ロジックツリーの作り方や作成に便利なアプリ・ツールなどまで徹底解説
現在のビジネスシーンでは、あらゆる場面でロジカルシンキングが求められます。
ロジカルシンキングとは、物事を客観的な視点で整理して論理的に筋道を立てて結論を導き出す考え方のことを指します。
ロジカルシンキングの手法には様々なものがありますが、その中でも非常に有名な手法がロジックツリーです。
ここではロジックツリーのメリットや作成方法、作成に使えるツールなどについて解説していきます。
ロジックツリーとは?
ロジックツリーとは、樹木が幹から枝分かれするように1つの物事を要素ごとに分解して考えていくことで、問題解決につなげるフレームワークの1種です。
論理的(ロジック)に考えるために樹木(ツリー)状に物事を分解していくことから、ロジックツリーと呼ばれています。
基本的に左端にテーマとなる問題を設定し、右側に向かって具体的な要素へと枝分かれさせていきますが、5層以上の階層に分解していくのが一般的です。
物事を論理的に分解していくことで、全体像が掴みにくい大きな問題や、どこから手を付けたらよいのか迷ってしまうような問題でも、解決の糸口を見出すことができます。
ロジックツリーを使うメリット
ロジックツリーは、ロジカルシンキングを身につける上で欠かせない手法の一つですが、ここからはロジックツリーを活用する具体的なメリットを確認していきましょう。
1.問題やその原因を発見しやすくなる
ロジックツリーを使用するメリットとしてまず挙げられるのは、問題やその原因の発見が容易になることです。
ロジックツリーでは物事を細かい要素へと分解していくため、どこで問題が発生しているのか、問題の原因がどこにあるのかを特定することが容易になります。
問題発生の因果関係を可視化できるのが、ロジックツリーを活用するひとつ目のメリットとなります。
2.全体の把握ができる
全体像の把握が可能になるのもロジックツリーを使用するメリットです。
ロジックツリーは物事を漏れなくダブりなく分解していく手法なので、正しいステップで作成すれば問題の全体を一目で把握することが可能です。
また、ある問題の解決方法を議論しても、重大な見落としがあっては議論は振り出しに戻ってしまいますが、ロジックツリーを活用することで見落としも防げるので、議論を効率的に進めることができます。
3.課題解決のための優先順位が付けられる
多くの場合、問題解決の方法は一つだけではなく複数存在するのが一般的ですが、ロジックツリーを活用すれば全体像が把握できた状態で解決策を見出すことが可能です。
これにより、どの解決策が最も効果が大きいのか、最も簡単に取り組める解決策はどれなのかを判断しやすくなります。
複数の解決策を様々な基準で比較検討できるので、自ずと問題解決に向けた行動の優先順位を付けることが可能となります。
4.メンバーとの共通認識と行動が起こしやすくなる
ロジックツリーを使用するメリットとして最後に挙げるのは、チームメンバーとの共通認識が作れることです。
ロジックツリーでは、問題の全体像を可視化することができるため、チームメンバーとの認識のズレを防止することができます。
また、チームで共通認識を作ることができれば、問題解決に向けてチーム一丸になって取り組めるようになるでしょう。
ロジックツリーとピラミッドストラクチャーの違い
ロジックツリーは、ロジカルシンキングを実践する上で非常に重要な手法ですが、ロジカルシンキングの手法の中でもロジックツリーと混同されがちなのがピラミッドストラクチャーです。
上記の通り、ロジックツリーは物事をツリー状に分解していくことで、問題解決につなげるためのフレームワークのことを指します。
これに対し、ピラミッドストラクチャーは主張や結論を頂点に配置し、その下にその根拠を構築していく手法を指します。
ロジックツリーは問題や課題を検討したり思考したりする際に使われるのが基本ですが、ピラミッドストラクチャーは主張や結論の根拠を列挙していく手法なので説明や説得を行うために使用されるのが一般的です。
これら2つの手法は、作成のプロセスはほとんど同じですが、運用方法には大きな違いがあるので注意が必要です。
ロジックツリーの種類
ここまでロジックツリーの概要やメリットなどについて解説してきましたが、一口にロジックツリーと言っても様々な種類があります。
