AARRR(アー)とは?ビジネスを成長させるための方法を解説
ここではマーケティングにおいて顧客がどれだけ自社のビジネスに貢献しつつあるか、その段階を表すAARRRについて紹介します。
合計5つの段階を経て顧客は自社のビジネスにより高いレベルで貢献するようになるという考え方に基づくもので、単なる新規顧客の獲得だけにフォーカスするとか、一人当たりの売上高だけにフォーカスするのではなく、各段階に分けて考え、それぞれに適した戦略を立てることでよりビジネスの成長が期待できます。
AARRR(アー)とは?
AARRRはそれぞれ、Acquisition(獲得)、Activation(活性化や利用開始)、Retention(継続)、Referral(紹介)、そして最後にRevenue、つまり「収益」の頭文字を取っています。
それぞれの段階については後で詳しく説明しますが、用語だけでもだいたいの概略は想像できるでしょう。
どんなビジネスであっても、まずは顧客を獲得しないことには始まりませんし、獲得した顧客がより積極的な行動を起こすことを活性化や利用開始と呼んでいます。
そして自社の商品やサービスを継続的に利用するようになり、また他の顧客に紹介もするようになるでしょう。それらの結果としてしっかりと収益につなげるというような意味合いがあります。
AARRRを利用しコンバージョンを行う意味
マーケティング用語でコンバージョンとは一般的に最終的な成果を指し、要するに顧客が購買行動を取った結果として自社の収益や売り上げにつながることを指す場合が多いです。
ですが、これは本来の意味とは異なります。コンバージョンとは本来は転化とか変化といった意味であり、先にも説明したようにそれぞれの顧客はいきなり購買行動を取るわけでは決してなく各段階を踏んで購買に至ると考えれば、一つ先の段階に移ることがコンバージョンになります。
AARRRを利用してコンバージョンを考えることで、最終的な購買行動だけにフォーカスするのではなく、途中のプロセスにもしっかりと焦点を当てることができるようになるでしょう。これは重要なポイントです。
AARRRのポイント
AARRRはどのようなビジネスモデルであってもある程度は適用することができるでしょうが、最もふさわしいと考えられるのがネットショップなどで、しかも会員制度を採用しているようなビジネスです。
4つ目の段階には紹介がありますが、もちろんネット上ではない実店舗でのビジネスであっても紹介制度を有しているケースはいくらでもあるものの、ネット上でのビジネスでは紹介制度が確かに多いなということに思い当たる人もいるでしょう。
そして、既にある程度は触れていますが、顧客の段階を5つに分け、それぞれで適切な戦略は何かを考えることがポイントになります。
これによって、マーケティング活動において何を目的としているのかとか、重要な点は何かなどを見失って場当たり的な対策を取ってしまうのを避けることができます。
AARRRを利用するステップ
さていよいよAARRRの5つのステップについて詳しく紹介していきましょう。それぞれの段階で顧客はどういう状態にあるのかとか、それを把握するための指標には何があるのかといったことを主に紹介していきます。
特にネットショップにおいてはユーザーの行動が逐一データとして集積されているはずですから、指標を明確にしさえすればその段階にあるユーザーを把握することはさほど難しいことではありません。積極的にAARRRを活用できるはずです。
(1)ユーザーの獲得
最初の段階はユーザーの獲得です。指標としてはもちろん自社のウェブサイトを訪れた人と定義しても構いませんし、ある程度次の段階である利用開始につながるような行動を取った顧客だけに限定しても構いません。
例えば複数のページを閲覧した人とか、10秒以上滞在した人とすることなどが考えられます。 もしこの段階に問題があるのであれば、そもそも新規ユーザーとなり得る人が少ないということですから、既存のユーザーを対象にしたマーケティング方策をいくら検討し実施しても効果が薄いということになるでしょう。
ユーザーを獲得するための方策としては広告などでまずは認知度を高めることやSEO対策をしっかりと行うことなどが挙げられます。
