効果絶大!?営業力がしっかり上がる正しい“ロープレ”の行い方
ロープレは、新人営業マンのためだけのものではない!
初めて「営業」に取り組む前、ほぼ必ず行う営業練習の方法は、今も昔も“ロープレ”ではないかと思います。
ロープレとはご存知かもしれませんが、ロールプレイングの略です。
日本語では「役割演技」と訳し、営業する側とされる側(顧客)に分かれて実際の場面を想定してそのやり取りを疑似体験する学習方法の1つです。
新人営業マンはほぼ全員経験すると思いますが、現場に出始めてある程度経験を積むと、ロープレをする機会はほとんどなくなるという人が多いのではないでしょうか。
ロープレをするとしても、お客様役のほうばかり、という人もいるでしょう。
しかし、ロープレは新人、初心者のためだけに有効な練習方法ではありません。
経験者でもしっかりロープレを行うことで、さらに営業力を高めることができるのです。
今回は、ロープレを行うことのメリットとは何か、そしてロープレをさらに効果的に活用する方法をご紹介していきたいと思います。
営業マンがロープレを行う5つのメリット
1.一連の流れを体験できる
新人営業マンは、例えばテレアポでどのように話せば良いのか、トークマニュアルをもらって、それを読み込みます。
しかし、実際にやってみると、100%その通りにいくとは限りません。
というか、その通りにいかないことのほうが多いのが実際でしょう。
それは、お客様の反応や問いかけに応える必要があるからです。
営業活動は、お客様とのコミュニケーションです。
テレアポでも打ち合わせでも、自分が一方的に喋るのではなく、お客様の反応も踏まえながら進める必要があります。
もちろんマニュアルは、この流れで話を進めれば効果的だという要素が組み込まれているので、それに沿っていくのは基本です。
マニュアルを無視すれば良いというわけでは決してありません。
そうした一連の流れを体験するのに、ロープレはとても良い練習方法です。
マニュアル通りに進めつつ、質問や問いかけにどう対応して、どう戻していくか、ただマニュアルを暗記すれば良いだけでない、“コミュニケーション”の部分を学ぶことができます。
2.相手の反応を知ることができる
自分ではわかりやすく伝えているつもりでも相手にはまったく伝わっていない、ということは意外とよくあることです。
そしてこれは、自分では「これで良い」と思った上で相手に伝えているため、なかなか自分だけでは気づきづらい点なのです。
「この営業マンは鼻につくな」
「何を話しているかよくわからないな」
「一生懸命だけど、何か頼りないな」
「この人は、自分に都合の良いことしか言わなさそうだな」
「怪しい・・」
など、相手からは思われているかもしれません。
自分の話し方や話している内容を相手がどう感じているのかを知ることは、営業力を上げるために非常に重要です。
ロープレを行い、お客様役の同僚や上司から率直な感想を聞くことで、どのような点が相手に悪い印象を与えているのかを見つけることができるのです。
3.自分の得意・不得意な点がわかる
英語はものすごく得意なのに数学はまったくダメだったり、仕事はできないけれど飲み会での盛り上げの上手さは人一倍だったり、人間には得意な分野と不得意な分野とがあります。
すべての点において完璧にデキる人はそうそういません。
それは、営業においても同様です。
得意な点と不得意な点を把握することで、得意な部分をさらに伸ばし、不得意な部分を得意に変えていくことができるのです。
私は、営業力は2つの面にわけることができると考えています。
1つは、商材やサービスの理解という面。
商材やサービスの中で、自分が話しやすい部分や自信を持って話せる部分がある一方で、逆に自信が無い部分や、理解が弱い部分もあるのではないでしょうか。
ロープレで基本に立ち返ってみることで、改めて自分の中で整理すべき点が見えてくるはずです。
もう1つは、相手との相性の面です。
対人間のコミュニケーションが必要な営業現場では、どうしても不得意なタイプの人たちがいることも当然です。
しかし、不得意なタイプだからといってそうした人たちを避けているばかりではいられません。
ロープレを繰り返すことで、さまざまなタイプのお客様とのやり取りを経験することができるのです(とはいえ、ロープレでは再現できないようなお客様こそがみんなが不得意とするようなタイプでもあるわけですが・・)。
営業は、お客様に合わせて話を組み立てることも大切ですが、自分が得意なことにフォーカスをあてて考えていく、得意なことに落とし込めるように話を組み立てていくというのもテクニックの一つです。
そのために、自分の得意・不得意を理解することは、非常に大切なことなのです。
4.フィードバックをもらうことができる
普段、お客様に営業をしている中で、お客様から「こうしたほうが良いよ」とフィードバックを得られる機会はそう多くはないはずです。
しかし、自分の提案や打ち合わせがどうだったか、聞き手の反応を知ることは、自身の営業と向き合う材料になることは言うまでもありません。