ここからは、ロジックツリーの種類について解説していきます。
1.Why型ツリー:原因分析
Why型ツリー(原因分析ツリー)は、問題の原因を具体化していくために使われるロジックツリーです。
例えば、「会社の利益が減少している」という問題を扱う場合、まず「売上高が下がっている」「原価が高騰している」といった要素へと分解します。
そして、それぞれの要素をさらに深掘りしていくことで、利益減少という問題を引き起こしている根本的な原因を突き止めることが可能なので、問題解決に向けた有効なアクションにつなげることが可能です。
2.What型ツリー:要素分解
What型ツリー(要素分解ツリー)は、問題の発生個所を特定するのに有効なロジックツリーです。
例えば、会社の売上という問題を扱う場合、まず法人向け事業と個人向け事業へと分解し、それぞれの商品要素へ分解します。
分解していくことで、会社の売上に悪影響を及ぼしている商品を明確にすることができます。
なお、What型ツリーは要素を細かく分類していくので、問題解決という目的以外にも顧客の分類や市場の分析といった用途に活用することも可能です。
3.How型ツリー:問題解決
How型ツリー(問題解決ツリー)は、問題に対する解決策を見出すためのロジックツリーです。
Why型ツリーと似ていますが、Whyツリーの作成では原因にフォーカスを向けますが、How型ツリーは具体的な解決策にフォーカスしてツリーを作成していきます。
How型ツリーではまず目標を設定して、その目標を達成するための方法を列挙していきます。
また、Why型ツリーを作成済みであれば、Why型ツリーをベースにHow型ツリーを作成することも可能です。
4.KPIツリー
KPIツリーは、KGI(経営目標達成指標)と、KGIを達成するための中間目標であるKPI(重要業績評価指標)との関係性を可視化したツリーのことを指します。
KGIを木の幹とし、KGIの達成に必要な要因へと分解していくので、KGIを達成するためにどのようなKPIを定めるべきかが明確になります。
また、KPIツリーを作成することで、KGI達成のためにクリアすべき中間目標が一目で把握できるので、目標達成の道筋をチーム全体で共有することが可能です。
ロジックツリーの作り方
ロジックツリーは、3つのステップで作成していくのが基本です。
ここからは、ロジックツリーの基本的な作り方を解説していきます。
1.目的に合ったテーマ・課題を決める
ロジックツリーを作成する際は、まず扱うテーマや課題を左端に置き、そこから具体的な要素へと分解していきますが、どのようなテーマを設定するのかでツリーの規模は大きく変わります。
設定するテーマ・課題が壮大すぎると、ツリーの階層が膨大になってしまい収拾がつかなくなる恐れがあるため注意が必要です。
一方で、扱うテーマ・課題をある程度絞っておくと、完成したツリーが比較的シンプルになり、より具体的な結論につなげることが可能となるので、最初の段階で焦点を絞っておくことをおすすめします。
2.MECEを意識して要素を分解する
扱うテーマ・課題が決定したら、各要素へと分解していきますが、論理的な階層構造を構築するためにはMECEを意識することが大切です。
MECEとは簡単に言えば「漏れなく、ダブりなく」という意味で、分解した要素に見落としはないか、同じ内容の要素が存在しないかという点に注意を払わないと、正確なロジックツリーは作成できません。
例えば、ある階層の要素を総合しても、1つ上の階層を構成できない場合は、何らかの漏れが発生している恐れがあります。
逆に、ある階層の要素を総合した際に、1つ上の階層にはないはずの要素が見つかった場合は、要素の重複が起こっている可能性があります。
3.具体的な行動レベルまで落とし込む
ロジックツリーは階層が深くなればなるほど、より具体的な結論になっていくという特性がありますが、要素の分解を繰り返して具体的な行動レベルまで落とし込めたらロジックツリーは完成です。
なお、各要素の分解を進めていく際は、各要素の水準を揃えることを意識しましょう。
本来は異なる階層に位置すべき要素が同じ階層に存在していると、ツリー全体の階層構造が崩れてしまいます。
要素の重複も発生しやすくなり、論理的な階層構造を構築しにくくなってしまうので注意が必要です。
