One to One(ワントゥワン)マーケティングとは?メリットや実施するための手法を解説
近年、マーケティング手法のひとつであるOne to One(ワントゥワン)マーケティングに注目が集まっています。
One to One(ワントゥワン)マーケティングは、多様化する顧客ニーズに応えるためのマーケティング手法として年々重要度が増しています。
しかし、名前は聞いたことがあっても具体的にどのようなマーケティング手法なのか分からないという方も少なくないでしょう。
そこで、ここではOne to One(ワントゥワン)マーケティングの概要や主な手法などについて解説していきます。
One to One(ワントゥワン)マーケティングとは?
One to One(ワントゥワン)マーケティングとは、顧客一人ひとりのニーズに合わせてカスタマイズされたマーケティングのことを指します。
インターネットの普及に伴って消費者ニーズが多様化する現在、従来のような誰に対しても画一的なマーケティングを行っていても十分な効果が得られにくくなっていることから、個々のニーズに応じてカスタマイズしたOne to One(ワントゥワン)マーケティングを行う重要性が高まっています。
また、このマーケティング手法が急速に注目を集めるようになったのは、IT技術の進歩によって顧客データの取得が容易になったためです。
特に、One to One(ワントゥワン)マーケティングを支えているのがCookieと呼ばれる技術です。Cookieとは、ユーザーがWebサイトを訪問した際にPCやスマホなどのデバイスに付与される情報のことを指します。
Cookieには、サイトへの訪問日時や閲覧したページ、サイト内で入力した内容など様々な情報が保存されており、ブラウザを介してWebサイトへと送信されています。
この技術を活用してサイト内での顧客の行動を分析することで、個々の顧客に合った最適なマーケティングを行うのがOne to One(ワントゥワン)マーケティングの大まかな仕組みです。
マスマーケティングとの違い
マスマーケティングは、全ての顧客に対して画一的なアプローチを取っていきますが、このマーケティング手法は全ての顧客が同一のニーズを持っていることを前提としています。
しかし、現実には同じ市場でも個々のニーズは異なるため、全ての顧客に対して有効な手法とは限りません。
一方のOne to One(ワントゥワン)マーケティングでは、顧客一人ひとりのニーズに合わせたアプローチを行っていくため、より効果的なマーケティングが可能となります。
One to Oneマーケティングのメリット
One to One(ワントゥワン)マーケティングのメリットとしてまず挙げられるのは、顧客満足度が向上することです。
インターネットが普及した現代では、不要な情報が溢れかえっていますが、One to One(ワントゥワン)マーケティングではユーザーが求める情報のみを発信できるので顧客満足度の向上につなげることができます。
また、マーケティングの費用対効果の向上が期待できるのもメリットのひとつです。不特定多数に向けて情報発信するマスマーケティングを実施するには多額の費用がかかりますが、顧客ニーズが多様化する現代においてマスマーケティングの効果は徐々に薄くなっています。
多額の費用をかけても思ったような効果が得られなければ企業にとって大きな打撃となりますが、One to One(ワントゥワン)マーケティングではターゲットを絞ることで情報発信量が抑えられるので、低コストながら効果的なアプローチが実施可能です。
One to Oneマーケティングのデメリット
One to One(ワントゥワン)マーケティングのデメリットとして挙げられるのは、フリークエンシーが発生しやすいことです。
マーケティングにおけるフリークエンシーとは、顧客が広告に接触した回数を意味しますが、ターゲットを絞って重点的にアプローチするという性質上、One to One(ワントゥワン)マーケティングはフリークエンシーが発生しやすいというデメリットがあります。
上記の通り、このマーケティング手法は、実施することで顧客満足度の向上が期待できますが、同じ顧客に同じ情報を何度も配信してしまうと逆に顧客満足度の低下につながる恐れがあるので、フリークエンシーの発生をコントロールする工夫が必要です。
One to Oneマーケティングに必要な要素
One to One(ワントゥワン)マーケティングを実施するためには、データ・シナリオ・技術の3つの要素が必要です。
データは、Cookieから得られる情報だけでなく、顧客リストや購買履歴など様々なチャネルから集められる幅広い情報のことを指します。
これらの情報を組み合わせることで効果的なアプローチが可能となりますが、より効果を高めるためには収集したデータを分析することで予想されるカスタマージャーニーに沿って、いつ誰に何をどのように提供するのかというシナリオを設定することが大切です。
そして、最後の要素となるのが技術です。One to One(ワントゥワン)マーケティングは、1990年代後半には既に存在していた手法で、IT技術の発展とともに進化してきたという歴史があります。
現在では、様々なツールの登場によって、膨大な顧客に対しても一人ひとりに応じたアプローチが可能となっています。
One to Oneマーケティングの手法
ここまで、One to One(ワントゥワン)マーケティングの概要やメリット・デメリットなどを解説してきましたが、最後にOne to One(ワントゥワン)マーケティングの具体的な手法について確認していきましょう。
