顧客アンケートとは?実施の流れや回答率を上げるポイントを徹底解説

顧客満足度は、顧客ロイヤルティと同じく会社の売り上げや利益に影響を与える重要な指標で、お客さんが商品を購入したりサービスを活用したり、企業活動に対してどのくらい満足しているのか把握することは今後の商品購入やサービス利用のリピート率に結び付いてきます。ここでは、顧客満足度を把握するための顧客アンケートに関して解説します。

そもそも顧客満足度アンケートとは?

顧客満足度は、実際に商品を購入した人やサービスを契約して利用し始めた人に対しどのくらい満足しているか把握するための指標になるもので、顧客アンケートを実施することで現在の商品やサービスの改善点を見つけ出すきっかけにもなります。継続的に商品やサービスを改善することで、リピート率やロイヤルティの向上に結び付きます。

顧客アンケートを実施する目的

顧客アンケートを行う目的は、自社の製品やサービスを使ったお客さんの満足している部分や不満がある部分を集めるといった重要な役割があります。売り上げの伸び率が悪いけれどどのような問題があるのか、このような問題解決にも顧客アンケートは役立つ存在になってくれます。製品やサービスに対しての満足度を適切に把握できるようになると、悪い部分などを改善して継続的な購入や利用への期待も高まります。

さらに、顧客アンケートで現状を把握すると同時に満足や不満になっている部分を知ることで新しいお客さんのニーズを発掘して商品開発にも良い効果を期待できます。

顧客アンケートを実施する前に知っておきたい顧客満足度の指標とは

ここでは、顧客満足度の指標、NPSRや評定尺度法、2つを解説します。

1.NPS(ネット・プロモーター・スコア)の概要や計算方法

NPSは、顧客ロイヤルティを測る指標で、会社やブランドに対してどれくらい愛着や信頼があるのか、顧客アンケート調査を基にして数値化してお客さんとの接点の中での顧客体験(CX)の評価および改善に活かせるようになります。NPSは、事業の成長率との関係性が深いので欧米の公開企業は約3分の1以上が活用しているといわれていて、国内においても顧客満足度と同じく新しい指標として利用する会社も多くなっているようです。

NPSスコアの計算法は非常にシンプルで、9〜10点を付与したお客さんを推奨者、7〜8点を中位者、0〜6点を批判者の形で分類します。回答者全体に占める推奨者の割合から批判者の割合を差し引いて求めたものがNPSの値です。例えば、「あなたはこの商品を友達や同僚に推奨する可能性はどのくらいありますか」といった質問を投げて0〜10の11段階で評価して貰います。このように、NPSを利用した顧客アンケートは非常にシンプルな質問の仕方でスコアを把握できます。

2.評定尺度法による一般的な5段階評価

顧客満足度調査の中で指標になる顧客満足を計測する方法として存在しているのが、評価尺度法です。これは、満足・やや満足・どちらともいえない・やや不満・不満、5段階に選択肢を分けて顧客アンケートを実施します。最も当てはまるものを選んで評価できるため、回答者も時間もそれほどかからないメリットもあります。1〜5までの点数を割り当て平均値を求めて顧客満足度の指標に使うのが一般的な方法です。

ただ、調査の中ではデータの正確性や回答者の負担も考えなければなりません。顧客アンケートの対象者が小学生のときは2~3段階にして負担を軽減させるなどの判断もありますし、逆に精巧なデータが必要な場合では重要と考えられる設問は5~7段階評価にするなどの使い分けも欠かせません。段階については、5段階が標準になりますが絶対に5段階にしなければならないわけでなく、調査の対象や明確にしたいことに適した設問数を考えることが大切です。

顧客満足度アンケートの項目例とは

ここでは、顧客アンケートの項目例について解説します。

1.顧客アンケートの回答者の属性

顧客の基本属性には、性別・年齢・居住地・職業・家族構成などがあり、行動特性には購入時期・購入頻度・利用場面・利用機能などがあります。回答者の属性は、顧客の特徴に関する情報取得のための設問です。設問例としては、「あなたが住んでいる都道府県を次の中から選択してください」、「あなたの家族構成を次の中から選択してください」などです。

2.購入のきっかけや購入頻度

購入したきっかけの場合は、「あなたが対象商品もしくはサービスを購入した理由を次の中から選択してください」、これに対し選択肢には価格が手ごろ・流行っているから・知人から薦められた・その他などの項目を設けます。購入頻度の場合は、「どのくらいの頻度でこの商品やサービスを購入していますが、次の中から選択してください」、選択肢には月に1度・半年に1度・1年に1度・その他、このような項目を設けるなど、その他を含めるのもポイントです。

