マズローの法則・5段階欲求とは?マーケティングで活用する時の注意点も解説

最終更新日 : 2022-02-15 Box

マズローの5段階欲求は心理学用語の1つですが、これはビジネスマンにとっても重要な存在です。

自己分析にも用いることができますが、他者分析やマーケティング分析のためにも活用することができます。

ここでは基本的な内容から活用方法まで紹介するので、マズローの5段階欲求を使いこなせるようにしましょう。

マズローとは?

用語の詳しい内容を知る前に、マズローの5段階欲求をつくった人物を知っておきましょう。

これはアメリカ出身のアブラハム・ハロルド・マズローによって生み出されました。

マズローは人間性心理学の生みの親として知られており、人間の自己実現に関する研究に長年打ち込んできた人物です。

それまでは精神病理解を目的とした精神分析、人間と動物の区別がない行動主義心理学が主なものでしたが、マズローが取り組んだ領域は新しいものだったと言えます。

マズローの5段階欲求とは?

人間の欲求を5段階のピラミッドであらわしたものがマズローの5段階欲求です。

人間の欲求は5つに分類することができ、それらが積み重なることによって1つのピラミッドが形成されるという考えに基づいています。

最下層から1つずつ欲求を満たしていくことによって、最後は最高位に位置する欲求が満たせるという考え方です。

下層の欲求を叶えることができなければ、最上位の欲求を叶えることはできないという考え方だと言い換えることもできます。

どの段階に位置しているのか探ることによって、自分や対象人物が置かれた位置を把握すること、次はどのような行動でどの欲求を満たすべきか知ることが可能です。

5つの欲求について

マズローの法則

5つの欲求をそれぞれ説明します。

正確な分析を行うためには、各要素が何を示すか確実に理解しておくことが大事です。

1.生理的欲求

生理的欲求はマズローの5段階欲求のピラミッドの最下層に位置する要素だと言えます。

人間の最も基本的な欲求であり、生命活動を維持するためになくてはならない存在です。

食欲や睡眠欲、性欲はもちろんのこと、呼吸や排泄をしたいこともこれに該当します。

楽しい娯楽があってもトイレを我慢させられた状態では思う存分楽しめませんし、学ぶ意欲があっても空腹がひどければ力が出ないはずです。

何を行うにしても、生理的欲求が満たされないことには始まらないと言えます。

土台となる要素であり、人間が最初に欲するものがこれだと知っておきましょう。

2.安全の欲求

マズローの5段階欲求の安全の欲求は、身体的な安全さと経済的な安定さをあらわしています。

凶器を持った悪人に捕まっているとき、紛争地帯に身を置いているときには、命をいつ失うか分からない状況に逃げ出したい気持ちになるはずです。

命がいつ奪われるか分からない状況ではなかったとしても、経済的に不安定であれば生活ができずに亡くなる可能性もあります。

死だけではなく、いつも病気がちで元気に過ごせない場合も何か行動を起こすことができなくなるはずです。

身の安全を脅かす状況から脱することで、少しでも安心して暮らせるようになりたいと欲するのが、この段階だと言えます。

3.社会的欲求

社会的欲求は、社会集団に所属することで安心したいという気持ちです。

社会的という言葉ではなく、所属や愛の欲求と呼ばれることも少なくありません。下層の2つの欲求を満たすことができていたとしても、常に孤独な状態では寂しい思いをすることになります。

家族がいなかったり、社会との関わりがなかったりすると、ひどく孤独を感じることになるはずです。

お金やモノがたくさんあれば豊かな生活を送ることができるだろうと考える人もいますが、実際には自分のことを受け入れてくれる親しい存在や身を置ける組織がなくてはならないと言えます。

