パワハラ上司と呼ばれないために、貴方がとるべき対策は?
最近、「○○ハラ」という言葉をよく耳にしますね。
「セクハラ」「マタハラ」「モラハラ」「アルハラ」「スモハラ」「キヨハラ」
・・・最後のは失礼しました。
ともあれ、本当にたくさんの「ハラスメント」が厳しく言われるようになっています。そのような中で、今回取り上げるのは、「パワハラ」についてです。
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「パワハラ」とは、パワーハラスメントの略称です。
立場が上の人が、地位の低い人たちに対して精神的・肉体的に苦痛を与えることです。上司として難しいのは、本人は嫌がらせのつもりなどではなく「指導」だと思っていても、相手にとっては「パワハラ」となってしまうことがある点なのです。
先日、とある法律番組でも、事あるごとに「パワハラで訴えます」という言葉を盾に、怒られないようにしているという社員が取り上げられていました。
そこまでの部下はなかなかいないかもしれませんが、いつそうしたトラブルが自分の身に起こるかわかりません。パワハラ上司と呼ばれないために、今日は対策を考えていきましょう。
そもそもパワハラの定義とは
職場のパワーハラスメントとは、
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為
(引用:明るい職場応援団)
これは、厚生労働省が運営している「明るい職場応援団」というサイトに書かれている「パワハラの定義」です。要するに、立場が上の人が、部下に苦痛を与えることが「パワハラ」なのです。
パワハラにも種類がある
明るい職場応援団には、パワハラは6つに分類されています。
これを見ても、「こんなことしてないよ」と思う方のほうが多いと思います。項目だけ見れば、まるで「いじめ」です。
「明るい職場応援団」のサイト内に、厚生労働省が発表しているパワハラに関する調査の結果が掲載されていました。
受けたパワハラの内容を見ると、精神的な攻撃が最も被害としては多いようです。
(画像出典:受けたパワーハラスメントの内容_明るい職場応援団)
グラフだけでなく、どのようなパワハラを受けたのか実際の声も載せられていました。そこからキーワードを拾うと、多く見えてくるのは「攻撃」「妨害」「強要」「否定」の4つのワードです。
パワハラ1:攻撃
「攻撃」とは、物理的なものだけでなく、精神的なものも含みます。
お説教をしていて、手を挙げてしまった、などはよくあるパターンですが、部下への愛でも殴ってしまってはNGです。
また、怒鳴る・無視するなど、精神的に過剰に負荷を掛けることも攻撃とみなされます。
パワハラ2:妨害
「妨害」はわかりやすく言えば、仕事の邪魔をすることです。
モノを隠す、捨てる、といったまるで子供のイジメのようなわかりやすいものはもちろんのこと、仕事を進めるにあたって、必要な情報やモノを与えない、というものも、これに含まれます。
パワハラ3:強要
部下の了承を得ずにやらせること、「強要」。これもパワハラに該当します。
自分のやり方を押し付ける、責任を押し付ける、などもパワハラになる可能性があります。
パワハラ4:否定
間違っていることを指摘することは、パワハラではありません。
しかし、お説教をしていて、気づいたら人格否定をしている上司もいます。
また、ちゃんと能力を評価しない、ということも「否定」に当たります。
パワハラは、上司が決めるものではなく、部下がどう感じるかで決まるものです。良かれと思ってやっていても、そう”捉えられなければ”パワハラになるということを、上司であるあなたはご理解ください。
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パワハラはいつから言われ始めたの?
「パワハラ』という言葉を耳にするのは、最近のように感じますが、その歴史を少し見てみましょう。
まず、「パワハラ」「パワーハラスメント」という言葉は和製英語です。2002年に、株式会社クオレ・シー・キューブ代表の岡田康子氏が作った言葉で、この言葉が広がり、一気に注目されたことは言うまでもありません。
「パワハラ」という言葉が広まり、企業側も対応を迫られ、相談窓口の開設やチェック体制の強化を実施する企業が増えました。
ただ、パワハラの歴史はまだ浅いと言えます。パワハラに関する裁判では、2007年10月には、パワハラを労災と認める判決が始めて下りました。
この判決がきっかけとなり、社会のパワハラに対する捉え方が変わったと言われています。
一方で、「パワハラ』という言葉が悪用され、なんでもかんでも「パワハラ扱い」にされてしまう弊害も生まれています。
どうして「パワハラ」だと思われてしまうのか?
