USPとは?自社の強みを生かすための作り方のポイントや効果を解説!
マーケティングにおいてはUSPがとても重要であり、これを活用することで他社と差をつけることができるとされています。
しかしながら、マーケティング業務に携わっていながら、これについての詳しい内容を知らない人も少なくありません。
ここでは、USPに関する基礎的な情報から成功事例、USPの考え方まで紹介します。マーケティング活動を成功させたい企業にとって非常に重要なものなので、詳細な特徴まで知っておくことがおすすめです。
USPとは?
USPは「Unique Selling Proposition」の略であり、独自の売りや独特の売りの提案と訳すことができます。
自社の製品やサービスについて簡潔にまとめたフレーズのことを指しており、マーケティングコンセプトを端的に表現したものと言うことも可能です。
顧客に対して自社だけが約束できるような利益として扱われることも多く、一般的に考えられる強みよりも更に上の段階と知っておく必要があります。
社内や関係者とUSPを共有することによって、マーケティングの軸を維持するために利用することが可能です。
製品やサービスの売り出し方の軸が決まっていなければ、効果的なマーケティングを行うことができません。
USPを社内で明確に決めておくことによって、関係者全員が同じ方向に向かってマーケティング活動を実施できるようになります。
USPとキャッチコピーの違い
キャッチコピーと一緒だと感じる人もいるかもしれませんが、キャッチコピーは顧客の興味や関心を引きつけることを目的として考え出される表現です。
一方で、USPの場合は顧客に対して「メリットを的確に伝える役割」を果たすものだと言えます。
つまり、キャッチコピーの場合は興味を引く内容であればメリットが全く伝わらなくても良いですが、USPは顧客に対して自社が提供できるものをアピールすることになると知っておくべきです。
USPの効果
USPの特徴は分かったけれど、具体的な効果が分からない人もいるかもしれません。
ここからは、詳細な効果を紹介するので、USPの重要性を知るためにもチェックしておきましょう。
1.口コミによる認知度の拡大
独自性が高いUSPであれば、目に留まった人の心を動かすことができます。
素晴らしい製品や素敵なサービスは他の人にも知ってほしい、おすすめしたいと考える人が多いですが、この心理によって口コミによる認知度の拡大を期待することが可能です。
端的に魅力を表現したUSPは拡散されやすく、結果として製品やサービスを知る人が増えることを期待できます。
2.ブランドの確立
手軽にブランドを確立できることも重要なメリットです。
独自性を強化することによって、洗浄力と言えばこの会社、自然素材と言えばこの会社というように多くの人に覚えてもらえるようになります。
顧客がキーワードから自社を連想する機会を増やすこともできるので、リピート客の獲得に繋がるというメリットも感じられるはずです。
USPの事例
ここでは、USPの事例について説明します。
実際に導入に成功している企業の事例を参考にすることによって、自社でも導入できるようにしておくと良いです。
1.ドミノピザ
大手ピザ販売会社のドミノピザは、「ホットでフレッシュなピザを30分以内にお届けします。もし30分以上かかったら、ピザの料金はいただきません」というUSPを打ち出しています。
味には言及していませんが、スピードに対する絶対的な自信を顧客にアピールしており、30分以内に届かなければ無料という文言をきっかけに、スピードを求める顧客から受け入れられるようになりました。
味を重視する顧客を切り捨てていますが、ターゲットを削ぎ落してピンポイントに訴求したことが成功の鍵となっています。
2.ダイソン
ダイソンの「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」というUSPは非常に有名です。
吸引力が継続する掃除機と言えばダイソンを思い浮かべる人はとても多いと言えます。
競合他社は吸引力の強さを売りにしていますが、掃除機を使うときに不満を抱えやすい吸引力の低下が起こらないことに焦点を当てており、見事に顧客の心を掴むことに成功していると言えるでしょう。
ダイソンは比較的高価な掃除機ですが、圧倒的な人気を誇っているのは魅力を簡潔に表現したUSPのおかげでもあります。
3.QBハウス
「10分の身だしなみ」は、QBハウスならではの魅力をかなり短い文章に凝縮していることが分かるはずです。
一般的な理容店や美容室は1時間以上の時間がかかることが珍しくありませんが、QBハウスは短時間で身だしなみが整えられることをアピールし、見事にブランドを確立しています。
圧倒的なスピードであることを即座に理解することが可能です。このフレーズを見たことによって、ちょっとした空き時間に髪を切ろうと考える人も多いとされており、十分な顧客獲得に繋がっているので、USPを上手く活用することができています。
4.稲葉製作所
稲葉製作所の「100人乗っても大丈夫」も、単純明快なUSPです。
CMでは実際に物置の上に100人乗っている映像が放送されており、言語情報と視覚情報の両方から上手くアプローチすることができています。
稲葉製作所の製品は厳しい耐性試験に合格していますが、試験にクリアしていることを延々と説明してもここまで評価は得られなかったはずです。
子供から大人まで理解しやすい表現方法で自社の強みを伝えていることで、多くの人からの支持を得ることに成功していると言えます。
USPとなりうる要素
USPを設定するのであれば、どのようなものが要素となりうるのか知っておくことが大切です。
一般的にはサービスの特徴や価格、専門性やサポート、スピードや品質などをあげることができます。
他社にはない機能や独自のサービスがある場合、業界最安値を記録している場合など、差別化しやすい内容がUSPとなりうる要素です。