3.商品やサービスについての満足度

顧客アンケートの中では、自社製品もしくはサービスに関しての顧客満足だけを測るのではなく、競合との比較をすることができる質問を設定するやり方もあります、例えば、「あなたが購入したことがある商品を全て選んでください」、「前項で特定商品を選んだ人は、どのくらい満足していますが?次の中から選択してください」などの質問を作ります。

4.商品購入やサービス利用をリピートしたいかどうか

今度も続けてサービスを利用する、もしくは再購入や再利用を検討しているなど継続理由やリピートに対する意向も、顧客ロイヤルティに影響を与える指標です。顧客アンケートの設問では、行動面だけでなく心理面についても把握できるような内容にすることが大切です。

顧客アンケートの実施の流れとは

ここでは、顧客アンケートをどのような流れで実施すべきか、5つのステップに分けてその流れについて解説します。

Step1.目的の明確化と対象者を絞り込む

顧客アンケートは、漠然と実施するのではなく目的を明確にすることが重要で顧客アンケートで得た調査結果をどのように活かすべきか、その目的を明確にしておきます。次に、顧客アンケートを行う対象者を絞り込む必要がありますが、これはBtoCとBtoB取引では対象者に違いがあります。エンドユーザーになる消費者を対象にするケースは多いかと思われますが、流通経路の卸売業者や小売店などに対して顧客アンケートを行うこともあります。

Step2.顧客アンケートの実施方法と期間を決める

顧客アンケートの実施日や実施場所、実施方法など詳細レベルで決定します。これはアンケート対象者の属性にマッチする時間やツールで行うと効率的に進めることができます。体験型のイベントのときなら、実施日は体験会イベント当日、実施場所はイベント会場の入り口、実施方法はQRコードでアンケートサイトにアクセスなどが考えられます。

Step3.仮説立案と質問項目を決める

顧客アンケートの目的や対象者に応じてアンケートの設問内容を考えます。このときのポイントは事前に仮説を立てておいてそれに合わせて作ることで、アンケートを行う側の予想および顧客の考え方の誤差が分かるようになるので、改善策を立てやすいです。アンケート項目は、回答者の属性(職業や年代)・商品(サービス)を知ったきっかけ・商品を購入した理由・商品(サービス)に対する満足度・リピート意向などです。

Step4.顧客アンケート調査を実施する

アンケートに回答して貰うことができなければ、顧客満足度を計測することはできませんので、アンケート協力を促進させるための謝礼を用意するのも効果的な方法です。このとき、どのような謝礼品が良いのか迷う人は多いかと思われますが、モノやサービスといった直接的な利益になるようなもの、オンラインで贈ることが可能なデジタルギフトが最適です。

Step5.調査結果を集計・分析する

顧客アンケート調査が終了したら、調査結果の集計および分析に入ります。集計には単純集計やクロス集計などの方法がありますが、単純集計は設問ごとに割合やデータの個数、平均値などを算出する集計方法、クロス集計は2つ以上の属性・設問を掛け合わせて計算する集計方法です。男女別や年代別など、顧客満足度を数値化して差異を把握するときなど、単純集計と比べると詳細な分析が実現します。

顧客満足度アンケートを実施するときの注意点

ここでは、顧客満足度に対する顧客アンケートを実施するとき押さえておくべき注意点について解説します。

1.質問はシンプルな回答方式にする

顧客アンケートは、オンラインで行うことも多いけれども紙で行うことも少なくありません。回答が選択肢の中から選べるものと入力が必要なものを比較したとき、選択肢から選べるシンプルな回答方式の方が楽に答えることができます。これは、回答する側の負担を軽減するメリットにも繋がりますし、質問の数が多いと答えると面倒に感じる人でも文章入力がなくシンプルな方式なら最後までしっかり答えてくれます。

選択肢から1つ選ぶ単一選択やYES/NOを選ぶ二者択一、該当するものを全て選ぶ複数選択や複数の段階から合致するものを選ぶ段階選択、これに加えて自由記述などがあります。

2.詳しい顧客の評価を収集したい場合にはNPS指標を活用する

顧客ロイヤルティを数値化するNPSは、この商品(サービス)は他にも薦めたいのか、このような質問を投げて0〜10点(11段階)で評価する手法です。0〜6点の回答は批判者、7〜8点は中立者、そして9〜10点は推奨者として、推奨者の割合-批判者の割合がNPSの数値になります。NPSは業績との相関が非常に高く顧客生涯価値(LTV)への影響が大きいとされていることや調査方法および集計がシンプルなどの理由から顧客満足度調査で活用されることが多くなっています。