4.承認欲求

マズローの5段階欲求の承認欲求は所属している場所で高い評価を得たい、能力を認めてほしいという考えです。

集団に所属することができたとしても、自分を認めてくれる人があらわれなければ苦痛を感じます。

学校でいじめられてしまったり、会社で能力を評価してもらえなかったりすると、悲しい思いをするだけでなく自信を失うことにも繋がるはずです。

近頃はSNS上でも承認欲求を感じる人が増えており、投稿をシェアしてほしい、いいねをしてほしいなどが承認欲求に当てはまります。

ただし、これには低位と高位があることも理解しておくべきです。低位は他人から注目されたい、褒められたいという気持ちがあります。

一方で高位は他人からの評価でなく、自分自身が認められるかどうかが要です。自分の中にある基準や目標を踏まえた欲求は高位だと言えます。

5.自己実現欲求

自己実現欲求はマズローの5段階欲求の最上位です。

マズローの5段階欲求の1段目から4段目までを全てクリアすると、この欲求が生まれることになります。

自己実現欲求には自分にしかできないことを達成したい、自分らしいと感じられる生き方をしたいといった気持ちが当てはまるでしょう。

誰しも理想的な自分のイメージがあるはずですが、現状と理想が一致していなければ理想に近い自分になりたいと思うはずです。

大企業で優秀な成績を残していたとしても、本当はスポーツ選手になりたいという夢を諦めていなければ、現状に満足できなくなります。

人間の欲求が全て満たされるためには、社会的な成功だけではなく自己実現が重要だと分かるはずです。

マズローが晩年発表した6つ目の「自己超越」

マズローの5段階欲求は5段階ですが、実はマズローによって6段階目も発表されています。

晩年にマズローの5段階欲求には更に上の段階があると発表されました。6つ目は自己超越であり、11の特徴があるとされています。

あることの世界について十分に知っている、統合された意識を持っている、他者の不幸には罪悪感を覚えるなどを含む11の特徴です。

理解することが難しいと感じられるかもしれませんが、まとめると自分のことにとどまらない内容に対した欲求だと言えます。

社会を良くしたい、貧困を解決したいなどが当てはまり、成功者やお金持ちが大金を寄付したりボランティア活動を行ったりすることは、自己超越の欲求を叶えるためだと考えることが可能です。

自己超越に達している人はほとんどいないとされています。

日本では「社会的欲求」と「承認欲求」が多い

日本ではマズローの5段階欲求の中では、社会的欲求と承認欲求を抱く人が多いです。

先進国である日本ではマズローの5段階欲求の1段目と2段目をある程度クリアできている人が多く、その上の段階で欲求を満たそうとしていると考えることができます。

本当にそうだろうかと考える人もいるかもしれないですが、SNSにハマる人が増えていること、承認欲求を満たすようなサービスが増えていることが、何よりの証拠だと言えるでしょう。

5段階欲求の分類

マズローの5段階欲求の分類について、ここから詳しく解説します。

性質に応じた分類が行われることが多いので、理解を深めておくと良いです。

1.物質的欲求と精神的欲求

物質的欲求はマズローの5段階欲求における1段目と2段目だと言えます。精神的欲求はマズローの5段階欲求の3段目から5段目が当てはまります。

生理的な欲求や安全はモノによって満たすことができますが、それ以外は心が満足するかどうかに関係することなので精神的なものだと分類することが可能です。

精神的なものはマズローの5段階欲求の1段目と2段目の物質的な欲求と対比させることで、非物質的と表現することもできます。

2.欠乏欲求と成長欲求

欠乏欲求と成長欲求という観点から分類することもできます。

マズローの5段階欲求の1段目から4段目までは、自分にとって足りないものを満たすための気持ちです。

そのため、これらは欠乏に含むことができます。自己実現に関しては、欠乏が全部満たされてから自分を高めようとする気持ちなので、成長に分類することができるでしょう。

マズローの5段階欲求では、最終段階まで至ることができて初めて成長に分類することができます。

3.外的欲求と内的欲求

外的欲求と内的欲求の2種に分けることも可能です。外部環境をどうにかしたいのか、自分の内面をどうにかしたいのかという点が判断基準となります。

マズローの5段階欲求の3段階目までは外的に含まれることになり、4段目と5段目は内的なものに含むことが可能です。

外的と内的に分けて考えることによって、マズローの5段階欲求では人間は環境が整わないと自分の内面が変えられないことが示唆されていると理解できるようになります。

マーケティングで活用する時の注意点

マズローの5段階欲求はマーケティングで活用することもできますが、活用するときにはこれから紹介する注意点を守るようにしてください。

1.欲求の順番は人によって違う

欲求の順番には個人差があることを理解しておく必要があります。

マズローの5段階欲求では最下層から欲求を満たすことになると考えられており、順番に内容が決められていますが、全ての人がこれに当てはまるわけではありません。

完全にマズローの5段階欲求に当てはまる人もいれば、そうでない人もいることを理解しておく必要があります。

2つ以上の欲求をターゲットにするときには、段階を意識しすぎると失敗する可能性が高いです。

個人によって順番が異なることを踏まえた上で、柔軟にマーケティング戦略を考えることが重要だと言えます。

2.商品に対する欲求を把握する

マーケティングで活用するのであれば、商品に対しての欲求を明確に把握しておくことが大事です。

高級料理店を出店したい場合は、食べる行為自体は生理的欲求を満たすことに繋がりますが、高級料理店であることを踏まえるとターゲットにはなり得ません。

もっと上位の社会的欲求や承認欲求が対象となると考えられます。正しく欲求を把握することができていなければ、本来であればターゲットとしない部分まで含めることになってしまうリスクが高いです。

戦略を間違えてしまう可能性があるので要注意だと言えます。

失敗を避けるためには、マズローの5段階欲求を正しく理解した上で、商品やサービスを当てはめる練習をすることがおすすめだと言えるでしょう。

マズローの法則まとめ

マズローの5段階欲求は、ビジネスではマーケティングにおいて活用することができます。

顧客のニーズを満たす製品やサービスを生み出すためのアイデアを考えるときに役立てることができる便利な考え方ですが、マズローの5段階欲求について正しい理解がなければ上手く活用できません。

紹介した内容を参考にすることによって、正しい用い方でマズローの5段階欲求をマーケティングに活かすことができるようにしておくことをおすすめします。

 

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