「時間がない」と言い訳する部下の時間管理スキルを上げる4つのテクニック

最終更新日 : 2016-04-22 Box

仕事をしていてこのセリフを聞いたことがないという人は、少ないのではないでしょうか。

「時間がない」

やりたいこと、やらなければいけないことが増えれば増えるほど、時間がなくなるのは当たり前です。
しかし、仕事ができていない理由・やっていない理由が「時間がない」では済まされません。

部下でも「時間がなかったんです」という言い訳をする社員もいるかもしれません。
そこで、今回は「時間管理」のさせ方について考えていきたいと思います。

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1.「時間がない」のは何故なのか?を知る

そもそも、「時間がない」というこの台詞を疑ってみましょう。
人間、誰しも24時間365日、時間は同じように「ある」わけです。
しかしそれなのに、人によっては時間があって、人によっては時間がない。
この違いが生まれるのは何故でしょうか。

原因1.「時間がない」ことが美学になっている

「時間がない」ことが頑張っている証明になっているケースです。
このケースの問題点は、一生懸命働いた評価を、成果ではなく時間に求めている点です。

こうなってしまうと、効率ではなく、ダラダラとでも働いている”時間”を求めて働いてしまい、その結果、「残業が多い」「休日出勤が多い」ということになりかねないのです。

ただ、この点は注意が必要です。
それは、マネージャーがそういった働き方を強いてしまっている可能性があるからです。

もし、あなたのマネジメントで残業や休日出勤を評価しているようであれば、あなた自身が『”時間がない”事は美学である』と言っている事と同じです。

原因2.計画(スケジュール)が立てられない

次は、そもそも計画が立てられていないケース。
目の前の仕事を”とりあえずやる”という部下も、「時間がない」人の典型的なパターンです。

計画を立てずに作業に邁進していくと、やらなくても良い仕事をやっていたり、納期はだいぶ先なのに目の前の仕事をやっていたり、ということが起こってしまいます。

その結果、納期ギリギリになって、やらなければいけない仕事が山積みになっている、ということが起こりやすくなります。

こういった問題は、時間管理のマトリクスとスケジュールの両方が使えていないがために起こっているのです。
あなたの部下はどうでしょうか。ちょっと確認してみると良いかもしれません。

原因3.そもそもモチベーションが低い

最も問題なのがこのパターンです。
そもそもやる気が無い場合です。

やる気がないので、必要に迫られないと仕事をしません。
「必要」とはつまり、納期です。
いつも納期ギリギリになってからようやく仕事に取りかかりはじめ、その結果いつも時間がないのです。

これは時間管理以前の問題なので、もしこういった部下がいるのであれば、再度面談等が必要です。
時間管理の方法やタスクマネジメントの方法を伝えたところで、こうなってしまっていては、無意味どころか、逆効果になる可能性もあります。

2.時間管理を指導する、その前に自分が変わってみる

時間管理を指導する
時間管理が出来ていない部下のパターンを見てきましたが、ではどうやって指導していけばよいのでしょうか。
実は、指導の前に必要なことがあります。
それは、上司・管理者である自分が変わること、です。
もちろん指導も必要なのですが、その前に、まずは自分が変わることを意識してみましょう。

ポイントは2つ、部下に対する「依頼の仕方」と「状況把握の仕方」を変えることです。
具体的に見ていきましょう。

依頼の仕方1.期限を決めて仕事をふる

まず、漠然とした依頼をなくすことです。それは、特に”納期”に対してです。
例えば、部下に指示を出す際、こんな言葉を使っていませんか?

「なる早で」
「できたら早めに」
「時間があるときでいいよ」

実はこう言っている時、依頼した側からすると、だいたいの納期を無意識のうちに決めていませんか?

この3つの言葉では
「なる早で」⇒明日までにはできるよね
「できたら早めに」⇒今日中にはこれぐらいできるでしょ
「時間があるときでいいよ」⇒1週間くらいかな

というようなイメージではないでしょうか。

しかし、指示を受けた部下は、その「無意識の納期」を知りません。
言葉を素直に受け取って、2~3日しても報告すらしない、1週間たってもまだ何もやっていない、ということが起こるのです。

当然、依頼した上司は怒りますが、部下は何故怒られているのか、わかっていないのです。
「『できたら早めに』と言われたけど、まだ他の作業も片付いていないし、これが落ち着いたらやろうと思っていたのに・・」

こういったことは、多くのマネージャーが体験しているはずです。

察して欲しいと勝手に願っている『上司・マネージャー』の依頼の仕方が間違っているのです。
依頼をするのであれば、「今日中に」「明日の◯時までに」「来週△曜日までに」といった具合に、しっかりと具体的に納期を決めて依頼をしましょう。

依頼の仕方2.指示はシンプルかつ手短に

また、指示の出し方でもう1つポイントがあります。
それは、出来る限りシンプルな指示を出すことです。

1つの作業を指示するのに2~3時間も掛かってしまうようなものであれば、最初のうちは一緒に取り組んだほうが結果として早く、さらに、正確に、希望のものができるはずです。