1.MA(マーケティングオートメーション)
One to One(ワントゥワン)マーケティングは、手作業で行おうとすると非常に手間がかかりますが、この手間を省略してくれるのがMA(マーケティングオートメーション)です。
MAには、マーケティングの業務量を減らしつつ、顧客への効果的なアプローチを実現するための機能が数多く搭載されています。
例えば、自社サイトの閲覧履歴ひとつをとっても、いつ誰がどのページを閲覧したのかを追跡して、購買につながる見込み度を数値化してくれます。
加えて、MAを活用することで、自社商品を検索したりECサイトでカートに入れたりしたものの、購入には至らなかった顧客に対してメールを送信したり広告を表示させたりすることも可能となります。
また、購入履歴やサイト内での行動履歴、送信したメールへの反応などを分析することで、適切な内容の情報を適切なタイミングで届けることもできます。
MAやツールについてより詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
2.Eメール・ダイレクトメール
Eメールやダイレクトメールも、One to One(ワントゥワン)マーケティングを代表する手法です。
顧客のメールアドレスや住所などの情報が収集できていることが条件とはなりますが、ターゲットを絞ってEメール・ダイレクトメールを送付することで、後述するレコメンデーションやリターゲティング広告などの手法ではアプローチできない顧客に対しても情報発信できるというメリットがあります。
また、One to One(ワントゥワン)マーケティングの手法は、基本的にオンラインで行われるものが多いという特徴がありますが、ダイレクトメールはオフラインでのアプローチが可能です。
ダイレクトメールは、インパクトがあるデザインにしたりクーポンを添付したりするのが容易という特徴があるため、他の手法と組み合わせることでより効果的なマーケティングが可能となります。
3.レコメンデーション
レコメンデーションとは、Cookieに保存されている購入履歴や閲覧履歴などの情報をもとに、顧客におすすめ商品を提案するという手法です。
レコメンデーションは、ECサイトにおいてよく用いられている手法で、購入・閲覧履歴を分析して興味を持ちそうな類似商品を提示したり、同じ属性の顧客の履歴をベースに商品をおすすめしたりします。
なお、レコメンデーションには、予め決めておいたルールに従って商品を推薦するルールベース、類似性の高い商品を提示するコンテンツベース、購買・閲覧履歴をもとに他のユーザーが購入した商品を薦める協調フィルタリング、顧客の属性・購買履歴など様々な情報を分析して購入確率が高い商品をおすすめするベイジアンネットワークといった手法があります。
いずれもECサイトなどで頻繁に使われる手法ですが、複数の手法を組み合わせることも可能です。
4.リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、自社サイトを訪問したユーザーを追跡して、ユーザーが他のWebサイトを閲覧している際に自社へのリンクを含む広告を表示させるという手法です。
Cookieを利用した手法で、過去に自社サイトを訪問したことがある顧客に対してアプローチして、再び自社サイトを訪問してもらうことで購買につなげることを目的としています。
リターゲティング広告は、不特定多数のユーザーに広告を配信するよりも、自社サイトへの再訪や商品購入につなげやすいというメリットがありますが、プライバシー保護の観点からCookieを利用した広告配信は徐々に規制対象となりつつあるので注意が必要です。
2021年時点において、まだリターゲティング配信は規制されていないため実施可能ですが、将来的に規制対象となる可能性も十分にあることは念頭に置いておきましょう。
5.LPO(ランディングページ最適化)
LPO(ランディングページ最適化)とは、ユーザーが最初に訪問するWebページを個々に合わせて最適化することを指します。
SEOやWeb広告などによって自社サイトへの誘導に成功したとしても、ユーザーが求める情報を提供できなければすぐに離脱されてしまうでしょう。
その結果、サイト内での行動履歴などの情報を十分に得ることができず、効果的なOne to One(ワントゥワン)マーケティングを実施できなくなっていまいます。
このような事態を防ぐ目的で行われるのがLPOで、例えばユーザーがサイトを訪問する時期や時間に応じて表示内容を変更したり、ユーザー情報に合わせた内容のページを表示させたりする必要があります。
加えて、近年では検索エリアによって表示内容を変えることも可能となっていますが、ユーザーのニーズに応じたLPを表示させることでサイトからの離脱を防ぐことが可能です。
LPOを行う時のポイントは以下で解説しています。
One to One(ワントゥワン)マーケティングまとめ
顧客ニーズが多様化する現代において、不特定多数に対して同じアプローチを行うマスマーケティングの効果は徐々に薄れてきています。
そのため、顧客一人ひとりに応じたアプローチを行うOne to One(ワントゥワン)マーケティングの重要性は日増しに高まっていますが、このマーケティング手法を行うことで顧客満足度やマーケティングの費用対効果の向上が期待できます。
また、近年ではOne to One(ワントゥワン)マーケティングを効率的に実施できる様々なツールも登場しているので、積極的に実施することをおすすめします。