営業マンのモチベーションを継続的に引き出す5つのテクニック
営業経験のある方ならば、事あるごとにモチベーションが上がったり下がったり、といった経験があるはずです。
モチベーションがどうにも上がらず結果が出なくなったり、そもそも営業のアクティビティ(アポ数や訪問数、架電数など)が伸びなくなってしまったり、ということは往々にして起こります。
しかし、営業マネージャー・営業部長の立場からすれば、部下のモチベーションのブレが大きく、成果も出たり出なかったりでは問題です。
営業マネージャーとしてチーム・組織の目標を達成し続けるためには、メンバーのモチベーションを維持し、さらに継続的に引き上げていくことが求められるのです。
そこで、今回はモチベーションを引き上げる・維持する方法を考えていきたいと思います。
まず、何故モチベーションが下がるのかを考える
そもそも営業マンがモチベーションを落としてしまうのは、どういったケースでしょうか。
大きく6つに分類できます。
1)成果がなかなか出ない
誰しも結果が出続けなければ、モチベーションは下がります。
それは、一生懸命やっているメンバーであればあるほどです。
頑張りが報われるよう、仕組みを作ってあげなければなりません。
2)飽きが来ている
営業というものは、アポを取り、訪問し、資料を提出し、契約書のやり取りをするなど、作業自体は実は同じことの繰り返しなのです。
この繰り返しに飽きが来てしまうメンバーもいるでしょう。
実際に、『飽き』が理由で転職や離職をする営業マンも少なくないのです。
3)トラブルを抱えている
多くの契約を結びお客様を抱えれば抱えるほど、トラブルが起きる確率は高まります。
母数が増えるわけですから、これはある程度は仕方のないことです。
しかし、ここでフォローを上手くしてあげなければ、営業をする気力を奪ってしまうことになるのです。
4)プライベートが原因
モチベーションが下がる原因は、仕事だけではありません。
プライベートで何か悩みを抱えているかもしれません。
5)目的を見失っている
自分が何故頑張っているのか、がわからなくなっているケースです。
失敗が続いたり、大変なことが続いたりすると、こういったことが起こります。
6)評価してもらえなかった
「頑張ったけど認めてもらえなかった」
こういった声を多くの部下・メンバーが抱えているかもしれません。
営業マネージャーからすれば、ちゃんと成果を出しているかが大切です。
しかし、しっかりとそのプロセスを評価して欲しい、と思っている部下は多いものです。
他にもモチベーションが下がる理由は人それぞれです。
リクナビNEXTで実施した「退職理由のホンネ」の調査も、モチベーション低下の理由を探る上では、参考になるかと思います。
参考:退職理由のホンネランキングベスト10(リクナビNEXT)
これらを踏まえて、メンバーのモチベーションを維持・向上させていくためのポイントを5つ挙げていきます。
営業マンのモチベーションを維持・向上させる5つのポイント
ポイント1:まずはメンバーのことを理解する
同じ業務を担っていても、その仕事に対する捉え方や難しさなどはメンバーによって全く異なります。
簡単だと思っているメンバーもいれば、自分には荷が重い・ハードルが高いと思っているメンバーもいるかもしれません。
抱えている業務量などもしっかりと把握してあげることが大切です。
プライベートについても然りです。
「仕事とプライベートとは別物だ」という考えもありますが、そこは人間、完全に切り替えてプライベートの悩みを抑えたままクオリティの高い仕事を続けるのはなかなか難しいことです。
全てはわからずとも(わからなくて当然です)、知ろうとする姿勢を示すことが大切なのです。
なぜ、「メンバーのことを理解すること」が重要になるのか。
それは、営業マネージャー・部長であるあなたの発言や指示を、しっかりと受け入れてもらうためです。
メンバーから「また俺達のこともちゃんとわからないで、好きなことを言っている」「そんなの無理に決まっているじゃん」と思われていたら、どんなことを伝えても意味がありません。
あなたの指示や発言、メッセージが効果を発揮するための最低限の下地が、メンバーにあなたのことを信頼してもらうことなのです。
信頼がないマネージャー・部長のままでは、その存在自体が、かえってモチベーションを下げる要因にもなりかねません。
そうならないために、まずはメンバーに歩み寄り、メンバーを知る努力をすることが大切です。
ポイント2:やっている意味・目的を再定義する
誰しも経験があるかもしれませんが、目の前の仕事が忙しかったり、失敗が続いたりすると、自分が頑張っている理由や目的を見失いがちです。
この目的や理由を見失ってしまうと、「もっと楽をしたい」「手を抜きたい」という気持ちが出て来ます。