複雑で難解な指示は、部下からすればどう取り組んだら良いのかもよくわからず、その結果、取り組むことを躊躇してしまいます。
さらに、取り組んだとしても、「これで良いのかな」と不安を抱えながら作業することになり、作業効率が低下する事に繋がります。

そういった状況を避けるためには、難解な指示を出すときは、作業を小分けにすることをオススメします。そうすれば、都度進捗の確認もできますし、部下も安心して作業を進めることができるはずです。

ちなみに逆もしかりです。
シンプル過ぎても同様に不安を与えてしまいます。
「資料作っといて」と投げるのではなく、「こういう意図の資料をこのように作って欲しい」と的確に指示してあげることが重要です。

部下の報告を「社長の言葉」と思って聞く

部下の意見は貴重な財産
次は報告の受け方についてです。
あなたの部下を想像してみてください。
報告をしにくるあなたの部下は、いつもどんな顔をしていますか?

自信満々で「できました!」という顔
また怒られる、という不安に溢れた顔
もう諦めてしまっている、開き直った顔

さて、どんな顔でしょうか。

報告は、指示した内容が適切に進んでいるのか、確認をする上で、非常に重要なことです。
この「報告」を疎かにすると、納期も納品物の質も決して良い方向に進みません。

そこで、今度は部下の報告を受けるあなた自身のことを想像してみてください。
部下の報告を最初からダメなものと決めつけていないですか?
ちゃんと聞く耳を持っていますか?

指示をした上司・マネージャーの態度のせいで、大事な「報告」を部下がしづらくしてしまっているのであれば、上司・マネージャーが報告の「受け方」を改善する必要があります。

実際に作業に取り組んでいる部下の声は、貴重な財産です。

指示や作業自体に問題があったのかもしれません。
やり方を変えることで改善できる点があるのかもしれません。
もしかしたら、新しいビジネスのアイデアが隠れているかもしれません。

そういったチャンスを、指示した側が積んでしまうことは悪です。
是非、しっかりと報告を聞く姿勢を持ちましょう。

例えば、部下の報告を「社長の言葉」と思って聞いてみるのはどうでしょうか。
社長の言葉には、どういう意図が込められているのか、次へのヒントがどこに隠れているか、考えながら耳を傾けるはずです。
同じように、部下の報告をしっかり聞いてあげるようにすることも、ひいては作業管理・時間管理に繋がっていくのではないでしょうか。

部下の話は「限定質問」で絞り込む

最後のポイントは、「限定質問」の活用です。
「部下の話に耳を傾けましょう」とお伝えしましたが、部下によっては話の要点がつかめず、何を言っているのかわからない部下もいると思います。

そんな報告の仕方がうまくない部下を、無下に扱ってはいけません。
もちろん、報告の練習をさせる必要はありますが、目の前の部下が何を伝えようとしているのか、ちゃんと聞き出してあげることも、マネージャーのスキルなのです。

そこで効果を発揮するのが、「限定質問」です。
話を聞きながら、言いたいことを引き出してあげるのです。

例えば、こんな会話です。

部下:「なんかよくわからないのですが、なかなかうまくいかないんです」

上司:「なるほど。そうなのか。今、なんでうまくいかないと思っているんだ?」

部下:「納期までに、納品ができなそうなんです。」

上司:「それは大変だな。なんで納品が滞りそうなんだ?」

部下:「お客様に依頼した内容の返答が着ていないんです。」

上司:「そうか。お客様にはちゃんと連絡を入れているのか?」

部下:「もちろんです。メールを送っていますが、返信が来ないのです。」

上司:「じゃあ、電話をして状況を確認してみよう。それでも連絡が取れない時は、納品が遅れる可能性がある旨を、先に伝えておこう。」

部下:「承知いたしました。ありがとうございます。」

上司が使った質問は状況を特定するための質問を、部下に投げかけています。
これが「限定質問」です。

「なんとなくうまくいかない」と部下が言っていた状況が、質問を通して明確になったことがお分かりいただけるかと思います。
こういった報告ができると、部下自身も自分の状況の整理に繋がります。

まとめ

「時間がない」ということは、それだけ頑張って、部下が仕事をしている証拠かもしれません。
その頑張りは評価しつつ、部下がある程度余裕を持って、仕事を進められるよう、マネージャーが指示の出し方や報告の仕方などをまずは工夫しましょう。

「時間がない」と部下が一言発するのは、マネージャーにも責任があるかもしれません。
是非、部下とともに、時間を作り出す工夫を一緒にされてみてはいかがでしょうか。
そうすれば、冒頭に挙げた「時間がない」3つの原因も改善され、業務のスピードアップだけでなく、その質もどんどん高まっていくはずです。

この記事を書いた人 笹田裕嗣

sasada社員数1,000名超の会社で新卒で入社し、1年目からトップの成績を残し、現在は営業代行、営業研修、さらには営業マンの育成を行っている。担当したクライアントは3ヶ月で売上200%増、初の受注獲得の実現等の実績を持つ。また、営業マンの個別コンサルティングでは、全てのメンバーがコンサルティング開始後、1ヶ月以内に受注をあげている。
       「営業で苦しむ人をなくし、営業を楽しめる世界を作る」ことを目指している。

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