マイナンバー対策がまだの企業が知らなければならない対応と罰則

最終更新日 : 2016-05-10 Box

マイナンバー、企業への影響は小さくない

2015年10月から、国民へ個人番号の通知が始まり、翌2016年1月から個人番号の利用がスタートしました。
「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平・公正な社会の実現」の3つのメリットを打ち出したいわゆる「マイナンバー」制度の開始です。

既に手元には個人番号の「通知カード」があり、「個人番号カード」を発行して持っている方も多いでしょう。
個人の面で見れば、役所などでの手続きが簡略化されるなど、確かに利便性が向上する機会もありそうですが、企業においては、従業員の個人情報を預からなければならないという面で、負担が強いられる面があります。

テレビのCMでもマイナンバー管理のずさんな経営者を笑う描写がありますが、管理を誤ると企業にとって大きな損失を生むことは間違いありません。

今回は、マイナンバー制度について改めて紹介し、その中で企業はどのようにマイナンバーを取り扱うべきなのかを確認していきます。

1.マイナンバーとは?

1-1.マイナンバーとはどんなもの?

マイナンバーは、日本国民全員が持っている12桁の番号です。

2016年1月からは身分証明書として利用可能な「マイナンバーカード」の交付が始まりました。これまで免許証や保険証などでしか行えなかった身分確認が手軽に行え、かつ地方公共団体が条例で定めた、図書館の利用や印鑑の登録などにも使える便利なカードです。

また、マイナンバー自体は同じく2016年1月から利用が開始されましたが、個人が提出する必要がありそうなのは、後ほど説明する「勤務先への提出(アルバイトなども含みます)」や、「保険や年金の手続き」などが主となりそうです。

マイナンバー導入により「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平・公正な社会の実現」という3つのメリットが得られると言われていますが、具体的な用途は、現時点では「社会保障」「税」「災害対策」に関する行政手続のみと限られています。
ゆくゆくは、これまで各行政機関でバラバラに扱っていた個人の情報を紐付け(一括管理ではない)することにより行政の効率化に繋がったり、何をするにも面倒だった役所での手続きが簡素化されたりといったことにもなると言われています。

1-2.企業におけるマイナンバー

個人のマイナンバーの用途として、「勤務先への提出」があると紹介しましたが、企業からすると「従業員のマイナンバーを集めなければならない」となります。

では、そもそも何故企業は従業員のマイナンバーを集めなければならないのでしょうか。
マイナンバーの用途として「社会保障」「税」が挙げられていますが、企業は従業員の給与や社会保険を扱っているため、これらの手続きのためにひとりひとりのマイナンバーが必要となるのです。

ちなみに、マイナンバーが個人に通知されるタイミングで企業ごとに「法人番号」が発番されています。こちらもマイナンバー同様に「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平・公正な社会の実現」を目指すためのものですが、個人の番号とは異なり「この会社は◯番です」と公表されています。
法人番号を活用することで、取引情報の集約や新規営業先の把握などが出来るようになるとされています。

2.企業のマイナンバーの取り扱い方

2-1.マイナンバーの収集

ここまで、企業は「従業員のマイナンバー」を集める必要があると説明してきましたが、実はこれは正確ではありません。
少し細かく見ていきましょう。

2-1-1.従業員本人とその扶養家族のマイナンバー

これまでも年末調整のタイミングに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類を企業に提出していましたが、この書類に従業員本人とその控除対象配偶者、扶養親族の個人番号を記載する必要があります。

なお、個人番号の提出時には本人確認をする必要がありますが、配偶者・扶養親族の個人番号については、従業員本人が確認する義務を負っているため、企業が確認する必要があるのは従業員本人の個人番号のみで問題ありません。
本人の身分確認は、運転免許証やパスポートなどで行いますが、入社時に本人確認ができている場合は省略も可能です。

2-1-2.株主

株主の個人番号も収集する必要があります。個人番号と合わせて、免許証やパスポートなどのコピーも送付してもらうことで身分確認も取れることになります。

2-1-3.個人の取引先

オウンドメディアの記事を執筆するライターさん、WEB制作業務に個人の下請けを利用している場合など、企業対個人の取引の場合、その取引先となる方からも個人番号を提出してもらう必要があります。こちらも、免許証やパスポートなどのコピーで身分確認も合わせて行う必要があります。

