サッカー日本代表でわかる、ビジネスマンの価値を考える2つの捉え方
あらゆるビジネスは、社会にある価値を提供することで利益を上げていくものです。
その「利益を上げること」を大きな目標にして動いているのがビジネスマンです。
でもよくよく見ていくと、そのビジネスマンもある価値基準で大きく2つに分けられます。
それは一体どういうものなのでしょうか?
今回のテーマは、「ビジネスマンの価値とは?」です。
ビジネスマンの価値について考える時、サッカーの日本代表選手に当てはめてみると少しわかりやすくなりました。
そもそも、実はサッカーにはあまり詳しくないのですが(!)自分なりに解釈してみましたので、優しい目で読み進めてみてください。
ビジネスマンの価値には2つの捉え方がある
近年、働き方に変化が現れてきたことで、ビジネスマンの価値は2つの捉え方ができるのではないかと考えられています。
それは、「組織価値」と「市場価値」です。
ビジネスマン自身にとっては、自分はどちらの価値を高めていくべきなのかをしっかり考えていくべきですし、彼らをマネジメントする立場にあっては、あるプロジェクトなどにおいて、どちらの価値の高い人をどのくらい組み合わせて配置するのかが重要となっていきます。
説明を読んでいくうちに、身の回りで具体的に思い浮かぶ人がいるかもしれません。
自分はどちらのタイプなのか、自分のチームに必要なのはどちらのタイプなのかなどを考えながら読み進めてみてください。
「組織価値」…特定の組織において価値を発揮できる人
「組織価値」とは、ある組織の中で自らの価値を発揮できる人、またその価値を指します。
これまでの日本の会社員、というと最もわかりやすいかと思います。
組織のルールや風土、周りとの人間関係などをしっかりと活用し、自分がいる環境の中で最大限のパフォーマンスを上げていく人のことです。
こうしたスタイルは、近年良くないものとして見られがちですが、決してそうではありません。
人間関係など長年積み重ねてきたからこそ、こういった組織内で最大限のパフォーマンスを上げることができているのです。
これは、誰にでもできることでは決してないのです。
よくサッカーの解説で「日本のサッカー」という表現が使われます。
これは、サッカー日本代表がこれまでに経験を積み重ねて作り上げたシステムや攻め方・守り方を表現・実現するということです。
こういった観点で見ると、長い時期に複数の監督を渡って起用されるのは、いわゆる”日本サッカー“を実現する上で不可欠なメンバーであるからなのではないでしょうか。
近年の日本代表選手でいえば、「遠藤選手」や「長谷部選手」などは比較的「組織価値の高い」選手であると言えるのではないでしょうか。
「市場価値」…どこの組織に入っても価値を発揮できる人
その人自身が卓越したスキルを持っていたり、入った組織にすぐ順応して力を発揮できたりするような場合、「市場価値」が高いと言えます。
「転職活動をすれば引く手あまた!」となるような人材は、この市場価値の高い人です。
サッカー日本代表で言うならば、何処のチームで求められるという点では、最近であれば「岡崎選手」や「本田選手」などが当てはまるのではないでしょうか。
また、新たにやって来た監督に好まれて起用されるタイプもこちらにあたると思います。
既存の組織を、良い意味で「かき回す」ことが求められている存在であるのかもしれません。
組織価値・市場価値どちらの高いビジネスマンを目指すのかが大事
組織価値が高い人も、市場価値が高い人も、どちらも組織においては貴重な存在です。
「転職活動をすれば引く手あまた!」と先ほど書きましたが、文字通り転職市場において重宝されているのは市場価値が高い人ですが、ある組織内で成果をあげているという点で見れば、組織価値の高い人も重宝される存在です。
ビジネスマン本人の視点で考えると、自分自身が今後どんなキャリアを描くかによって、自分がどちらの価値を高めていくかを定める必要があります。
ある組織で出世を目指し、キャリアを積んでいこうと考えるのであれば、組織価値が高い人材を目指すべきと言えます。
一方で、今所属している組織での出世や昇進よりも、転職や独立を目指すキャリアプランを想定しているのであれば、市場価値を高めていくことが重要です。
どちらが良いどちらが悪いというわけではなく、自分はどんなキャリアを積んでいきたいのか、という視点が大切なのです。
マネジメント視点で考えた時に求められるのは?