こういった状態が続いてしまうと、いよいよ成果も出なくなり、より一層モチベーションが下がってしまう悪循環に陥ってしまいます。
ここで大切なことは、2つです。
- 会社や組織の目指すもの=目的やビジョンをしっかりと伝えること
- メンバー自身のなりたい姿や頑張る理由を定義し、意識させること
会社のためだけでも、自分のためだけでも足りません。
会社の目的、メンバー自身の目的、この2つの目的が重なる部分を見つけ、それを意識させることが大切なのです。
このときは、是非メンバーと対話を重ねてください。
1回や2回で答えが見つかるものではありません。
また、時間が経てば、かつて出した答えから変わっていることもあります。
だからこそ、対話を続けることが大切です。
ポイント3:成果を出させる
これは簡単なことではありませんが、成果を出させることも大切です。
成果が出なくてモチベーションが下がっているメンバーは、「自分ができるイメージ」を失っているというケースが多々あります。
できるイメージがなくなってしまえば、頑張ろうと思えなくなるのは必然でしょう。
こうならないために、成果を出せるイメージを持ってもらうことが重要となるのです。
成果を出せるイメージをもたせる方法はいくつかあります。
一度成果を出させてみる
一度成果を出させて、その流れを実感させることは有効です。
決まりそうな案件などの、例えばクロージングなどをそのメンバーに引き継がせるのです。
必要な流れややるべきことも理解できるので、この先自分自身で案件を作り出す時のためにも効果的です。
同行する
同行して一緒に営業を行い、メンバーの営業で足らない部分をサポートします。
その中で、メンバー自身の学びや気づきを与えるとともに、フィードバックや現場に即した指示を行うことで成果を最短距離で出すことにも繋がります。
マネージャーとしても、そのメンバーのどこに課題や問題があるのかを把握することが出来ます。
ロープレを行う
マネージャー・部長がお客様役になり、メンバーの営業に何が足りないのかロールプレイング形式で見てフィードバックしてあげてください。
基本が足りていないメンバーには効果的です。
相談に乗る
相談に乗ってあげることも大事です。
まずは自分自身でどう思っているのか、どこに躓いているのかを聞いてみてください。
本人に話させることで、話しながらメンバー自身も自分の整理ができていきます。
ポイント4:しっかりと評価する
評価すると言っても、いきなり待遇や雇用条件を変えることは難しいでしょう。
これは仕方がないことです。
しかし、口頭で一言声を掛けたり、頑張っていることをしっかりと伝えてあげたり、時には表彰したりしてあげることは、モチベーション維持・向上に繋がります。
メンバーとして一番辛いことは、頑張っているにも関わらず、“見てもらえていない”と感じることです。
マネージャーや上司に“見てもらえている”と思えるだけで、やる気やモチベーションは大きく変わってくるものです。
ポイント5:競争を促す
しっかりと個々のメンバーと向き合い、評価し、メンバー自身も自分がやる理由や目的を理解できた上で、効果的な施策が“競争”です。
しかし、ただ競争だけを促すのは、即効性はありますが継続性はありません。
競争だけを促していては「他のメンバーにいかに勝つか」をより考えるようになり、モチベーションの維持・向上という本来の狙いからズレてしまうのです。
先にご紹介した4つのポイントを実践した上で、メンバー間での競争を行うことが大切です。
競争は、ただ成果を競わせるだけでなく、普段は数字として見えづらい面を“見える化”し、順位付けする方法も1つです。
また、メンバー同士で頑張りを評価し合ったり、声を掛け合ったりできる仕掛けを作ることも効果的です。
まとめ
メンバーのモチベーションを維持・向上させるための5つのポイントをお伝えしました。
改めて挙げると「メンバーの理解」「目的の定義」「成果」「評価」「競争」、この5つです。
しかし、これらは単発的にやっても効果は見込めません。
継続的に伝え続けること、話を聞き続けることが大切です。
一方的にならず、対話を繰り返しながら、成果を出せる組織・チームに育てていきましょう。
自社内での育成が難しい場合は、営業支援サービスを利用する方法もあります。
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この記事を書いた人 笹田裕嗣
社員数1,000名超の会社で新卒で入社し、1年目からトップの成績を残し、現在は営業代行、営業研修、さらには営業マンの育成を行っている。担当したクライアントは3ヶ月で売上200%増、初の受注獲得の実現等の実績を持つ。また、営業マンの個別コンサルティングでは、全てのメンバーがコンサルティング開始後、1ヶ月以内に受注をあげている。
「営業で苦しむ人をなくし、営業を楽しめる世界を作る」ことを目指している。