(2)利用開始
次の段階は利用開始です。利用開始とは単に新規顧客が自社のウェブサイトを訪れただけではなく、そのサイトを積極的に利用し始めたことを指します。 もちろんこの段階で実際の購買行動が起こっていることもあるでしょうが、必ずしも購買行動が必須なわけではありません。
具体的には例えば獲得段階よりも厳しい条件でウェブサイトに滞在していることや、メールマガジンの登録、ユーザー登録、資料のダウンロード、無料サンプルの申し込みなどが挙げられます。
(3)継続
3つ目の段階は継続です。これはリピート購入と同じように捉えられることも多く、例えば1カ月の間に複数回の購買行動を起こした人を指標にするようなことも考えられますが、これも必ずしも継続的な購買行動だけを指標にしなければならないわけではありません。
要するに自社のウェブサイトや自社商品に対する興味関心が継続している人という捉え方もあり、1カ月の間に複数回ウェブサイトを閲覧した人とか、メールマガジンを開封閲読した人などとすることもできます。
(4)紹介
インターネットが発達し、SNSの利用が当たり前になった昨今、紹介という段階はもはや軽視することはできません。 そもそも、購入した商品に対して十分に満足している人でなければわざわざ他の人にそれを勧めたりすることはないはずです。
自社の商品を紹介してもらえるということは即ちその顧客は間違いなく自社のファンであり、お得意さんになってもらえることはまず確実でしょう。 そういう意味でもしっかりと指標を精査し、どれくらいの顧客がこの段階にあるのかを可視化することは重要です。
もちろん、紹介という行動だけを指標に分析するのではなく、紹介された顧客がどのような段階に至ったかのか、ユーザーの獲得に至ったのかさらには利用開始にまでスムーズに進んだのかなどを把握することも有用です。
(5)収益化
最後の段階になってようやく収益化の議論に至ることになります。ビジネスの成長のためには収益化つまりお金の問題は当然ながら重要であることは言うまでもなく、決して単なる付け足しではありません。
ただ、ここまでの説明を読んだ人なら分かるように、収益化に至るまでの段階をしっかりと分析することでより問題が浮き彫りになり、効果的な対策を打ち出せるというのが強調したい点です。
さらに言えば、収益化の指標についても、単なる売り上げ高だけにフォーカスするのではなく、売れ筋商品はどれかとか、どんな商品の組み合わせが良く売れているのか、ある商品を購入した人は次にどんな商品をよく購入しているのかなど、複眼的な視点で分析することがより効果的でしょう。
グロースハックとAARRR
グロースハックというのは近年マーケティングにおいて注目されている用語で、直訳するとビジネスの成長をやり遂げることを指します。 より具体的には、顧客ののあらゆる行動を的確に分析してビジネスを成長させるためにはどこをどのように改善すれば良いかを考え、実行に移すことを指しています。
となると、グロースハックのための手法としてAARRRが非常に有用なものに違いないというのは明らかでしょう。 AARRRによって顧客の各段階を分析し、次の段階にしっかりと移ってもらえているのかを精査します。
もしボトルネックが存在するようであればそれに対して的確な対策を講じます。それによってビジネスの成長につなげることができるでしょう。
AARRRについてのまとめ
AARRRは顧客の段階を5つに分けたそれぞれの頭文字を取ったものであり、マーケティングにおいては各段階にしっかりと焦点を当てることが重要だということを意味しています。
ややもすると、マーケティングでは収益だけにフォーカスしたり、新規顧客の獲得だけを重視したりするようなことが起こりがちで、どうにも売り上げが上がらないからということで行った対策が必ずしも真の問題点にフォーカスしていないことが起こったりします。
AARRRを活用することでそのような付け焼き刃的な、あるいは場当たり的な問題認識や対策などから明確に卒業することができるようになるでしょう。また、チームでマーケティング活動を行っている場合にも説得力のある話ができるようになるはずです。