方を指します。先ほど書いたような、事実をおうむ返しにすることと比べて、感情や気持ちを表現されることで、この人は自分のことをより分かってくれているという感覚になることが期待されます。

ただ、注意しないといけないのは、話言葉の中に自分の気持ちを表す表現が常に含まれているとは限らないことです。

例をあげれば、テストで30点しか取れなかったんだよとだけ話されることも十分あるかもしれず、その場合にそれは辛かったねと言うことは要注意であり、それこそ相手の真の感情が不明確なまま、自分勝手な言い替えとか話の先取りをしていることになってしまって逆効果になることもあります。

(3)要約

これは一般的な話の聴き方としても良く出てきますのであまり説明を要しないかもしれませんが、相手の話を要約するというかまとめて端的に言葉にすることです。

これも、何でもかんでも要約するのは、もしかすると違和感や抵抗感を生み出す元になる可能性もあるので注意しなければなりませんが、相手の話が非常に長いときには重宝する対応となります。

バックトラッキングを意識した要約においては、国語のテストか何かのような論理的なまとめ方が常に求められるわけではありません。そういう難しいやり方はあまり意識せず、基本的には口に出した言葉や気持ちの中でキーワードとなるものに注目しておけばまず十分です。

多くの場合、長い話においてはそのようなキーワードをいくつも使うでしょうから、まとめるというよりは重きを置いているものは何かに着目すると言っても良いかもしれませんし、それも難しい場合には、単に話の最後の部分のみをしっかり注目しておく手もあります。

バックトラッキングの活用事例

ここではバックトラッキングの活用事例をビジネスやプライベートのシーン別にいくつか紹介しますので、参考にしてください。

ビジネスの場面での活用事例

ビジネスの場面で相手の信頼関係を得ることが重要であるのは誰も否定しません。例えば営業担当者が顧客と話す場面を考えた際、相手が当社の喫緊の課題はコスト削減にありますと言った場合に、御社の喫緊の課題はコスト削減ということですねと返すような事例がまさにこれに該当します。

まずこのような会話で相手の信頼関係を得て本音を引き出せて始めて次のステップに移れるということです。

あるいは、上司と部下の関係でも当てはまるケースはあります。部下が、今回のプロジェクトで解決すべき問題はこれで、その提案はこう考えますと言ってきた場合に、上司として、解決すべき課題はこれで、その提案を考えたのだなとまず答えるようなやり方が当てはまります。

自分の考えの表明とか論評を行うよりも前にバックトラッキングという聴き方があると分かれば、コミュニケーションのやり方一つを取ってもスムーズに事が進むかもしれませんし、それがひいては良い職場につながることも当然あるでしょう。

家庭やプライベートの活用事例

家庭やプライベートであっても信頼関係は当然重要ですが、その関係であればバックトラッキングその他の手法など一切無関係で、初めから信頼されていて当然と思っている人も多くいます。

しかし血の繋がった関係であっても個人は別ですし、夫婦関係とか友人関係であればなおのことです。

子供が、今日は学校で嬉しいことがあったんだと言ってきた場合に、ついつい、へえ何があったのというように何気なく会話を続けてしまうところかもしれませんが、その言葉の前に一言、そうか嬉しいことがあったんだとぜひバックトラッキングを活用してみて下さい。

付き合っている異性との間でも利用することができます。特に男性はこれを意識した会話をするだけで女性の反応が大きく変わるかもしれません。

バックトラッキングどころか、付き合いがマンネリ化するとまともに答えもしない人が残念ながら多くいるのが実情であり、交際中のみならず結婚後であっても当てはまることです。

カウンセリングやコーチングなどでの活用事例

カウンセリングやコーチングの場面においてバックトラッキングは基本的かつ重要な手法となります。

これらが相手との信頼関係なしには成り立たないことは明らかであり、それを得るためには欠かせません。

最近、部下との関係で悩んでいまして、どのように指導したものかと思っていますというように話す人がいた場合に、どう答えるのがバックトラッキングでしょうか。あるいは、将来のキャリア形成について考えてはいますが、なかなか自分では答えが見出せなくてと話す人もいるかもしれません。

いずれも、ここまでこの解説を見てきた人であればバックトラッキングは容易なはずです。

基本としては相手の話した言葉をそのまま口に出して返すということになります。

まとめ

ここまでバックトラッキングについて解説してきました。

聴き上手になるためには極めて重要であり、その一方で決して難しい内容ではなくその気になりさえすれば誰でもできるような方法だと分かったはずです。

これを様々な場面でうまく活用して相手との信頼関係を構築できるようになれば、自然と自分に対する評価も上がっていくでしょうし自信もつくことになるのは間違いありません。

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