単にこういった機能がありますと説明するだけでは十分なアピールになっておらず、競合他社と比較して抜きん出ているものを探す必要があります。
USPを考える時のポイント
考え出すことが難しそうだと感じるかもしれませんが、いくつかのポイントを押さえておけば誰でもUSPを考えることが可能です。
ポイントを解説するので、参考にしながらつくってみることがおすすめだと言えます。
1.ユニーク・個性的なものであること
ユニークかつ個性的であることは非常に重要です。基本的でありながら最も重要なことであり、他社との違いをアピールすることが何よりも大切であることを理解しておく必要があります。
市場のニーズは常に変化し、それに合ったサービスをつくり出すことが必要不可欠です。
他の企業とは全く違った部分、今までにはなかった工夫をUSPとして活用することができるでしょう。
2.ターゲットに合ったもの
ターゲットに合っていることも非常に大事です。
対象となる人を広げようとすると、ターゲットに刺さるUSPを考えることはできません。
メリットがたくさんある場合でも、幅広い人を対象にしようとせず、ターゲットに最も刺さると考えられるポイントを採用するようにします。
ドミノピザの例からも分かるように、ターゲットを絞るためには内容を削ぎ落すことが必要です。
マーケティングを展開する際にはペルソナを設定するはずなので、ペルソナに最適なUSPになるように仕上げると良いでしょう。
3.専門性
成功するためには専門性を売りにすることも大切です。ニッチな市場を狙って専門性を売り出せば、注目される可能性や顧客が増える可能性がアップします。
税理士であれば個人事業主専門の税理士であることをアピールする、web制作会社であれば医療品通販に特化したweb制作サービスを提供していることをアピールするなどが効果的です。
4.USPにストーリーをもたせる
ストーリーを持たせることも効果的であり、誕生秘話やバックグラウンドを織り交ぜることが有効となることも多いと言えます。
どのようなユーザーのために、どのような想いでつくってきたのかというストーリーをプラスすると、顧客から共感を得やすいです。
共感する心理は製品やサービス、自社のファンをつくるためにも有効であり、顧客獲得に効果的なUSPを完成させることができます。
5.USPに一貫性を持たせる
一貫性があるかどうかのチェックは忘れてはいけない部分です。USPを1つに絞る必要はなく、複数のものを用意することができますが、内容に一貫性がなければ説得力がなくなります。
バラバラのポイントをアピールしてしまうと、本当に強みなのだろうかという不信感を与えることになりかねません。
USPを複数つくる場合は、メッセージは一貫性のある内容であるかどうか確認しておきましょう。
6.3C分析、4C分析を活用する
3C分析や4C分析を活用することも可能です。
前者は市場と競合、自社における分析を示しており、後者は顧客にとっての価値や経費、利便性やコミュニケーションを示しています。
分析結果を活用すれば、市場や顧客が求めているもの、自社の強みを総合的に判断できるようになり、USPにすべきキーワードを見つけやすくなるはずです。
特に4C分析は買い手の心理や企業に対するイメージの分析に役立ち、サービスを提供する側とは違った視点で製品やサービスを見ることができるようになります。
製品やサービスを購入した後に得られるメリット、価格や販売方法などは顧客が利用しやすいものか、企業との接点はあるかなど考えてみると、USP考案のために上手く分析することができるようになるでしょう。
マーケティング戦略を考える際に分析を取り入れている企業は多いですが、その結果を活用することもできるので便利です。
3C分析や4C分析の詳しいやり方などはこちらを参照してみてください。
USPを考える時の注意点
USPを考えるときにはいくつかの注意点があり、間違ったつくり方をしてしまうと、思わぬ結果を生む可能性があります。
注意点を詳しく解説するので、失敗しない考え方ができるようにしておくと良いです。
1.競合他社を批判しない
競合他社を批判することはご法度だと言えます。USP本来の意義から逸れてしまっているだけでなく、顧客に対して悪い印象を与える可能性が高いです。
優位性をアピールすることは問題ありませんが、批判するような文言は取り入れないように注意しておくことを忘れないでください。
ハッキリと企業名を出さなくても問題となるので、気をつけておきましょう。
2.すべての顧客を対象にしない
全顧客に魅力的だと感じてもらおうとすると、標準的で面白みのないアピールになる可能性が高いです。
独自性の高い価値を求める一部の顧客から認められれば良いという考えを持ち、特定の顧客を対象としてUSPをつくり上げることが大切だと言えます。
ニッチな需要に応えることができれば、広く宣伝するよりもスピーディーに情報が広まったり、顧客を獲得できたりする確率がアップするはずです。
3.高い品質・機能をUSPにしない
高い品質や機能そのものをUSPにしないようにすることも忘れてはいけない部分です。
技術力に自信がある場合は、品質や機能をアピールしたくなるかもしれませんが、消費者のニーズに直結していることが重要だと言えます。
人体科学に基づいたシューズとアピールするよりも、疲れにくさや安さが求められるケースも多いため、顧客のニーズも確認しながら決めていくことが大事です。
USPまとめ
USPを決めておけば、自社の製品やサービスについて簡単に魅力を表現できるようになります。
キャッチコピーとは違ってメリットを伝える力があるものなので、何となく好きになってもらうのではなく、製品やサービスの利点を知った上で好きになってもらうことが可能です。
いい加減につくってしまうと十分な効果が発揮できない可能性がありますが、紹介した方法を取り入れながら、注意点に気をつけつつ作成すれば効果的なUSPを完成させることができるでしょう。