2-2.マイナンバーの保管

マイナンバーは超重要書類
企業は、税や社会保障の手続きのために従業員のマイナンバーを集める必要がありますが、当然、集めるだけで良いものではありません。集めるだけでなく、厳重に保管をする必要もあります。
マイナンバーは個人情報と組み合わせることで「特定個人情報」と呼ばれるいわば「超重要情報」として扱われます。
メモ帳にマイナンバーを書いてもらって、デスクで保管、というわけにはいかないものなのです。

2-2-1.厳重に取り扱い、不要になったらすみやかに廃棄

近年、企業にとって個人情報の管理は重要なものとされていますが、「特定個人情報」はそれ以上に厳重に取り扱う必要があります。
そもそも、特定個人情報は保有すること自体に制限が掛けられています。「社会保障及び税に関する手続書類の作成事務で必要がある場合」に限り、提供を求め保有して良いとされているのです。
手続書類の作成の必要がなくなった場合、例えばある社員が退職したなどの場合はできるだけすみやかに廃棄または削除しなければなりません。

2-2-2.保管・取り扱いの記録を残す義務がある

保管をするにあたっては、「マイナンバー及び特定個人情報の漏洩、滅失又は毀損の防止その他の適切な管理のために、必要かつ適切な安全管理措置を講じなければならない」と定められています。

また、特定個人情報をどのように取り扱ったか記録を残す3つの義務があります。

  1. 取扱規程等に基づく運用状況を確認するため、システムログ又は利用実績を記録する
  2. 特定個人情報ファイルの取扱状況を確認するための手段を整備する
  3. 個人番号もしくは特定個人情報ファイルを削除した場合、又は電子媒体等を廃棄した場合には、削除又は廃棄した記録を保存する

ただし、従業員が100人以下の「中小規模事業者」においては、実務への影響を配慮して特例が設けられています。
具体的には、1・2については「特定個人情報等の取り扱い状況がわかる記録を保存すること」、3は「特定個人情報等を削除・廃棄したことを、責任ある立場の者が確認する」と、やや柔軟な対応となっています。

2-2-3.委託も可能。だが監督責任がある

個人情報保護法と同様に、特定個人情報の取り扱いに関しても第三者(会計事務所や社会保険労務士事務所、またクラウドサービスなど)への委託が可能です。
ただし、その場合は、委託者は委託先に対する必要かつ適切な監督(例えば、「委託先が、委託者が果たすべき安全管理措置と同等の措置を講じているかどうか」など)を果たさなければならないと、番号法で定められています。

もしも、そのような措置を講じていない委託先に委託して情報漏えい等が発生した場合には、委託先に対する必要かつ適切な監督を果たしていなかったとして、委託者の責任が問われる可能性があります。
番号法は、個人情報保護法に比べて、罰則が強化されています。個人や企業に対し懲役刑・罰金刑が科せられることもあります。くれぐれも注意が必要です。

2-3.マイナンバーの提出

様式が変更
このように収集・保管をしたマイナンバーは、税・社会保障の分野において利用されます。
これまで提出していた書類の様式が変更され、マイナンバーを記載する欄が追加されます。

2-3-1.税分野でマイナンバーの記載が必要となる書類

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
  • 給与支払報告書

など

2-3-2. 社会保障分野でマイナンバーの記載が必要となる書類

  • 雇用保険被保険者資格取得(喪失)届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得(喪失)届
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 国民年金第3号被保険者関係届
  • 健康保険・厚生年金保険産前産後休業/育児休業等取得者申出書・終了届

など

なお提出そのものに関しては、これまでとは大きく変わることはありません。

3.罰則について

マイナンバーの取り扱いについて定められた番号法は、個人情報保護法と比較して違反行為に対しての罰則が強化されています。

例えば、ある一従業員がマイナンバーや個人情報(=特定個人情報)を故意に流出させた場合、

  • 従業員個人→4年以下の懲役・200万円以下の罰金刑
  • 所属企業→200万円以下の罰金刑

が科せられる場合があります。
個人のみならず、監督すべき企業も責任を負うことになります。

まとめ

マイナンバー導入により、「行政の効率化」「国民の利便性の向上」などメリットのみが謳われていますが、運用するためには企業はこれだけの労力を背負う必要があります。
適切に安全管理措置を講じ、万が一のないように社内で徹底できるように環境づくりを急ぐことが重要です。

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