ロジックツリー作成のポイント
ロジックツリーを作成する際は、包含関係もしくは因果関係になっているのかを確認しながら各要素の分解を進めていくことが大切です。
包含関係とは、ある要素を分解して得られた要素を全て足し合わせると、分解前の要素に戻るという関係のことを指します。
一方の因果関係とは、原因と結果の関係のことで、Why型ツリーやHow型ツリーでは下層の要素は上層の要素の原因に、上層の要素は下層の要素の結果になっていなければなりません。
ロジックツリーの作成に使えるアプリ・ツール
ロジックツリーは手書きでも作成可能ですが、PCやスマホで作成すればチーム内での共有が容易となります。
ここからは、ロジックツリーの作成に活用できるアプリ・ツールを5つご紹介していきます。
1.Lucidchart
Lucidchartは、フローチャートやマインドマップなどの作成が簡単にできるアプリケーションです。
クラウド型のアプリなのでチーム内での共有が容易で、Google・Microsoft・Slackといった外部アプリとの連携も可能です。
テンプレートが豊富に用意されているのも特徴で、直感的な操作でロジックツリーを作成することができます。
無料版と有料版の2つのプランがあり、無料版でも100種類ほどのテンプレートが使えるとともに、基本的な共同編集機能も利用できます。
一方で、無料版では3つまでしかドキュメントを保存できないので、頻繁に利用する場合は有料版の利用を検討しましょう。
有料版は、1人あたり月額1,000円から利用でき、制限なくテンプレートを使ったりドキュメントを保存したりすることができます。
2.EXCEL
ロジックツリーはEXCELでも作成可能です。
具体的な作り方としては、まず「挿入」タブから「SmartArt」をクリックします。
そして、「階層構造」内の「横方向階層」のテンプレートを選択すれば、ロジックツリーの雛形が生成されるので、後は図の左に表示されているボックス内に各要素のテキストを書き込んでいくだけです。
3.パワーポイント
パワーポイントにもSmartArt機能が搭載されているので、EXCEL同様にパワーポイントでもロジックツリーを作成できますが、EXCELよりもデザイン性が高いツリーが作成可能です。
また、SmartArt機能を使わなくても、「挿入」タブの「図形」内にある「四角形」と「矢印」を利用することでもロジックツリーを作成できます。
4.XMind
XMindはマインドアップ作成のツールですが、数多くのテンプレートが提供されており、ロジックツリーの作成も可能です。
シンプルで見やすいインターフェースと直感的な操作が可能なツールなので、誰でも簡単にロジックツリーを作成できるでしょう。
無料版と有料版があり、無料版でも全テンプレートが使えますが、有料版に切り替えることでプレゼンテーションモードやガントチャート、MicrosoftOfficeへのエクスポートといった機能が利用できるようになります。
なお、XMindにはスマホ向けのアプリもありますが、PCとスマホでファイルのやり取りを行うにはクラウドストレージサービスを利用する必要があります。
5.MindNode
MindNodeもマインドアップ作成ツールですが、ロジックツリーの作成も可能です。
MacOS、iOS向けのアプリなので、WindowsやAndroidユーザーは利用できませんが、iCloudで連携しておくことでMacとiPhone・iPadでファイルを共有することができます。
また、インターフェースがシンプルで、動作も非常に軽いので、ストレスフリーでロジックツリーを作成できるでしょう。
MindNodeも無料版と有料版があり、有料版に切り替えることで多彩な機能が利用できるようになります。
まとめ
今回は、代表的なロジカルシンキングの手法の一つであるロジックツリーのメリットや作成方法などについて解説してきました。
ロジックツリーは、問題を論理的に分解していくことで解決策を見出すことができる手法ですが、作成する際はMECEを意識することが大切です。
また、ロジックツリーは手書きでも作成できますが、現在は簡単に作成できるツールが数多く存在しているので、自分たちの環境に合ったツールを導入することをおすすめします。
その他の便利なフレームワークはこちらで解説しています。