3.適切な回答者をスクリーニング

顧客アンケート調査は、対象者を絞り込み適切な回答者をスクリーニングすることも重要です。次のアクションに繋がるような調査をしなければ、顧客満足度調査をする意味がありません。アンケートの回答者は調査の主旨に合う人物を選定することが大切、BtoB取引では現場担当者や責任者にするのか、結果が変わることも想定されます。そのため、どのような立場の人に対して実施するのが有効回答が得られるのか、回答者のスクリーニングが必須です。

顧客アンケートの回答率を上げる5つのポイント

ここでは、顧客アンケートの回答率をアップさせるための5つのポイントを解説します。

1.回答率に直結する「インセンティブ」

アンケート調査で直面する最大の課題の一つに回答率の低さが挙げられます。さまざまなベストプラクティスに従い目標を設定して完璧な下書きを作り、回答者を絞り込んでも最終的なプロジェクトの成功は回答者に委ねられます。インセンティブの提供がアンケート結果に及ぼす影響について理解するためには、アンケートに回答することを理解しなければなりません。

例えば、人の役に立ちたい、アンケートのトピックに興味関心がある、インセンティブの形で提供される物理的な利益、この3つが挙げられますが、この中で物理的な利益は回答率アップに繋がります。なお、インセンティブは現金や景品などと交換可能なポイントで提供されることもありますが、さまざまな形態で提供されることが考えられていて、回答率を高めると同時に時間を割いて貰った謝礼などの役割も持ちます。

2.設問数は可能な限り少なくするのがポイント

顧客アンケートの用紙やオンラインアンケートのページにアクセスしたとき、ぎっしり質問が並んでいたりオンラインの場合は数ページで構成されていると、途中で面倒に感じてページを閉じてしまうことも少なくありません。一般的に、アンケートの質問数は20問程度がベスト、このようにいわれているので設問数は可能な限り減らすことが大切です。回答方法には選択式や自由記入形式などの種類がありますが、選択式は回答者が選択肢の中から該当するものを選ぶことができるので、短時間でアンケートに答えることができます。自由記入式は文字を入力しなければなりませんが、選択肢にはない、回答する側の意見を得ることができるメリットを持ちます。ただ、自由記入形式が多くなると考えることが面倒などからも、選択肢の説明の中でその他を選んだときに記入できるスタイルや一部の設問のみにしておくと効果的です。

3.個人情報の記入を少なくする

顧客アンケートの中では、個人を特定するような情報を入力することもあります。BtoBの場合はメールアドレスや会社の電話番号などの情報を入力することもあるでしょうし、BtoCの場合もこのような情報を入力することも少なくありません。回答者の多くは回答に対する秘密保持や匿名性を意識しますが、約束型のインセンティブはメールアドレスや住所などの情報を集めることが多いので、個人情報を保護する目的で、個別の回答は個人が特定されない個人情報とは切り離して利用することなど回答者に知らせる義務もあります。なるべく、個人を特定できる記入を減らすことは回答率向上にも繋がって来ます。

4.アンケートの趣旨を明確に伝える

顧客アンケート調査を行うとき、その目的を明確にして設問内容を考えることが大切ですが、この目的は回答者に伝えることで有効回答率を高める効果にも繋がって来ます。目的を伝えると、顧客アンケートを回答してくれる人も意図が理解できるため、より正確な回答ができます。答えたことがどのようなことで使用されるのか、これを把握できると適当に選択肢から選ぶなどがなくなるので、顧客アンケートを行った目的をより高める効果にも繋がります。

5.自由回答欄は必要最小限に抑える

顧客アンケートは20問程度の設問数にする、選択型を多用することで回答側の負担を減らすと同時に面倒に感じにくくなります。ただ、複数の選択肢を設けても当てはまらない人もいますので、選択肢の中にその他の項目を設け、自由回答欄を設置することも大切です。数ある選択肢の中で当てはまるものがない人はその他を選択して、自由回答欄にその内容を記入するスタイルがベストです。ただし、質問に対して選択項目を作れないときなどは自由回答欄で答えて貰う必要がありますが、この場合あまりにも入力しなければならない設問が並んでいると面倒に感じる人も多いため注意が必要です。

顧客アンケートのまとめ

顧客アンケートの基本やアンケートの作り方、注意点や目的など解説しましたが、商品やサービスをより良いものにしたい、このような基本的な目的があることを回答者に対して知らせることも重要です。目的を分かりやすく伝えることで有効回答率が高くなりますし、正確にかつ詳しく記述して貰えるようになります。

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