こちらは、都道府県労働局等への相談件数を示したグラフです。パワハラは、残念なことに年々着実に増えています。
(画像出典:都道府県労働局等への相談件数_明るい職場応援団)
なぜ、パワハラは起こってしまうのでしょうか。その答えのヒントは、下記のグラフに表れているように感じます。職場のパワーハラスメントに関する実態調査の中で、パワーハラスメントが発生している職場の特徴として挙げられていたものです。
(画像出典:パワーハラスメントが発生している職場の特徴_明るい職場応援団)
見ていただいてお分かりの通り、半数以上が『上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」をあげているのです。
また、他の項目を見ても、「失敗が許されない」「他部署や外部との交流がない」というコミュニケーションが少ない、もしくは閉鎖的な職場があがっています。
ここに大きなヒントがあるのです。というよりも、これが答えです。
コミュニケーション不足が巻き起こす弊害は何があるか、考えてみてください。
- 相互理解の不足
- 状況共有の不足
- 人材育成能力の低下
- 業務効率の低下
などなど、様々な弊害があります。さらに、もっとひどい場合では、従業員の心の病を生む可能性もあります。
少し古いですが、平成19年の国民生活白書では、コミュニケーションの減少が「心の病」を増加させるという、調査結果も発表しています。
(画像出典:内閣府国民生活白書)
ちょっと脱線してしまいましたが、コミュニケーションが不足することで、相手のこともわからず、自分のこともわかってもらえません。
その結果、背景は一切考えず、起こった事実だけで相手を見るようになってしまいます。
例えば、「怒る」。
良好なコミュニケーションが取れていれば、怒られた部下は「私のことを思って怒ってくれている」と感じるはずです。しかし、コミュニケーションが不足している部下は、「突然、上司面しやがって」「私のことを何にも知らないくせに」と思い、結果「パワハラ」と感じてしまうかもしれないのです。
同じことをしていても、相手次第でパワハラか否かが決まるのです。つまり、パワハラはその場・その時のやり取りももちろん大切ですが、その前の関係性のほうが重要なのです。
パワハラ対策でできること
パワハラ対策は一朝一夕で、できるものではないのです。もちろん、いじめや嫌がらせをしない、というのは大前提の話です。しかし、部下のことを思い、良かれと思ってやったことを、パワハラと思われないためにできることは、2つあります。
パワハラ対策1:コミュニケーションをちゃんと取る
まずは、しっかりとコミュニケーションを取りましょう、ということです。挨拶をする、仕事をちゃんと評価する、お礼を伝える、些細な事からで構いません。
「いきなり飲みに行く」などではなくて良いのです。
(むしろ、いきなりそんなことをしたら、「アルハラ」と言われかねませんので。苦笑)
難しく考えすぎないでください。「普通に話す」、それだけで良いのです。変に部下に優しくする必要もありません。あくまで上司と部下の関係の中で、人として当たり前のコミュニケーションを取ることからはじめましょう。こういった普通のことができていないがために、問題が顕在化するときは、大きな問題になってしまうのです。
パワハラ対策2:社内でルールを決める
コミュニケーションを取る、これが前提です。
その上で、指示を出したり、時には怒ったりすることもあるかもしれません。その際に、「パワハラ」と呼ばれないようにするために、社内でちゃんとルールを決めておくことも、対策の1つです。
パワハラ対策は、上司1人の力でできるものではありません。
職場全体で関係を築いていくこと、仕事の進め方を共有しながら、お互いが納得した環境で働くことが大切なのです。パワハラ対策は、ひいては職場の「環境づくり」であると言えるかもしれません。
是非、上司であるあなたも、あなたの部下も気持ちよく働ける職場を作っていきましょう。
それが最短かつ最大のパワハラ対策です!
この記事を書いた人 笹田裕嗣
社員数1,000名超の会社で新卒で入社し、1年目からトップの成績を残し、現在は営業代行、営業研修、さらには営業マンの育成を行っている。担当したクライアントは3ヶ月で売上200%増、初の受注獲得の実現等の実績を持つ。また、営業マンの個別コンサルティングでは、全てのメンバーがコンサルティング開始後、1ヶ月以内に受注をあげている。
「営業で苦しむ人をなくし、営業を楽しめる世界を作る」ことを目指している。