ビジネス戦略のデコンストラクションとは?ポイントを解説
ビジネス戦略は様々なものがありますが、近年注目されているのがデコンストラクションという戦略です。
フランス人の哲学者ジャック・デリダが掲げた思想の理論で、既存の枠組みや体系を解体して、新たに構築するという意味です。
日本語では脱構築と呼ばれ、ビジネス戦略に関する革新的な試みを意味する言葉として注目されています。
デコンストラクションとは何か?
デコンストラクションは既存の体系・枠組みを解体し、新たに構築し直すビジネス戦略です。
解体した枠組みの中から要素を取り出し直して新たな枠組みを構築することもあり、元々はデコンストラクションは哲学的思考の方法として用いられてきましたが、BCGがビジネスの観点から再定義したことでビジネス戦略に関する変革の試みを指す言葉として注目されています。
BCGが掲げるデコンストラクションは、バリュー・チェーンの再構築を指します。
バリュー・チェーンとは日本語で価値連鎖のことで、原材料の調達・製造・物流・マーケティング・販売の一連の工程で、サービスの価値を付与していくこと、各工程でどのような付加価値をつけられるかを分析し、課題を発見し最適化する試みなどです。
このバリュー・チェーンは、金融・証券・出版・印刷・通販・自動車など色々な業界で試みられていています。
インターネットをはじめとした情報通信技術が発展することで、既存の枠組みではこのような付加価値はつけられないことことから、デコンストラクションを行うことで新たな価値を高めていくということにつながっています。
デコンストラクションのための5つのポイント
デコンストラクションを行うためには5つのポイントを押さえることが重要です。
バリュー・チェーンの中で費用対策効果が低い部分の分析、自社事業でネットワーク化することで影響の受ける部分、デコンストラクションを行うことで新しい事業活動や能力が必要か、自社の戦略資産の中で負債になるもの、自社事業は顧客のバリュー・チェーンの一部か、全部かの5つのポイントを考えます。
企業で再構築をする際には、このポイントに沿って現状をきちんと把握した上でビジネスモデルなどを見つめ直し、客観的な視点で分析してから始めることが、デコンストラクションを成功させるためには必要です。
デコンストラクションの4つのパターン
デコンストラクションには4つのパターンがあり、専門分野特化型のレイヤーマスター・外部資源利用型のオーケストレーター・既存チャンネル改善型のマーケットメーカー・顧客第一主義のパーソナルエージェントに分けられます。
1.レイヤーマスターの特徴について
レイヤーマスターは、バリュー・チェーンの特定の業務に特化して、優位性を作る企業のことをいいます。
製造に特化、販売に特化などの主業務を特化させることで優位性を作っていきます。
製品の特定の機能を担う部品にもレイヤーマスターは存在します。パソコンで例えると、メモリ・ハードディスク・OS・パソコン本体・アプリケーションやソフトウエアなどの部品がありますが、これらの部品に特化することで競争優位を構築することが可能です。
2.オーケストレーターの特徴について
オーケストレーターは、自社が抱えるバリュー・チェーンの中で価値の発揮できるプロセス以外は、外部に頼んで最適化する企業のことを指します。
原材料の調達・製造・物流・マーケティング・販売のプロセスのうち、製造だけに力を入れて他のコストが大きな部分を外注してしまうという仕組みです。
関連した企業を巻き込んで新たな仕組みを構築し、効率的な仕組みにするという形になっています。このような仕組みを作ることで、自社だけではなく他社の強みも発揮できるのが特徴です。
3.マーケットメーカーの特徴について
マーケットメーカーとは、複数企業を取り巻くバリュー・チェーンの既存のチャンネルの弱み・欠点などを分析し、プロセスの間に入って新しい市場を開拓していく企業になります。
既存の仕組みでは難しい川上川下を結びつけることで広範囲の顧客を開拓することができ、インターネットなどを使うことで迅速で活発な取引を行えます。
競合が相手が少ないため、新しいビジネスを作る可能性がある方法です。
4.パーソナルエージェントの特徴について
パーソナルエージェントは、インターネット上の無数の情報を整理するナビゲーターが販売代理店として、企業と顧客の間に入って市場の影響力を高める企業です。
大手通販サイトなどがこれに当たります。出店する店舗に対してアドバイスを行ったり管理するほか、顧客の購買プラットフォームとしても機能します。
情報整理や分析を行うことで、店舗にたいして売り上げ向上のアドバイスなども行えるほか、運営のノウハウや顧客に対してはおすすめの買い物なども紹介しています。
供給側・需要側の双方に、影響力を保持することのできる形となっています。
デコンストラクションについてのまとめ
デコンストラクションには様々な方法がありますが、近年ではビジネスシーンには欠かせない概念となってきています。特に今は既存の仕組みではビジネスが難しいケースも多いため、企業経営を行う上で重要な課題ですので、適切なソリューションやプランニングは必要不可欠です。
デコンストラクションを行う場合には、どのパターンが自社の強みを活かせるかといった観点で検討することが大切となります。
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