「As Is」「To Be」とは?現状と理想を把握するための使い方を解説
ここではビジネスフレームワークのAs isとTo beを解説します。
これは業務上の問題や課題を的確に捉えて解決を図る上での非常に基本的かつ有効なツールといえ、高度に戦略的な判断から日常的な作業まで広く使えるのもメリットです。
As-Is / To-Beとは?
As isとTo beとは、何か課題を感じていて将来的にあるべきと考えられる姿が、現状とはギャップがあるようなものであればほぼ何に対してでも応用がききます。
例えば営業部門の売り上げが目標からはかけ離れているとか、人事部門で採用した人材の定着率が思ったほど高くない、上司と部下の面談で部下が思ったようにはスキルアップしていないようだなど、様々なシーンが考えられます。
As isとは現状を表す英語表現であり、To beとはあるべき姿を現す表現です。まずは漠然と何か問題がありそうだということに留まるのではなくて、現状とあるべき姿をしっかりと明確にすることから始めます。
問題があると感じているのはAs isとTo beに差があるからに決まっていますが、明確に対比することでより具体的な対策も見えてくるようになると考えられます。
これがAs isとTo beのフレームワークの基本的なやり方になっていますが、単に現状と将来の姿を示すだけではなく、その差や対策まで考えるのが言うまでもなく重要です。
「As is/To be」のやり方・手順
では実際にAs is/To beのやり方や手順を説明していきます。
さほど難しい手順ではありませんので、誰でも簡単に理解できるはずです。
1.As is/To beの順番を決める
実は、As isを先に挙げるのか、それともTo beを先に挙げるのかの順番をまず決めなければなりません。
どちらでも良いように思うかもしれませんが、状況に応じて適切な順番というものがあります。決して、好きな順番で実施すれば良いわけではありません。
2-1 AS-ISが先の場合
As isが先の場合というのは、即ち現状を先に挙げることを意味しています。
これが適切なケースは、現状をしっかりと踏まえた上で比較的短期間で実現可能性の高い、地に足のついた改善策を考えたい場合が当てはまります。
あるいは、単に将来のあるべき姿と言われてもなかなかすぐには思いつかないという場合もあるかもしれません。
現状からスタートするため、ある意味で十分にその延長線上にあると考えられるような、比較的現実的な対策を実行したい状況では向いていると言えます。
一方で、あくまで現状の延長線上に留まり、安直で誰でもできそうな考え方になってしまったり、抜本的な改善には至らないかもしれないとか、ある意味で小手先の策しか出て来なくなるといった弊害があるかもしれませんので、そのような点には注意しておくことが必要になってきます。
2-2 To beが先の場合
本質的なことを言えば、このビジネスフレームワークではTo beを先に考えることを基本にしたほうが良いかもしれません。
一般論で言えば、現状にとらわれることなく本当にあるべき姿は何かを考えたい場合とか、種々の条件とか制約などはひとまず抜きにして、長期的スパンで根本的な解決を図りたい場合に向いています。
As isを先に挙げて考えるような事柄は、別にこのようなフレームワークを大げさに利用しなくても、頭の中で普段から適切に業務を進めるにあたって考えを巡らせていることとも言えるかもしれません。
せっかくこのような機会が与えられた場合には、日常的な業務の遂行から少し離れて、本当はどうあるべきなのかなどをゆっくり掘り下げても問題はないでしょう。
ですので、事情が許すのであればTo beを先にしたほうが良いのが多いことは認識しておいて下さい。
3.課題を抽出
As isとTo beを挙げることができれば、次に行うことは課題の抽出です。
しかしこれは決して難しいことではありません。というか、As isとTo beのどちらを先にした場合であっても、それぞれの姿はお互いに対比できるように書き出します。
例えば営業部門であるべき売上高が月1億円とするならば、当然ながらそれに対応する現状の欄には今の売上高がいくらかを書きます。
例えば月7000万円しかないというようにです。これは常識的なことであって、あるべき売上高1億円に対比する現状の項目で、一人当たりの顧客訪問回数が月50回などと全く関係のないことを書いては意味がありません。
お互いに対比できるように書きさえすれば、その差が即ち課題となるのはほぼ自明のことです。
1億円の売上高が望まれるところ、今は7000万円しかないので、この差の3000万円を埋めることが課題だとなります。
4.課題を解決するための行動と優先順位を決定
この手順で進めてくれば、課題を挙げるところまでは比較的簡単かもしれませんが、言うまでもなくそれで終わりではありません。
その課題を解決するには何をしなければならないかを検討しなければならず、これが最も難しいポイントと言えるかもしれません。
あるべき姿との売上高の差が3000万円ある場合に、ではどのように行動すればそれを埋められるのかということです。
また、言うまでもなく課題は一つだけではないはずで、その課題を解決するための行動も複数あるのが普通になります。
このようになってくると、全ての物事を同時に進めるのは予算とかリソースの関係で難しいこともあり、優先順位をつけることも必要です。
5.行動の実施と振り返り
行動を決め、優先順位も決定すれば後は実行するだけで終わりと思うかもしれませんが、それではビジネスとは言えません。
本当にうまくいったか、うまくいかなかったのなら改善すべき点はどこかなど、振り返りをすることも重要です。
思い通りに完璧に物事が進んだ場合にも楽観視し過ぎるのは禁物で、そもそもあるべき姿として挙げた事柄が、容易に達成できる事柄ばかりになっていたのかもしれません。
しっかりと最後は振り返りをするようにしましょう。
As-Is / To-Beまとめ
ここまでAs isとTo beのビジネスフレームワークについて見てきました。
現状と将来のあるべき姿を考え、その差を埋めるためにはどうすれば良いかを検討して実行することは極めて基本的と言えます。
ビジネスの世界だけでなくても、プライベートなものであっても人生の目標を立てる際にも十分使えるかもしれず、応用範囲は非常に広いです。
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