そこで効果的なのがロープレです。
ここまで挙げてきた3つすべてに共通する点ですが、お客様目線でのフィードバックを相手からしてもらえるのは何より大きなメリットです。
また、ロープレだからこそできるのは、相手に注意して見てほしい部分を事前に伝えられることです。
自分が直したい部分を改善することも、スピードを挙げて取り組めるのです。
5.お客様目線を体感することができる
ロープレのメリットの最後は、自分がお客様側を体験して、他の人の営業を見たり、お客様側の気持ちに立ったりできる点です。
他人の営業を見る機会は、そう多いものではありません。
そういった営業をお客様役で見ることで、「こういう言い方をされるとお客様としてはこう感じるんだな」などと、体感をもって視野を広げることができます。
良いなと思った部分は素直に吸収して真似をし、悪いなと感じた部分は、自分も同じことをしていないか、反面教師にすれば良いのです。
また、感じたことを相手にフィードバックすることで、同時に自分自身の引き出しも増えることになるのです。
効果的にロープレを進める5つのポイント
1.場面設定・目標設定は明確に
とりあえずやってみよう、というロープレでは良い練習とはなりません。
ロープレを始める前には、最低限の場面設定として、以下の項目くらいは決めましょう。
1)相手の会社概要(業種や創業年数など)
2)お客様の役職
3)お客様との関係性(何回目の打合せか、アポの取り方など)
また、何をできるようになるためにロープレを行うのかも、しっかりと決めて行いましょう。
新しい営業トークやツールの練習なのか、自分の癖の修正なのか、ちゃんと目的を決めて行ってください。
2.最後までやり切る
ロープレの途中で、自分が話せなくなったり都合が悪くなったりすると、ゲームのリセットボタンを押すように投げ出してしまう人がいます。
しかし、これでは自分自身の課題を発見したり、対応力を磨いたりすることができません。
ロープレでは失敗しても構わないのです。
ダメだなと感じている時ほど最後までやるという意識を持って、臨んでください。
3.改善するときは、極端に変えてみる
話し方や、ヒアリング、提案の方法などを改善する時は、極端だと思うくらい変化させてロープレに挑んでみましょう。
例えば、話を聞いている時のリアクションが薄いことが課題だとわかったのであれば、極端に大きく首を振って相槌を打ったり、大きな声で笑ってみたり、ボディーランゲージを大げさにやってみたりしてください。
本番では、素の自分が出てしまうことがほとんどです。
だからこそ、ロープレでは極端に自分を演じてみてください。
繰り返していくことで、本番でも自然に対応ができるようになるはずです。
4.フィードバックは素直に受け入れる
ロープレを行っていく中で最もやってはいけないことが、受けたフィードバックを素直に聞かないことです。
営業は、自分が満足したり納得したりするための活動ではありません。
あくまで、目の前のお客様、話を聞いてくれた相手を喜ばせることが、最優先です。
ロープレのフィードバックを受け入れられないということは、このことがわかっていない証拠です。
身内すら喜ばすことが出来ない人が、赤の他人をいきなり喜ばすことができるわけがないのです。
5.とにかく繰り返す
ロープレは、1回で終えないでください。
できたつもりになってはいけません。
ロープレ前に、何をできるようにするのか、をちゃんと決めておきましょう。
そして、それが自分自身でも、周囲の人達からもできたと認められるようになるまで、繰り返し行いましょう。
まとめ
営業マンが成長するための最短・最速の方法は、実践経験を積むことです。
しかし、無闇やたらに実践の場に出てしまっては、お客様に迷惑を掛けてしまいます。
お客様は練習台ではありません。
打ち合わせやテレアポなどは、お客様の時間を奪っているのだということを忘れてはいけません。
お客様の貴重な時間を、お互いにとって有意義な時間にするために、まずは社内でロープレをすることが重要なのです。
冒頭でも少し触れましたが、ロープレは、新人だけでなく経験者もやるべきです。
新しいツールができた、トークができたという時、頭の中だけのシミュレーションで完結させていませんか?
新しい営業手法を試すなら、まずロープレをしてみてください。
ロープレを行ってみることで、足りない点・見えてくる点も出てくるはずです。
ロープレの数が、営業マンの成長を決めると言っても過言ではないと思います。
どんどんロープレで練習してください!
この記事を書いた人 笹田裕嗣
社員数1,000名超の会社で新卒で入社し、1年目からトップの成績を残し、現在は営業代行、営業研修、さらには営業マンの育成を行っている。担当したクライアントは3ヶ月で売上200%増、初の受注獲得の実現等の実績を持つ。また、営業マンの個別コンサルティングでは、全てのメンバーがコンサルティング開始後、1ヶ月以内に受注をあげている。
「営業で苦しむ人をなくし、営業を楽しめる世界を作る」ことを目指している。