組織価値と市場価値。
個々の視点で考えれば、自分が求めるキャリアに合わせて、自分の価値を高めていくことが大切というのがここまでの話です。
ここからは、組織をマネジメントする立場から見た時に、組織価値・市場価値どちらの視点が重要になってくるのかを考えてみたいと思います。
組織の生産性を高めるという視点
「組織の生産性を高める」という目標を据えた時に、それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。
組織価値の高い人材
組織の生産性を高めることを考える時、組織価値の高い人を多く配置することで、より強固な組織が作れるのではないでしょうか。
社内でそれぞれが適材適所のいわば“ツーカーの関係“で仕事に取り組むことができそうです。
例えばチームで組み立てていく職人仕事などは、こういった分類に当てはまります。
組織価値の高い人たちを配置することによるデメリットもあります。
それは、特定のメンバーが欠けた瞬間に、生産性が著しく低下する可能性を秘めているということです。
市場価値の高い人材
一方、市場価値が高い人を増やすことで、生産性を高めることも可能です。
注意しなければならないのは、ひとりひとりそれぞれが活躍できるための環境が整っていなければなりません。
マネジメントの手腕次第では、宝の持ち腐れになってしまうかもしれませんし、それどころか、見切りをつけて早々と転職してしまうことになるかもしれません。
育成の視点
マネジメントを行っていく中では、「育成・教育」の観点も考えていかなければなりません。
それぞれのタイプをどう育成させていくべきなのか見てみましょう。
組織価値の高い人材の育成
組織価値の高い人材の育成とは、その組織で活躍するための能力を身につけさせることです。
業務だけでなく、社内のルール(明文化されているものはもちろん、暗黙の了解の域も含め)なども、ちゃんと伝える必要があります。
また、組織価値の醸成には、人間関係の構築も求められます。
市場価値の高い人材の育成
どこでも活躍できるような人材を育成することは、多くの社員が求めていることかもしれませんが、なかなか簡単なことではありません。
もしかしたら、近々の業務にはあまり関係がないことについても教育していかなければいけないかもしれません。
そういった先行投資的な育成が必要なのは、市場価値を高める教育の特徴かもしれませんが、うまく育成することで強い戦力を持つことができるようになります。
しかし、こういった投資も社員にすぐに辞められてしまっては意味がありません。
投資を回収する、つまり辞めさせない工夫も並行して考えていかなければならないのです。
組織価値の高い人材と比べ、市場価値が高まることで社員の選択肢は増えます。
だからこそ、引き止める魅力的な方策を考える必要があります。
マネジメントの視点
マネジメントの視点で考えれば、組織内で必要な能力を持った人材をいかに適切に配置し、活躍してもらうのかを考えていく必要があります。
組織価値の観点
組織価値の高い人は、組織内である程度の経験が必要不可欠です。
そう考えると、特定の業務や部署、チームに一定期間所属してもらい、その立場を全うしてもらうことが、最も効率的と言えます。
しかし、実際にこういったポジションに入るメンバーには、あらかじめ「経験を積んでステップアップしてもらうこと」を理解した上で入ってもらうことが、メンバー自身の満足度の視点でも重要と言えるでしょう。
市場価値の観点
市場価値の観点から考えると、ジョブローテーションなどを行いながら、様々な経験を積ませることも1つの方法と言えます。
しかし、新たな業務に変わるタイミングでは、必ずと言って良いほど生産性が落ちるので、その点はマネジメントする側は事前に理解しておかなければなりません。
また、こういった人材は、イチから育てるだけでなく、外から連れてくることが出来る(採用できる)可能性も十二分にあります。
社内育成だけではなく、外部からの登用・採用も含めて、幅広い視点で考えることも必要になるはずです
まとめ
そもそも、「できる人」であることが今回の話の大前提としてあることは忘れてはいけませんが、「組織価値」「市場価値」という観点から、マネジメントを考えていくことができるということです。
同じ組織でも、組織の目指す方向が変われば、必要なメンバーは変わるはずです。
そのときに、経営者・マネージャーがどういった視点でメンバーを評価し、活用していくかを考えるにあたっては、重要な視点ということです。
とりあえずすごい人を集める、何でもできそうな人を集めるだけでは、組織は機能しません。
組織がどんな方向で、どんな目標に向かって進んでいくのか。
その視点が改めてマネジメントには必要ということです。
華麗にゴールを決められる組織を作れるかどうかは、マネジメントするあなたにかかっているのです。
(最後に急にサッカー要素を入れてみました)
この記事を書いた人 笹田裕嗣
社員数1,000名超の会社で新卒で入社し、1年目からトップの成績を残し、現在は営業代行、営業研修、さらには営業マンの育成を行っている。担当したクライアントは3ヶ月で売上200%増、初の受注獲得の実現等の実績を持つ。また、営業マンの個別コンサルティングでは、全てのメンバーがコンサルティング開始後、1ヶ月以内に受注をあげている。
「営業で苦しむ人をなくし、営業を楽しめる世界を作る」ことを目指している。